上野竜生です。複2次式と呼ばれるものの因数分解を教えます。
複2次式とは
xの4次式であり,かつ3次,1次の係数が0であるものです。つまり
Ax4+Bx2+C
の形のものです。この解き方は比較的思いつきやすいパターンと,知ってないと思い浮かばないであろうパターンがあり,後者がよく出ます。
解法1: x2を1つの塊として見る
普通の考えだと思います。x2を1つの文字で置き換えれば普通の2次式になります。
答えx2=AとおくとA2+7A+12
これを因数分解すると(A+3)(A+4)
Aをもとのxに戻すと(x2+3)(x2+4)
ただし最後にAを元の式に戻したあとまだ因数分解できないか考えるのを忘れないようにしましょう。
x2を1つの塊として見た後,さらに因数分解できるとき
答えx2=AとおくとA2-7A+12
これを因数分解すると(A-3)(A-4)
Aをもとのxに戻すと(x2-3)(x2-4)
x2-4はまだ(x+2)(x-2)と因数分解できるので答えは
(x2-3)(x+2)(x-2)
このようなパターンもたまに出ます。最後の因数分解はひっかけ要素です。1度経験しておかないと罠にハマってしまいます。
解法2:(2乗)-(2乗)の形を無理やり作る
普通複2次式の因数分解と言えばこっちのことを指します。解法1で因数分解できなくてもまだ因数分解できる可能性が残っています。まずは例題を見てみましょう。
答えx4+4x2+16
=x4+8x2+16-4x2
=(x2+4)2-(2x)2
=(x2+4+2x)(x2+4-2x)
=(x2+2x+4)(x2-2x+4)
このように無理やりA2-B2=(A+B)(A-B)が使える形に持ってくるのです。初見では思いつかないと思います。一度この答えをよく読んで納得したうえで,では問題形式になってたときどうすればうまく変形できるのか教えましょう。
複2次式まとめ
・まずはx2を塊として因数分解できないかチェック
・それが無理なら無理やり2乗-2乗の形を作る(これも無理なら因数分解不可)
→最高次の係数と定数項から候補を導き出せ!
今回の問題ならx4+…+16なので(x2+4)2か(x2-4)2のどちらかしか作れません。それぞれについて計算してみると
x4+4x2+16=(x2+4)2-4x2=(x2-4)2+12x2
うまく2乗-2乗の形になってるのは赤いほうなのでこちらで因数分解していきます。
もちろん2つの候補(赤と緑)が両方2乗-2乗の形にならない場合も一般にはたくさんあるのですが因数分解の練習問題では必ずできるようになっています。
あとは2乗-2乗の因数分解をするだけです。
練習
まず最高次の係数と定数項がともに平方数なのが怪しいです。ですがまずはx2を塊としてみてみます。するとA=x2とおくと9A2-31A+25
どう頑張っても因数分解できそうにありません。9A2-31A+25=0を解の公式で解くと
\(\displaystyle A=\frac{31 \pm \sqrt{961-900}}{18}=\frac{31\pm \sqrt{61}}{18} \)
となるのでやはり因数分解できないことがわかります。
そこで2乗-2乗のやり方で因数分解できることがわかります(本当はそもそも因数分解できるかわからないけど問題文から因数分解できることは確実なのでできるとするならこのやり方しか残されていません。)
候補は(3x2+5)2か(3x2-5)2です。実際に計算してみると
9x4-31x2+25=(3x2+5)2-61x2=(3x2-5)2-x2となりうまく因数分解できるのは緑のほうです。それでは解答を仕上げていきます。
答え9x4-31x2+25
=(3x2-5)2-x2
=(3x2+x-5)(3x2-x-5)
模範解答を見ると簡単そう(すぐにできそう)ですが実は裏で大変な試行錯誤をしているのです。
このタイプの問題は意外とテストに出そうで出ない微妙な位置づけです。小問集合がテスト範囲になってる場合は練習しておくべきですが小問集合ではない大問の中でこれを因数分解しないと解けない問題は作りにくいです。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
<高校数学>上野竜生です。数学のオススメ参考書などをよく聞かれますのでここにまとめておきます。基本的にはたくさん買うよりも…
上野竜生です。大学数学の参考書をまとめてみました。フーリエ解析以外は自分が使ったことある本から選びました。 大…
上野竜生です。当サイトでも少し前まで各ページで学習サイトをオススメしていましたが他にもオススメできるサイトはた…