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上野竜生です。2乗してルートをつけると元に戻ると思っていませんか?それは間違いです。よく考えればわかると思いますが公式化して短時間で処理できるようにしましょう。

2乗してルートをつけると…?

公式

\( \sqrt{A^2}=|A|=\begin{eqnarray}   \begin{cases} A & ( A \geq 0 ) \\ -A & ( A \lt 0 ) \end{cases} \end{eqnarray}\)

絶対値(| |)の定義を忘れている/知らない人は絶対値の定義も公式として覚えましょう。

絶対値とは数直線上の原点からの距離です。なお
a-b<0のとき|a-b|=-(a-b)=b-aなので-(a-b)を経由することなくいきなり|a-b|=b-aと書けば時間短縮になりますし,マイナスの計算が減るので計算ミスを減らせます。

[証明]

A=0のとき両辺0で明らか。

A>0のときは両辺正なので
(左辺)2-(右辺)2=A2-A2=0

A<0のときは絶対値がなければ右辺が正にならないので上のような処理はできないが絶対値をつければ両辺正でA>0と同様に成立。

ルートAの定義は2乗してAになる数のうち0以上のものと定義されています。
・9の平方根は±3
・ルート9=9の正の平方根=3
この違いを理解しないとこの分野は理解できません。

以下では絶対値をつけることを公式として利用します。

 

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例題

例題1:\(\pi\)を円周率とする。次の値を求めよ。
\( \sqrt{(\pi-4)^2}+\sqrt{(3-\pi)^2}\)

よくある間違いは

\( \sqrt{(\pi-4)^2}+\sqrt{(3-\pi)^2}\\
=(\pi-4)+(3-\pi)\\
=-1\)

です。残念ながら不正解です。絶対値を意識しましょう。

答え\( \sqrt{(\pi-4)^2}+\sqrt{(3-\pi)^2}\\
=|\pi-4|+|3-\pi|\\
=(4-\pi)+(\pi-3)\\
=1\)

 

例題2: 次の式を簡単にせよ
\( \sqrt{x^2}+\sqrt{x^2+2x+1}\)

絶対値にするところまでは簡単ですが,さらに絶対値を外すことも必要です。2つめの絶対値はx+1=0の前後,つまりx=-1の前後で式が変わり,1つめの絶対値はx=0の前後で式が変わります。つまり境目が異なります。こういうときは

・x≦-1
・-1<x<0
・x≧0

で場合分けすればすべてが網羅できます。(=はどっちにつけてもいいし両方につけてもいいです。答えの下に書いてある注を参照してください。)

答え|x|+|x+1|

ア) x≦-1のとき
-x-(x+1)=-2x-1

イ)-1<x<0のとき
-x+(x+1)
=1

ウ)x≧0のとき
x+x+1
=2x+1

このように場合分けをすることが重要です。

場合分けは全パターンを網羅していれば基本的に何でもOKです。
・x≦-1のとき-2x-1
-1<x≦0のとき1
x>0のとき2x+1 →OK
・x≦-1のとき-2x-1
-1≦x≦0のとき1
x≧0のとき2x+1 →OK (x=-1,0が両方に入っているがどちらの場合でも同じ値なので問題なし)
・x<-1のとき-2x-1
-1<x<0のとき1
x>0のとき2x+1 →NG(x=-1と0が抜けている)
・x<-1のとき-2x-1
x=-1のとき1
-1<x<0のとき1
x=0のとき1
x>0のとき2x+1 →OK(できたら答えが共通している部分は最後にまとめたいが全パターンを網羅している)

絶対値の定義・√A2の計算方法だけでなく,場合分けに慣れておくことも非常に重要です。

 

 

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