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上野竜生です。今回は2つのベクトルの大きさが与えられたとき,その1次結合で表されたベクトルの大きさの取り得る範囲を求める方法を紹介します。
基本的なこと
\(\vec{a},\vec{b} (\neq \vec{0}) \)のなす角をθとすると
\(\vec{a}\cdot \vec{b}=|\vec{a}| |\vec{b}|\cos{\theta} \)が成り立つ。
\(-1\leq \cos{\theta} \leq 1 \)なので
\(- |\vec{a}| |\vec{b}| \leq \vec{a}\cdot \vec{b}\leq |\vec{a}| |\vec{b}|\)
これを使って範囲を求めることが多いです。なお、最大・最小値を問われている場合等号が成立することもあると言う必要があります。等号成立は\(\cos{\theta}=\pm 1\)のとき,つまり\(\vec{a},\vec{b}\)が同じ[+1のとき]/反対の向き[-1のとき]です。
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例題1
\(|\vec{a}|=2 , |\vec{b}|=1 \)のとき\(|3\vec{a}-2\vec{b} |\)の最大・最小値を求めよ。
答え\(|3\vec{a}-2\vec{b} |\geq 0\)なので\(|3\vec{a}-2\vec{b} |^2\)の最大・最小を求めればよい。
\(|3\vec{a}-2\vec{b} |^2 \\ = 9|\vec{a}|^2 - 12\vec{a}\cdot \vec{b}+4|\vec{b}|^2 \\ = 36-12|\vec{a}||\vec{b}|\cos{\theta}+4 \\ =40-24\cos{\theta}\)
ただしθは\(\vec{a},\vec{b}\)のなす角。
\( -1\leq \cos{\theta} \leq 1 \)だから\(16\leq |3\vec{a}-2\vec{b}|^2 \leq 64 \)
\(4 \leq |3\vec{a}-2\vec{b}| \leq 8 \)
等号成立は左側は\(\vec{a},\vec{b}\)が同じ向きのときで右側は反対の向きのとき。
よって最大値は8,最小値は4。
\(|3\vec{a}-2\vec{b} |^2 \\ = 9|\vec{a}|^2 - 12\vec{a}\cdot \vec{b}+4|\vec{b}|^2 \\ = 36-12|\vec{a}||\vec{b}|\cos{\theta}+4 \\ =40-24\cos{\theta}\)
ただしθは\(\vec{a},\vec{b}\)のなす角。
\( -1\leq \cos{\theta} \leq 1 \)だから\(16\leq |3\vec{a}-2\vec{b}|^2 \leq 64 \)
\(4 \leq |3\vec{a}-2\vec{b}| \leq 8 \)
等号成立は左側は\(\vec{a},\vec{b}\)が同じ向きのときで右側は反対の向きのとき。
よって最大値は8,最小値は4。
例題2
\(|\vec{a}+3\vec{b}| =1 , |4\vec{a}-\vec{b}|=4 \)のとき\(|2\vec{a}+\vec{b}| \)の最大値・最小値を求めよ。
答え\( \vec{u}=\vec{a}+3\vec{b} , \vec{v}=4\vec{a}-\vec{b} \)とおくと
\(\displaystyle \vec{a}=\frac{1}{13}\vec{u}+\frac{3}{13}\vec{v} \)
\(\displaystyle \vec{b}=\frac{4}{13}\vec{u}-\frac{1}{13}\vec{v} \)
\(\displaystyle 2\vec{a}+\vec{b}=\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} \)
\(\displaystyle |\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} |^2 \\\displaystyle = \frac{1}{169} (36|\vec{u}|^2+60\vec{u}\cdot \vec{v} + 25|\vec{v}|^2) \\ = \displaystyle \frac{436+240\cos{\theta}}{169} \)
(θは\(\vec{u},\vec{v} \)のなす角。)
\(-1\leq \cos{\theta} \leq 1 \)より
\(\displaystyle \frac{196}{169}\leq |\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} |^2 \leq 4 \)
ゆえに\(\displaystyle \frac{14}{13}\leq |\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} | \leq 2 \)
等号成立条件を確認する。
右側の等号は\(\cos{\theta}=1\)のとき、つまり\(\vec{u},\vec{v} \)が同じ向きのとき。
\( |\vec{u}|=1,|\vec{v}|=4\)だから\(\vec{v}=4\vec{u} \)のときで,このとき\(\vec{b}=\vec{0} \)
左側の等号は\(\cos{\theta}=-1\)のとき,つまり\(\vec{v}=-4\vec{u} \)のときで
\(\displaystyle \vec{a}=-\frac{11}{8}\vec{b} \)のとき。
よって両側ともに等号成立するような\(\vec{a},\vec{b} \)が存在するから最大値は2、最小値は\(\displaystyle \frac{14}{13} \)
\(\displaystyle \vec{a}=\frac{1}{13}\vec{u}+\frac{3}{13}\vec{v} \)
\(\displaystyle \vec{b}=\frac{4}{13}\vec{u}-\frac{1}{13}\vec{v} \)
\(\displaystyle 2\vec{a}+\vec{b}=\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} \)
\(\displaystyle |\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} |^2 \\\displaystyle = \frac{1}{169} (36|\vec{u}|^2+60\vec{u}\cdot \vec{v} + 25|\vec{v}|^2) \\ = \displaystyle \frac{436+240\cos{\theta}}{169} \)
(θは\(\vec{u},\vec{v} \)のなす角。)
\(-1\leq \cos{\theta} \leq 1 \)より
\(\displaystyle \frac{196}{169}\leq |\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} |^2 \leq 4 \)
ゆえに\(\displaystyle \frac{14}{13}\leq |\frac{6}{13}\vec{u}+\frac{5}{13}\vec{v} | \leq 2 \)
等号成立条件を確認する。
右側の等号は\(\cos{\theta}=1\)のとき、つまり\(\vec{u},\vec{v} \)が同じ向きのとき。
\( |\vec{u}|=1,|\vec{v}|=4\)だから\(\vec{v}=4\vec{u} \)のときで,このとき\(\vec{b}=\vec{0} \)
左側の等号は\(\cos{\theta}=-1\)のとき,つまり\(\vec{v}=-4\vec{u} \)のときで
\(\displaystyle \vec{a}=-\frac{11}{8}\vec{b} \)のとき。
よって両側ともに等号成立するような\(\vec{a},\vec{b} \)が存在するから最大値は2、最小値は\(\displaystyle \frac{14}{13} \)
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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