上野竜生です。arctanxのn回微分(n階微分)って求めるのが大変ですよね。私も大学1年生の時は苦しみました。そこでその部分だけで1ページ使って紹介します。あまりテストのための参考ページではないのでテストのためだけに数学を勉強している人は読み飛ばしてもいいでしょう。

①arctan(x)の1回微分

1回目だけは特殊です。ですが,おそらくこのページを見ている人は1回目の微分では悩んでいないはずですのでサクっと示します。

y=arctanxとおくとtany=x
両辺をxで微分すると
\(\displaystyle \frac{dy}{dx}\cdot \frac{1}{\cos^2{y}}=1\)
よって\(\displaystyle \frac{dy}{dx}=\cos^2{y}=\frac{1}{1+\tan^2{y}}=\frac{1}{1+x^2} \)

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②f(n)(0)の求め方

n階微分したxの式がほしいのではなくそれにx=0を代入した値だけあれば十分なときがあります。それなら比較的簡単です。

1階微分は①より\(\displaystyle f^{(1)}(x)=\frac{1}{1+x^2} \)
つまり\( (1+x^2)f^{(1)}(x)=1 \)
ライプニッツの公式(下の補足参照)よりこれをさらにn回微分すると
\[ (1+x^2)f^{(n+1)}(x)+ {}_n C_1 (1+x^2)’ f^{(n)}(x)+ {}_n C_2 (1+x^2)’’ f^{(n-1)}(x)=0 \]

ライプニッツの公式
2つの関数の積fgのn回微分は次で表される。証明は帰納法。
\[ \sum_{k=0}^n {}_n C_k f^{(k)}(x)g^{(n-k)}(x) \]
二項定理のように微分できます。上の解説では\((1+x^2)\)を3回以上微分すると0になるのを利用して2回微分までの3項だけを取り出したものになっています。

整理すると
\[ (1+x^2)f^{(n+1)}(x)+2nxf^{(n)}(x)+n(n-1)f^{(n-1)}(x)=0 \]
これにx=0を代入すると
\[ f^{(n+1)}(0)=-n(n-1)f^{(n-1)}(0) \]
となるから\( a_n = f^{(n)}(0) \)とおくと\( a_{n+2}=-n(n+1)a_n \)
という漸化式が得られる。
\( f^{(1)}(0)=1 , f^{(2)}(x)=\frac{-2x}{(1+x^2)^2} , f^{(2)}(0)=0 \)に注意すると
\( a_{2n}=0 \)
\( a_{2n-1}=(-1)^{n-1}(2n-2)!\)となる。よって
\[ f^{(2n)}(0)=0 ,f^{(2n-1)}(0)=(-1)^{n-1}(2n-2)! \]

③y=Arctan(x)のn回微分(yの式で)

次の式はあまり紹介されていない式ですがこんな関係式が成り立ちます。右辺がyの式ですが一応微分はできてますね。

\[\displaystyle y^{(n)}=(n-1)!\cos^n{y} \sin{(ny+\frac{n\pi}{2})} \]

数学的帰納法で示す。
n=1のとき
\(\displaystyle y’=\frac{1}{1+x^2}=\cos{y}\sin{(y+\frac{\pi}{2}) } \)の右側の等式を示せばよい。
ここで\(\sin{(y+\frac{\pi}{2})}=\cos{y} \)なので
\(\displaystyle \cos^2{(\arctan{x})}=\frac{1}{1+x^2} \)を示せばよい。
\(\alpha=\arctan{x} \)とおくと\(\tan{\alpha}=x \)
(左辺)=\(\cos^2{\alpha}=\frac{1}{1+\tan^2{\alpha}}=\frac{1}{1+x^2} \)
よりn=1のときは成立。つまり\(y’=\cos^2{y} \)・・・(★)

n=kのとき成立すると仮定する。n=k+1のとき

\(y^{(k+1)}=\{ (k-1)!\cos^k{y}\sin{(ky+\frac{k\pi}{2}}) \}’ \\ = (k-1)!\cdot k \cos^{k-1}{y}\sin{(ky+\frac{k\pi}{2})} \cdot y’ \cdot (-\sin{y}) +(k-1)!\cos^k{y}\cos{(ky+\frac{k\pi}{2})}\cdot k \cdot y’ \\=k! \{ \cos^{k+1}{y} \sin{(ky+\frac{k\pi}{2})}(-\sin{y})+\cos^{k+2}{y}\cos{(ky+\frac{k\pi}{2})} \} \)

(∵\(y’=\cos^2{y} \))

\(=k!\cos^{k+1}{y} \{ -\sin{y}\sin{(ky+\frac{k\pi}{2})} + \cos{y}\cos{(ky+\frac{k\pi}{2})} \} \\ =k! \cos^{k+1}{y} \cos{( (k+1)y+\frac{k\pi}{2})} \\= k!\cos^{k+1}{y} \sin{( (k+1)y+\frac{(k+1)\pi}{2})} \)

となるからn=k+1のときも成立。

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④y=Arctan(x)のn回微分

正確には複素数の微分を定義しないといけませんが結果としては実数と同じように微分できます。

\[ y^{(1)} (x)=\frac{1}{x^2+1}=\frac{1}{2i}\left(\frac{1}{x-i}-\frac{1}{x+i}\right) \]

分母が1次式なら普通にn回微分できるので
\[\displaystyle y^{(n)}(x)=\frac{(-1)^{n-1}(n-1)!}{2i} \{ (x-i)^{-n}-(x+i)^{-n} \}\]
具体的に\( y^{(n)}(0) \)を求めるならこの段階で代入したほうが速いと思いますが,一応二項定理で展開して相殺される項は消していきます。結果はあまり綺麗にはなりません。

\[ \displaystyle y^{(n)}(x)=\frac{(-1)^{n-1} (n-1)!}{2i} \frac{(x+i)^n – (x-i)^n}{(x-i)^n (x+i)^n} \]

右側の分数の分母は\( (x^2+1)^n \)なので分子を計算する。分子は

\[\displaystyle \sum_{k=0}^n {}_n C_k x^{n-k} i^k – {}_n C_k x^{n-k} (-i)^k \]

kが偶数の時は相殺されるので奇数の項だけ計算する。k=2m-1とおく。(m=1,2,・・・,\( [\frac{n+1}{2}] \) )

\[\displaystyle 2i \sum_{m=1}^{[\frac{n+1}{2}]} {}_n C_{2m-1} x^{n-2m+1} (-1)^{m-1} \]

これを代入して整理すると

\[\displaystyle y^{(n)}(x)=\frac{(-1)^n (n-1)!}{(x^2+1)^n} \sum_{m=1}^{[\frac{n+1}{2}]} {}_n C_{2m-1} x^{n-2m+1} (-1)^m \]

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