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上野竜生です。数IIで出てくる式と証明のなかで数II特有の3パターンを紹介します。3パターンとはズバリ!比例式・少なくとも1つは○である・すべて△であることの証明です。

式と証明

比例式は=kとおけ!

(制約条件)が成立するとき(示すべき式)を示せ。というタイプの問題で制約条件が比で与えられたときの定石は比をうまく式で表現することです。そのためには=kとおけばいいのです。少し例を見てみましょう。

例題1: a:b:c=d:e:fのとき\(\displaystyle \frac{a+b}{d+e}=\frac{b+c}{e+f} \)を示せ

比で与えられた条件をうまく式で表すには次のように考えます。

\( a:b:c=d:e:f\\
\displaystyle \to \frac{a}{d}=\frac{b}{e}=\frac{c}{f} \)

\(\displaystyle \frac{a}{d}=\frac{b}{e}=\frac{c}{f}=k \)とおくと
a=dk , b=ek , c=fkとなりこれを代入して整理すればOKです。

答えa:b:c=d:e:fより
\(\displaystyle \frac{a}{d}=\frac{b}{e}=\frac{c}{f}=k \)とおくとa=dk, b=ek , c=fk
これを示すべき式に代入すると
\( \displaystyle(左辺)=\frac{dk+ek}{d+e}=k \)
\( \displaystyle(右辺)=\frac{ek+fk}{e+f}=k \)
となり両辺は等しい。

最初のアイデアさえ覚えれば簡単な部類だと思います。

例題2: \(\displaystyle \frac{x+2y}{2}=\frac{y+2z}{3}=\frac{z+2x}{4}\neq 0 \)のとき,\(\displaystyle \frac{x+2y+4z}{x+y+z}\)の値を求めよ。

答え\(\displaystyle \frac{x+2y}{2}=\frac{y+2z}{3}=\frac{z+2x}{4}=k \)とおく。

\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x +2y=2k \\ y+2z=3k \\ z+2x=4k \end{array} \right.\end{eqnarray}\)

辺々加えると

\( 3x+3y+3z=9k \)

つまりx+y+z=3k

z=3k-x-yとして整理すると

\( \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x + 2y = 2k \\ 2x+y=3k  \\x-y=k \end{array} \right.\end{eqnarray}\)

よってこの連立方程式を解くと

\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x =\frac{4}{3}k \\ y=\frac{k}{3}\\z=\frac{4}{3}k\end{array} \right.\end{eqnarray}\)

(k≠0)。よってこれらを代入すると

\( \displaystyle \frac{x+2y+4z}{x+y+z}=\frac{\frac{4}{3}k+\frac{2}{3}k+\frac{16}{3}k}{\frac{4}{3}k+\frac{1}{3}k+\frac{4}{3}k}=\frac{\frac{22}{3}k}{3k}=\frac{22}{9} \)

 

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x,y,zの少なくとも1つはαであることを示すには(x-α)(y-α)(z-α)=0を示す!

これも定石です。言われてみればこれが正しいことは自明だと思います。でも自分でこの式を書くのって意外と難しいです。しっかり練習しましょう。

例題3: abc=8 , ab+bc+ca=2(a+b+c)ならばa,b,cのうち少なくとも1つは2であることを示せ。

答え(a-2)(b-2)(c-2)

=abc-2(ab+bc+ca)+4(a+b+c)-8

=0

よってa-2=0またはb-2=0またはc-2=0だから

a,b,cのうち少なくとも1つは2である。

なお今回の場合解と係数の関係を用いた別解もあります。

答えab+bc+ca=2k , a+b+c=kとおく。

解と係数の関係よりa,b,cは3次方程式

x3-kx2+2kx-8=0の解である。

x3-kx2+2kx-8=(x-2){x2+(2-k)x+4}と因数分解できるのでx=2を解に持つ。

よってa,b,cのうち少なくとも1つは2である。

 

x,y,zのすべてがαであることを示すには(x-α)2+(y-α)2+(z-α)2=0を示す。

これも言われてみれば割と自明です。先ほどより自明ではないので少し解説します。

実数は2乗すると0以上になるので(x-α)2≧0で等号成立はx-α=0のときに限ります。
つまりx≠αだと(x-α)2+(y-α)2+(z-α)2>0になってしまいます。同様にy,zのどれか1つでもαと異なれば0より大きくなってしまいます。足して0にするにはx,y,zすべてがαと一致するしかないのです。

示すべき式の理解はできたけどなんかいまいち・・・と思うかもしれません。それについては例題4のあとの補足に書きました。とりあえず例題4の解法を身につけましょう。

例題4: 実数a,b,c,dがa2+b2+c2+d2=36 , a+b+c+d=12を満たすときa,b,c,dはすべて3であることを証明せよ。

答え(a-3)2+(b-3)2+(c-3)2+(d-3)2

=a2+b2+c2+d2-6(a+b+c+d)+36

=36-72+36=0

よってa,b,c,dはすべて3である。

【補足】もし問題文が
「実数a,b,c,dがa2+b2+c2+d2=6 , a+b+c+d=7を満たすときa,b,c,dはすべて3であることを示せ」(★)
だとしても全く同様に示せます。(6-42+36=0)
しかし明らかにa,b,c,dはすべて3ではありません。(もしそうならa+b+c+d=12≠7)
これ(逆が成り立たないこと)が少ししっくりこない原因でしょう。
2乗して0以上になるという性質は実数の性質なので実数ならば確かに正しいのですが実数とも限らなければ使えません。今考えた★の例の反例はそもそもa,b,c,dが実数ではないのです。
なので(★)の問題についてはa2+b2+c2+d2=6,a+b+c+d=7を満たす実数a,b,c,dが存在しないことを示しても正解になります。

 

 

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