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上野竜生です。共通接線の求め方を2パターン紹介します。

共通接線の求め方

復習

2直線y=mx+nとy=m'x+n'が一致するための必要十分条件は
m=m'かつn=n'である。

よく考えれば明らかだとは思いますがこのことは重要です

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接点が等しいとき

y=f(x)とy=g(x)が共有点Aをもち,Aにおける接線が等しいときy=f(x)とy=g(x)が接するといいます。これに関する問題は非常に単純なので一般論のみを紹介します。

y=f(x)やy=g(x)の中に定数aが含まれていて,「2曲線が接する」条件からaの値を定める問題が出た場合,次のように処理します。

・接点A(共有点)のx座標をαとするとAはy=f(x)上にもy=g(x)上にもあるから
f(α)=g(α)
・さらにAでの接線の傾きは等しいからf'(α)=g'(α)

この2つを連立させて解きます。なお接線のy切片については1個目の条件と同じなので新たな式は生まれません。

こちらは比較的簡単に発想できると思います。問題なのは次の接点が異なるときです。

 

接点が異なるとき

1番確実な方法は2つの曲線の接線の式を立てて係数を比較することです。

y=f(x)とy=g(x)が共通の接線をもつ条件を調べるには
・y=f(x)上の点(t,f(t))から引いた接線の式y-f(t)=f'(t)(x-t)と
・y=g(x)上の点(s,g(s))から引いた接線の式y-g(s)=g'(s)(x-s)の
係数が一致すること,つまり
f'(t)=g'(s)かつf(t)-tf'(t)=g(s)-sg'(s)を求めます。
ここで接点のx座標が一致するとは限らないのでt=sとは限りません。なのでg(x)の接線の式をたてるときはf(x)の接点の時に使った文字tとは異なる文字で置く必要があります。

この方法が一番確実ですが,与えられた曲線によってはほかにもいろいろな方法があります。主に1つ目の曲線について接線の式をたて,それが2つめに接する条件(係数比較以外の方法)で未知数t(接点のx座標)を求める方法です。ただしこちらは楽な分,使える曲線が限られています。例題を見てみましょう。

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例題

\( y=x^2+5 \)と単位円\( x^2+y^2=1\)が共通接線をもつとき,その接線の式を求めよ。
公式を忘れている人のために円の接線の公式をおさらいします。
\( x^2+y^2=r^2 \)上の点(a,b)から引いた接線の式は\( ax+by=r^2 \)

<解1> 係数比較する

\( y=x^2+5 \)上の点\( (t,t^2+5) \)からひいた接線の方程式は

\( y-(t^2+5)=2t(x-t) ∴y=2tx-t^2+5\)

\( x^2+y^2=1\)上の点\( (\cos{\theta},\sin{\theta}) \)からひいた接線の方程式は

\(\displaystyle (\cos{\theta})x+(\sin{\theta})y=1 ∴y=-\frac{\cos{\theta}}{\sin{\theta}}x+\frac{1}{\sin{\theta}} \)

(∵放物線の接線がy軸に平行ではない)

係数比較をすると

\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l}
\displaystyle 2t=-\frac{\cos{\theta}}{\sin{\theta}} \\
\displaystyle -t^2+5= \frac{1}{\sin{\theta}}
\end{array} \right.\end{eqnarray}\)

2乗した式を考えると

\( \displaystyle 4t^2=\frac{\cos^2{\theta}}{\sin^2{\theta}}=\frac{1}{\sin^2{\theta}}-1=(-t^2+5)^2-1 \)

となるので

\( 4t^2=(t^2-5)^2-1 \)

整理すると

\( t^4-14t^2+24=(t^2-2)(t^2-12)=0 \)

よって\( t= \pm \sqrt{2} , \pm 2\sqrt{3} \)

それぞれ代入すると

\( y=\pm 2\sqrt{2} x +3 , y=\pm 4\sqrt{3} x-7 \)

 

この方法は式を立てるのは簡単ですが変数が2個でるので解くのは大変です。なので計算量を減らす別解が頭に思い浮かぶならそっちを優先しましょう。

<解2>円の接線⇔判別式の利用

放物線の接線の式が\( y=2tx-t^2+5 \)までは解1と同じ。この式を円の式に代入すると

\( x^2+(2tx-t^2+5)^2=1 \)

\( x^2+4t^2x^2+t^4+25-4t^3x-10t^2+20tx=1 \)
\( (4t^2+1)x^2 +(20t-4t^3)x+(t^4-10t^2+24)=0 \)

これが円に接するからこのxについての式の判別式が0つまり,

\( (20t-4t^3)^2-4(4t^2+1)(t^4-10t^2+24)=0 \)

整理すると

\( -4t^4+56t^2-96=-4(t^2-2)(t^2-12)=0 \)

\( t=\pm \sqrt{2} , \pm 2\sqrt{3} \)(以下同様)

<解3> 円に接する⇔点(円の中心)と直線(接線)の距離が半径

放物線の接線の式が\( y=2tx-t^2+5 \)までは解1と同じ。

点(0,0)と直線\( 2tx-y+(-t^2+5)=0\)の距離が1だから
\( \displaystyle \frac{|-t^2+5|}{\sqrt{4t^2+1}}=1 \)

よって\( (-t^2+5)^2=4t^2+1 \)

整理すると

\( t^4-14t^2+24=(t^2-2)(t^2-12)=0\)

(以下同様)

<解4> 放物線に接する⇔判別式=0

円の接線の式が\( \displaystyle y=-\frac{\cos{\theta}}{\sin{\theta}}x+\frac{1}{\sin{\theta}}\)となるところは解1と同じ。これを放物線の式に代入すると

\( \displaystyle -\frac{\cos{\theta}}{\sin{\theta}}x+\frac{1}{\sin{\theta}} =x^2+5\)

両辺に\( \sin{\theta} \)をかけて整理すると

\((\sin{\theta}) x^2 +(\cos{\theta})x + 5\sin{\theta}-1=0 \)

このxについての式の判別式が0になればいいから

(判別式)
\( =\cos^2{\theta} - 4\sin{\theta}(5\sin{\theta}-1)\\
=1-\sin^2{\theta}-20\sin^2{\theta}+4\sin{\theta}\\
=-(7\sin{\theta}+1)(3\sin{\theta}-1)\\
=0   ∴\sin{\theta}=-\frac{1}{7},\frac{1}{3}\)

よって

\(\displaystyle (\sin{\theta},\cos{\theta})=\left(-\frac{1}{7},\pm\frac{4\sqrt{3}}{7}\right),\left(\frac{1}{3},\pm\frac{2\sqrt{2}}{3}\right) \)

これを最初の式に代入すると

\( y=\pm 2\sqrt{2}x+3 , y=\pm 4\sqrt{3}x-7 \)

 

普通は放物線の式がある場合,<解4>のように片方は接線の式を立てた後判別式に持ち込みます。このやり方も理解しておくと計算ミスは減っていくでしょう。

 

 

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