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上野竜生です。現在は習わなくなった期待値ですがやはり重要な概念であり「期待値」という言葉を使わずに同様の計算をさせる問題なども考えられるのでひととおり教えておきましょう。

期待値

期待値とは

<定義>
変量Xのとりうる値をx1,x2,・・・,xnとし,これらの値をとる確率をそれぞれp1,p2,・・・,pn(p1+p2+・・・+pn=1)とする。このときの期待値
x1p1+x2p2+・・・+xnpn

定義だけみてもさっぱりだと思うので例題を見てみましょう。面倒かもしれませんがすべての場合の確率を計算する必要があります。

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例題1

成功する確率が\(\frac{1}{3}\)であるゲームを4回行う。成功する回数の期待値を求めよ。
答え4回成功する確率は\((\frac{1}{3})^4=\frac{1}{81} \)
3回成功する確率は\( {}_{4}C_{3} (\frac{1}{3})^3 (\frac{2}{3})=\frac{8}{81}\)
2回成功する確率は\( {}_{4}C_{2} (\frac{1}{3})^2 (\frac{2}{3})^2=\frac{24}{81}\)
1回成功する確率は\( {}_{4}C_{1} (\frac{1}{3}) (\frac{2}{3})^3=\frac{32}{81}\)
0回成功する確率は\((\frac{2}{3})^4=\frac{16}{81}\)
以上より期待値は
\( \displaystyle 4\cdot \frac{1}{81}+3\cdot \frac{8}{81}+2\cdot \frac{24}{81}+1\cdot \frac{32}{81}+0\cdot \frac{16}{81}=\frac{4+24+48+32+0}{81}=\frac{4}{3} \)
1回やれば\(\frac{1}{3} \)回入るのだから4回やれば期待値は\(\frac{4}{3} \)回だよねー
という単純な結果と一致します。これは偶然ではなく必ずそうなります。

次の例題は入試問題っぽくありませんが実用的な問題なので紹介します。

例題2

あるお店ではサイコロキャンペーンが行われている。
<サイコロキャンペーン>
「サイコロを2つ投げて2つの目が同じなら無料!
同じでなくても2つの目の和が偶数なら半額!
それ以外は割引なし。」
今,Aさんは「確実に30%引になるクーポン」を持っている。クーポンとサイコロキャンペーンの併用はできない。Aさんの買い物金額を900円とするとき以下の問いに答えよ。
(1) <サイコロキャンペーン>を利用した場合Aさんが支払う金額の期待値を求めよ。
(2) <サイコロキャンペーン>の期待値と比較するとAさんはどちらを使うほうが安くなるか?
(3) もしも先にサイコロを投げ,結果を見てからどちらを選ぶか選択できたとする。このときAさんが支払う金額の期待値を求めよ。
答え
(1) 無料(0円)になる確率は\(\frac{6}{36}=\frac{1}{6} \)
半額(450円)になる確率は\(\frac{12}{36}=\frac{1}{3} \)
全額(900円)になる確率は\(\frac{18}{36}=\frac{1}{2} \)なので
期待値は\(\displaystyle 0 \cdot \frac{1}{6} + 450 \cdot \frac{1}{3} + 900 \cdot \frac{1}{2} =0+150+450=600\)円

無料 半額 半額
無料 半額 半額
半額 無料 半額
半額 無料 半額
半額 半額 無料
半額 半額 無料

(2) 30%引の場合は900×0.7=630円なのでサイコロキャンペーンの方が安くなる。
(3) 無料や半額になる場合はサイコロキャンペーンを適用し,割引なしの場合はクーポンを使うほうがお得なので
期待値は\(\displaystyle 0 \cdot \frac{1}{6} + 450 \cdot \frac{1}{3} + 630 \cdot \frac{1}{2} =0+150+315=465\)円

(1)と(3)はかなり重要な違いです。もしあなたがこの商品を売る側になったとき500円で仕入れて900円で販売し,このキャンペーンをするとなると「サイコロの結果を見てからクーポンを使うか判断してよい」ということはしてはいけません(赤字でもいいから売りたい場合は別)。先に決断させれば600円で売ったことになり黒字ですが,後から決めてOKとすると価値が一気に135円下がり赤字になってしまうからです。

 

 

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