イェンゼンの不等式

上野竜生です。今回はイェンゼンの不等式を紹介していきます。かなり難しいので難関大学を受験する人だけでいいでしょう。しかし(1)は意外とよく問われます。中堅大学でも(1)まではほしいところです。
 イェンゼンの不等式
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イェンゼンの不等式とは

下の例題の(2)の式のことです。問題1と問題2では証明方法が異なるだけで同じことです。なお最初のf”(x)の不等号の向きによってイェンゼンの不等式の不等号の向きも変わりますがだからといって証明方法は変わりません。
(つまり例題2(2)は例題1の解法でも解けるし例題1(2)は例題2の解法でも解けます)

問題1

関数f(x)はf”(x)>0を満たす。
(1)任意の実数a,bと0<t<1に対し次が成り立つことを示せ。
\(f(ta+(1-t)b)\leq tf(a)+(1-t)f(b) \)
(2)すべてのiに対しai>0が成り立ち、\(\displaystyle \sum_{k=1}^n a_k=1 \)を満たすとする。このときすべての実数xiに対して次が成り立つことを示せ。
\(\displaystyle f \left( \sum_{k=1}^n a_k x_k \right) \leq \sum_{k=1}^n a_k f(x_k) \)

答え

(1) 【(右辺)-(左辺)をaの関数とみる解法】
g(a)=(右辺)-(左辺)
=tf(a)+(1-t)f(b)-f(ta+(1-t)b)とおく。
g(a)≧0を示す。
g'(a)=tf'(a)-tf'(ta+(1-t)b))・・・①
仮定よりf”(x)>0、つまりf'(x)は単調増加だから
a>ta+(1-t)b、つまりa>bのときf'(a)>f'(ta+(1-t)b)
a=ta+(1-t)b、つまりa=bのときf'(a)=f'(ta+(1-t)b)
a<ta+(1-t)b、つまりa<bのときf'(a)<f'(ta+(1-t)b)
よって①より
a>bのときg'(a)>0 , a=bのときg'(a)=0 , a<bのときg'(a)<0
y=g(a)の増減表は下の通り
\(\begin{array}{c|ccc}  a & \cdots & b & \cdots \\ \hline  g'(a) & – & 0 & + \\ \hline g(a) & \searrow & 0 & \nearrow \end{array}\)
ゆえにg(a)≧0
等号成立はa=bのときです。
別解 【(右辺)-(左辺)をtの関数とみる解法】
a=bのとき明らかに等号が成立。
a≠bのとき
g(t)=(右辺)-(左辺)
=tf(a)+(1-t)f(b)-f(ta+(1-t)b)とし
g(t)≧0 (0<t<1)を示す。
g'(t)=f(a)-f(b)-(a-b)f'(ta+(1-t)b)
g”(t)=-(a-b)2 f”(ta+(1-t)b)<0 (∵f”>0)
よってg'(t)は単調減少・・・②
g(0)=f(b)-f(b)=0 , g(1)=f(a)-f(a)=0
g'(0)≦0と仮定すると②よりg(t)は単調減少なのでg(0)=0ならばg(1)<0。これは矛盾。よってg'(0)≧0。
また、g'(1)≧0と仮定すると②よりg(t)は単調増加であるが同様に矛盾。
②よりg'(t)の増減表は以下の通り。
\(\begin{array}{c|ccccc}  t & 0 & \cdots  & \gamma & \cdots & 1 \\ \hline  g'(t) & + & \searrow & 0 & \searrow & –  \end{array}\)
x<γでg'(x)>0 , x>γでg'(x)<0
よってg(t)の増減表は下の通りである。
\(\begin{array}{c|ccccc}  t & 0 & \cdots & \gamma & \cdots  & 1 \\ \hline  g’(t) & + & + & 0 & – & – \\ \hline  g(t) & 0 & \nearrow &  & \searrow & 0 \end{array}\)
ゆえに0<t<1でg(t)>0

答え

(2) 数学的帰納法で示す。
n=1のときa1=1よりf(x1)≦f(x1)は明らか。
n=sで成立すると仮定する。つまり
\(\displaystyle \sum_{k=1}^s a_k =1 \)のとき\(\displaystyle f\left( \sum_{k=1}^s a_k x_k \right) \leq \sum_{k=1}^s a_k f(a_k) \)と仮定する。
n=s+1のとき(1)の式で
\(\displaystyle t=\sum_{k=1}^s a_k \)とおくと仮定より\(\displaystyle \sum_{k=1}^{s+1} a_k =1 \)だから\(1-t=a_{s+1}\)
(1)の式に\(\displaystyle a=\sum_{k=1}^s \frac{a_k}{t} x_k , b=x_{s+1} \)を代入すると
(左辺)
\(\displaystyle =f\left( \sum_{k=1}^{s+1} a_k x_k \right)=f\left(t \sum_{k=1}^{s} \frac{a_k}{t} x_k + a_{s+1}x_{s+1} \right) \\
\displaystyle \leq t f\left( \sum_{k=1}^s \frac{a_k}{t} x_k \right) + a_{s+1}f(x_{s+1}) (∵(1)) \)
\(\displaystyle \leq t \sum_{k=1}^s \frac{a_k}{t} f(x_k) + a_{s+1}f(x_{s+1}) \) (∵帰納法の仮定)
\(\displaystyle = \sum_{k=1}^{s+1} a_k f(x_k) \)=(右辺)
よってn=s+1でも成立するから任意のnに対して成立する。
等号成立は\(\displaystyle \sum_{k=1}^s \frac{a_k}{t} x_k =x_{s+1} \)のとき
(\(x_1=x_2 , \displaystyle \frac{a_1}{a_1+a_2} x_1 + \frac{a_2}{a_1+a_2} x_2=x_3 ,\cdots \))
帰納的に\(x_1=x_2=\cdots = x_n \)のとき。

問題2

関数f(x)はf”(x)<0を満たす。
(1)すべての\(x,\alpha \)に対し、次が成り立つことを示せ。
\( f(x)\leq f'(\alpha )(x-\alpha)+f(\alpha) \)
(2)すべてのiに対しai>0が成り立ち、\(\displaystyle \sum_{k=1}^n a_k=1 \)を満たすとする。このときすべての実数xiに対して次が成り立つことを示せ。
\(\displaystyle f \left( \sum_{k=1}^n a_k x_k \right) \geq \sum_{k=1}^n a_k f(x_k) \)
(3)次の相加相乗平均の関係が成り立つことを示せ。
\(\displaystyle \frac{x_1+x_2+\cdots + x_n}{n} \geq \sqrt[n]{x_1 x_2 \cdots x_n} \)

答え

(1)g(x)=(右辺)-(左辺)
=f'(α)(x-α)+f(α)-f(x)とおく。
g'(x)=f'(α)-f'(x)
g”(x)=-f”(x)>0よりg'(x)は単調増加。
g'(α)=0よりx=αの前後でg'(x)の符号は負から正に変わる。よってg(x)の増減表は下の通り。
\(\begin{array}{c|ccc} x & \cdots & \alpha & \cdots  \\ \hline g’(x) & – & 0 & + \\ \hline g(x) & \searrow & 0 & \nearrow  \end{array} \)
g(α)=0よりg(x)≧0
 等号成立はx=αのとき。
答え(2)
(1)の結果に\(x=x_1 , x_2 , \cdots , x_n \)を代入することにより
\( f(x_1) \leq f'(\alpha)(x_1 -\alpha)+f(\alpha) \)
\( f(x_2) \leq f'(\alpha)(x_2 -\alpha)+f(\alpha) \)
・・・
\( f(x_n) \leq f'(\alpha)(x_n -\alpha)+f(\alpha) \)
が成り立つ。(1つめの式)×a1+(2つめの式)×a2+・・・+(n個めの式)×anを計算することにより
(示したい式の右辺)
\(\displaystyle = \sum_{k=1}^n a_k f(a_k) \\ \displaystyle \leq \sum_{k=1}^n \left\{ a_k f'(\alpha)(x_k-\alpha)+a_k f(\alpha) \right\} \\
=\displaystyle  \sum_{k=1}^n a_k f'(\alpha) x_k – \sum_{k=1}^n a_k f'(\alpha) \alpha + \sum_{k=1}^n a_k f(\alpha) \\
=\displaystyle \left( \sum_{k=1}^n a_k f'(\alpha) x_k \right) – f'(\alpha)\alpha +f(\alpha)・・・③\)
ここでαは任意であるから\(\displaystyle \alpha=\sum_{k=1}^n a_k x_k \)を代入する
\(\displaystyle ③=\sum_{k=1}^n a_k x_k f'(\alpha)- \sum_{k=1}^n a_k x_k f'(\alpha) + f(\alpha)\)
\(\displaystyle =f(\alpha)=f\left( \sum_{k=1}^n a_k x_k \right) \)
=(示したい式の左辺)となり題意は成立。
等号成立は\(x_1=\alpha \)かつ\(x_2=\alpha \)かつ・・・かつ\(x_n=\alpha \)
つまり\(x_1=x_2=\cdots x_n\)となります。
答え(3) f(x)=logxとおく
\(\displaystyle f'(x)=\frac{1}{x} , f”(x)=-\frac{1}{x^2}<0 \)
(2)の式に\(a_1=a_2=\cdots = a_n = \frac{1}{n} \)を代入すると
\(\displaystyle \log{\left(\sum_{k=1}^n \frac{x_k}{n} \right)} \geq \sum_{k=1}^n \frac{1}{n} \log{(x_k)} \\
=\displaystyle \log{\sqrt[n]{x_1 x_2 \cdots x_n }}\)
よって底e>1より
\(\displaystyle \sum_{k=1}^n \frac{x_k}{n} \geq \sqrt[n]{x_1 x_2 \cdots x_n} \)
等号成立は\( x_1=x_2=\cdots =x_n \)のとき

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