上野竜生です。逆関数の積分の計算方法を紹介します。
例題1 tanの逆関数
(1) f(x)=arctanxをxで微分すると\(\displaystyle \frac{1}{1+x^2} \)になることを示せ。
(2)不定積分\(\displaystyle \int \arctan{x} dx \)を求めよ。答えにarctanxが含まれていてもよい。
(3)定積分\(\displaystyle \int_0^1 \arctan{x} dx \)を求めよ。
大学の知識として先に教えておくとy=tanxの逆関数はy=arctanxと書きアークタンジェントと読みます。この関数は微分したものがきれいなので微分して部分積分が使えます(もちろんこのあとの例題2の解法も可能)
\(\displaystyle \frac{dx}{dy}=\frac{1}{\cos^2{y}} \)
(2) 部分積分より
(3)arctan0=0 ,arctan1=\(\frac{\pi}{4} \)に注意すると
arctanxは有名ですし性質が知られているので知っている人もいるかもしれませんが今度はもう少し複雑な関数の積分をしてみます。
例題2 具体的に与えられた関数の逆関数
定積分\(\displaystyle \int_0^e f(x)dx \)を求めよ。
y=xexの逆関数に関する問題はx=yeyと置換積分すればOKです。
\(\displaystyle \frac{dx}{dy}=e^y+ye^y=(y+1)e^y \)
逆関数の定義からf(0)=0, f(e)=1 , f(yey)=yであることに注意すると求める積分は
\(\displaystyle \int_0^1 y (y+1)e^y dy\)
よって
\(\displaystyle \int_0^1 (y^2+y)e^y dy \\ = \displaystyle [(y^2+y)e^y]_0^1 – \int_0^1 (2y+1)e^y dy \\ \displaystyle = 2e – [(2y+1)e^y]_0^1 +\int_0^1 2e^y dy \\ =\displaystyle 2e-3e+1 +[2e^y]_0^1 \\ = -e+1 + 2e-2 \\ = e-1 \)
例題3 一般的な性質
\( y=f(x)\)の逆関数を\(y=f^{-1}(x)\)とおく。このとき次の式が成り立つことを示せ。
例題2をより一般にしたものですがやることは同じです。
\(y=f^{-1}(x)\) ⇔ \(x=f(y) \)なので\(dx=f'(y)dy \)
整理すると問題の式を得る。
これを踏まえて例題1(3),例題2を解いてみましょう。
例題1(3)では\(f(x)=\tan{x} ,a=0 , b=\frac{\pi}{4} \)なので
より
\(\displaystyle \int_0^1 \arctan{x} dx =-\frac{1}{2}\log{2}+\frac{\pi}{4}\)
例題2では\(f(x)=xe^x , a=0 , b=1\)なので
より
\( \displaystyle \int_0^e f^{-1}(x)dx=e-1\)となります。
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