反転(半直線上にOP・OQ=1となるQをとるときのQの軌跡)

上野竜生です。反転幾何学というものがあり,その美しい性質は高校数学でも少し楽しめます。入試問題でもたまに見かけるので紹介します。

反転

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反転とは

高校では習いません(大学でも通常習いません)が,原点Oと点Pを結ぶ半直線上にOP・OQ=r2となるように点Qをとる。Pがある図形を動くときQはどんな図形を動くかということをテーマにした問題です。こういう変換を「反転」といいます。

美しい性質

反転によって「円または直線」は「円または直線」にうつる。

円が円に移り,直線が直線にうつるとは言ってません。円は円か直線にうつり,直線も円か直線にうつります。より詳しくは次のようになります。

・原点を通る直線 はそれ自身にうつる(割と自明)

・原点を通らない直線 は 原点を通る円にうつる (例題(1)参照)

・原点を通る円 は 原点を通らない直線にうつる

・原点を通らない円 は 原点を通らない円にうつる (例題(2)参照)

もちろん「原点を通る」といっても反転させるときは原点だけを除きます。(OP・OQ=r2の時点でOP≠0,OQ≠0だから)。受験生があまり詳しいことを知る必要もないので例題の解き方だけ知っておきましょう。

例題

原点Oと点Pを結ぶ半直線上にOP・OQ=1となるように点Qをとる。
Pが次の図形を動くとき,Qはどのような図形を動くか?
(1) 直線2x+4y=1
(2) 円(x-2)2+(y-1)2=3
(3) 放物線\(y=\frac{1}{2}(x^2-1)\) [発展内容。文系は範囲外]

まず文系レベルで軌跡とベクトルの知識で解く。

答えO(0,0),P(x,y),Q(X,Y)とおく。O,P,Qは同一直線上にあるから
\( \vec{OP}=k\vec{OQ}\)とおける。
大きさをとると\(|\vec{OP}|=k|\vec{OQ}| \)
\(|\vec{OP}||\vec{OQ}|=1\)より\(\displaystyle k=\frac{|\vec{OP}|}{|\vec{OQ}|}=\frac{1}{|\vec{OQ}|^2}=\frac{1}{X^2+Y^2} \)
よって\(\displaystyle x=\frac{X}{X^2+Y^2} , y=\frac{Y}{X^2+Y^2}\)をもとの式に代入すればよい。
(1) 2x+4y=1に代入すると
\(\displaystyle \frac{2X}{X^2+Y^2}+\frac{4X}{X^2+Y^2}=1 \)
\(2X+4Y=X^2+Y^2 \)
整理すると\((X-1)^2+(Y-2)^2=5 \)
OP・OQ=1だからOQ≠0つまり原点は除く。
よって求める図形は円(x-1)2+(y-2)2=5から原点を除いたもの
参考図1
黒の点線がx2+y2=1,青の直線が問題の直線。赤の円が答えの円。
このように反転前の図と反転後の図の交点はx2+y2=1上にあります。
もちろんQの図形をもう1度OP・OQ=1によってPの図形に戻すと直線になります。
答え(2) (x-2)2+(y-1)2=3を整理するとx2-4x+y2-2y+2=0
ここで\(\displaystyle x^2+y^2=\frac{X^2}{(X^2+Y^2)^2}+\frac{Y^2}{(X^2+Y^2)^2}=\frac{1}{X^2+Y^2}\)であることに注意すると
\(\displaystyle \frac{1}{X^2+Y^2}-\frac{4X}{X^2+Y^2}-\frac{2Y}{X^2+Y^2}+2=0\)
\(1-4X-2Y+2(X^2+Y^2)=0\)
\(X^2-2X+Y^2-Y+\frac{1}{2}=0\)
\((X-1)^2+(Y-\frac{1}{2})^2=\frac{3}{4} \)
よってQの軌跡は円\((x-1)^2+(y-\frac{1}{2})^2=\frac{3}{4} \)

参考図2

原点を通らない円の反転は原点を通らない円になります。
なお,円の中心が反転後も円の中心になるとは限りません(というより普通はなりません)

(3) 文系では途中までしか解けません。
\(\displaystyle \frac{Y}{X^2+Y^2}=\frac{1}{2}\frac{X^2}{(X^2+Y^2)^2}-\frac{1}{2}\)
両辺に\(2(X^2+Y^2)^2\)をかけると
\(2Y(X^2+Y^2)=X^2-(X^2+Y^2)^2\)
よってQは\( (x^2+y^2)^2+2y(x^2+y^2)-x^2 =0 \)上を動く。

これで正しいですが,これ以上うまくは整理できません。

極方程式を使うと楽

理系の人は極方程式を習うのでそれを使うと\( \frac{1}{r} \)を計算するだけなので楽に解けます。

答え(1)
2x+4y=1を極方程式で表す。
\(2r \cos{\theta}+4r\sin{\theta}=1 \)
∴\(\displaystyle r=\frac{1}{2\cos{\theta}+4\sin{\theta}} \)
ただし分母が0になる点は除く。
よって反転させたあとの極方程式は
\(r=2\cos{\theta}+4\sin{\theta} \) (ただしr≠0)
両辺にrをかけると
\(r^2 = 2r\cos{\theta}+4r\sin{\theta} \)
∴\(x^2+y^2=2x+4y \)となるのでr≠0と合わせると求める図形は
円(x-1)2+(y-2)2=5から原点を除いたもの
(2) x2-4x+y2-2y+2=0を極方程式で表す。x2+y2=r2に注意すると
r2-2(sinθ+2cosθ)r+2=0
よって\(\displaystyle r_{\pm}=(\sin{\theta}+2\cos{\theta})\pm \sqrt{(\sin{\theta}+2\cos{\theta})^2-2}\)(複号同順)となる。
ここで解と係数の関係より\( r_{+}r_{-} =2\)に注意すると
\(r_{+}\)の反転は\(\frac{1}{r_{+}}=\frac{1}{2}r_{-} \) , \(r_{-} \)の反転は\(\frac{1}{2}r_{+} \)になるから
rの反転は\(\frac{1}{2}r \)となる。
(2,1)を中心とする半径\(\sqrt{3} \)の円を原点中心に\(\frac{1}{2}\)倍に拡大するとQの軌跡は
\( (1,\frac{1}{2})\)を中心とする半径\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)の円

なお今回は原点が完全に円の外部にあるのでr+,rがともに意味のあるものになりましたが円の内部だとr<0となるのでr+を反転させなければなりません。

答え(3)
2y=x2-1を極方程式で表す。
\(2r\sin{\theta}=r^2\cos^2{\theta}-1 \)
\((\cos^2{\theta})r^2-2(\sin{\theta})r-1=0\)
\(\displaystyle r=\frac{\sin{\theta}+\sqrt{\sin^2{\theta}+\cos^2{\theta}}}{\cos^2{\theta}}=\frac{1+\sin{\theta}}{(1-\sin{\theta})(1+\sin{\theta})}=\frac{1}{1-\sin{\theta}} \)
(∵sinθ-1<0なので解の公式の±のマイナスは不適。)
よって反転させたものは\(r=1-\sin{\theta}=1+\cos{(\theta+\frac{\pi}{2})} \)となるからカージオイド(を回転させたものから原点を除いたもの)となる。

参考図3

興味深いのは「任意の放物線の反転がカージオイドになる」というわけではありませんが「よく極方程式で表されるあのカージオイドの反転は放物線になる」ということです。
理系の人は放物線もカージオイドも入試頻出なので難関大では狙われることがあります。知っておくと強くなります。

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