上野竜生です。今回のやや難問だけど良問は同志社大学理系の全学部のIV(2021年)です。問題文がやや長く,YouTuberはあまりピックアップして動画化しにくい題材ですが,大学の数学の本質を体験できる問題で,教授はこういう問題を解ける人を欲しがっていると思うので入試に出題されてもおかしくない問題です。

問題

nを自然数とする。関数\( f(x)=\sin^2{x}+4x\sin{x}+4\cos{x} \)を考える。次の問いに答えよ。ただし,必要ならば,3.1<π<3.2であることを用いてよい。
(1)開区間(2nπ-2π,2nπ)において,関数f(x)の増減を調べ,極値を求めよ。
(2)不定積分∫f(x)dxを求めよ。
(3)\( 0 \leq x \leq \frac{\pi}{6} \)のとき,\(\frac{3}{\pi}x \leq \sin{x} \leq x \)が成り立つことを示せ。
(4)開区間\( (2n\pi-\frac{1}{n\pi} , 2n\pi) \)において,方程式f(x)=0はただ1つの実数解をもつことを示せ。
(5)各自然数nに対し,(4)で定まった実数解を\(p_n\)とおく。このとき\(\displaystyle \lim_{n\to \infty} \int_{p_n}^{p_{n+1}} f(x)dx \)を求めよ。

受験生受験生

[問題を読んだ時点の頭の中]
(1)は微分して増減表書くだけ。(2)は不定積分するだけ。(3)もよくある不等式。(4)は中間値の定理を使えばよさそう…でも(5)はどうするんだろう…とりあえず(4)までは解いてから考えよう

受験生受験生

[実際に手を動かした後]
(1)も一筋縄でいかない部分が1か所あって(1)の割に手強い…(4)は右端が正なのは明らかだから左端が負であることを示したいけどどこまで荒い評価で許されるんだろう…
(5)の方針わかってきたぞ…!!

っていう感じです。

とりあえず(1)~(4)前半までは標準以下なので略解を示します。解かずにサクっと読むだけでもいいし,読み飛ばしてもいいぐらいです。(5)が解けるか考えてみましょう。

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解答

(1) 標準レベル。ここは黄色枠以外問題ないでしょう。黄色枠ができるかどうかが勝負

\( f(x)=\sin^2{x}+4x\sin{x}+4\cos{x} \)

(1)\( f’(x)=2\sin{x}\cos{x}+4\sin{x}+4x\cos{x}-4\sin{x} \\ = 2\cos{x}(\sin{x}+2x) \)

(1)の割にやや難ポイント:sinx+2x =0となるx(x>0)が存在するかを証明する部分。
[解1]g(x)=sinx+2xとおくとg’(x)=cosx+2>0なのでg(x)は単調増加。
g(0)=0よりx>0ではg(x)>0
[解2]0<x≦πではsinx+2x>0+0=0 x>πではsinx+2x≧-1+2x>0なのでx>0でsinx+2x=0となるxは存在しない。

よってf’(x)=0となるのはcosx=0のときだけである。
つまり\( x=2n\pi-\frac{3}{2}\pi , 2n\pi-\frac{1}{2}\pi \)
増減表は下の通り

\(\begin{array}{c|ccccccc} x & 2n\pi-2\pi & \cdots & 2n\pi-\frac{3}{2}\pi & \cdots & 2n\pi-\frac{1}{2}\pi & \cdots & 2n\pi \\ \hline f’(x) & & + & 0 & – & 0 & + &  \\ \hline f(x) & 4 & \nearrow & 極大 & \searrow & 極小 & \nearrow & 4 \end{array} \)

答えは
\( f(2n\pi-\frac{3}{2}\pi)=(8n-6)\pi+1 \)…極大値
\( f(2n\pi-\frac{1}{2}\pi)=(-8n+2)\pi +1 \)…極小値

(2) 基本問題

\( \sin^2{x}=\frac{1-\cos{2x}}{2} \)なので
\[\displaystyle \int \sin^2{x}+4\cos{x}dx = \frac{1}{2}x-\frac{1}{4}\sin{2x}+4\sin{x}+C \]
部分積分をすると
\[\displaystyle \int 4x\sin{x}dx = -4x\cos{x} + \int 4\cos{x} dx =-4x\cos{x}+4\sin{x}+C \]
よって求める不定積分は
\[\displaystyle \frac{1}{2}x-\frac{1}{4}\sin{2x}-4x\cos{x}+8\sin{x}+C \]

(3) 標準問題

右側:\( g(x)=x-\sin{x} \)とおき,これが\( g(x)\geq 0 \)であることを示す。
\( g’(x)=1-\cos{x} \geq 0 \)なのでg(x)は単調増加。
g(0)=0よりx≧0でg(x)≧0。右側は成立。

左側:\( h(x)=\sin{x}-\frac{3}{\pi}x \)とおく。
\( h’(x)=\cos{x}-\frac{3}{\pi} \)
ここで\(\cos{\alpha}=\frac{3}{\pi} \)となるαをとると,問題の範囲ではcosxは減少関数なので
\( \cos{\frac{\pi}{6}}=\frac{\sqrt{3}}{2}<\frac{3}{\pi} \)より\(0<α<\frac{\pi}{6}\)である。よって増減表は下のようになる。
\(\begin{array}{c|ccccc} x & 0 & \cdots & \alpha & \cdots & \frac{\pi}{6} \\ \hline h’(x) & & + & 0 & – &  \\ \hline h(x) & 0 & \nearrow & 最大 & \searrow & 0 \end{array} \)
\(h(0)=0 , h(\frac{\pi}{6})=0 \)よりh(x)≧0

(4) 途中までは標準問題。後半はやや難

受験生受験生

(1)で増減は調べてあるので単調性は簡単に言えそう。あとは\( f(2n\pi- \frac{1}{n\pi}) \)とf(2nπ)が異符号になることを言えばよい。(1)の増減表でf(2nπ)=4>0は言えてるから\( f(2n\pi- \frac{1}{n\pi})<0 \)を言えばいいけど…そこからは結構大変そう…
sinを(3)の不等式で評価するのはいいとしてそのあとのπをどこまで近似していいか考えるのが大変かもしれません。

(1)の結果から\( 2n\pi- \frac{\pi}{2} < x < 2n\pi \)では単調増加。
\( 2n\pi-\frac{\pi}{2} < 2n\pi – \frac{1}{n\pi} < 2n\pi \)なので(4)の問題で与えられた区間では単調増加する。
(1)の結果より\(f(2n\pi)=4>0\)である。
\( f(2n\pi-\frac{1}{n\pi} )<0 \)を示す。
\( f(2n\pi -\frac{1}{n\pi} ) = \sin^2{\frac{1}{n\pi}} -4(2n\pi – \frac{1}{n\pi}) \sin{\frac{1}{n\pi}}+4\cos{\frac{1}{n\pi}} \\ =\sin^2{\frac{1}{n\pi}} -8n\pi \sin{\frac{1}{n\pi}} + \frac{4}{n\pi} \sin{\frac{1}{n\pi}}+4\cos{\frac{1}{n\pi}} \\<\frac{1}{n^2 \pi^2}-8n\pi \cdot \frac{3}{\pi}\cdot \frac{1}{n\pi} +\frac{4}{n\pi} \cdot \frac{1}{n\pi} +4\\ = \frac{5}{n^2\pi^2} -\frac{24}{\pi}+4 \\ < \frac{5}{1\cdot 3^2}-\frac{24}{4}+4<0\)

よって中間値の定理より題意は成立する。

結果としてかなり粗い評価でも示せました。このタイプの問題を作ってみる経験をしていればなんとなく”粗くても良さそう”っていう直感ができるのですが,こればっかりはやってみるまでわかりません。もちろん最初から3.1<π<3.2を用いたギリギリまで細かい評価をしてもOKです。

(5) やや難。ここが今回最も解説したいポイント。

受験生受験生

グラフをかけば求める積分はほぼ(2n-2)π→2nπの積分と等しそう…あとは微妙に「ズレてる」部分の極限が0にならないかな…?あ!積分区間は微小で0に収束するし
被積分関数も0→4にしかなってないから比較的簡単にいえそう!この大問完答も夢じゃない!

\[\displaystyle \int_{p_n}^{p_{n+1}} f(x) dx=\int_{p_n}^{2n\pi} f(x) dx + \int_{2n\pi}^{2n\pi+2\pi} f(x) dx + \int_{2n\pi+2\pi}^{p_{n+1}}f(x)dx \]
ここで1つめの積分については図より

拡大図

\(2n\pi -\frac{1}{n\pi} <p_n <2n\pi \)で,\( p_n<x<2n\pi \)では0<f(x)<4であるから
\[\displaystyle 0<\int_{p_n}^{2n\pi} f(x) dx < \int_{2n\pi-\frac{1}{n\pi}}^{2n\pi} 4 dx=\frac{4}{n\pi} \]
同様にすると
\[\displaystyle -\frac{4}{(n+1)\pi}< \int_{2n\pi+2\pi}^{p_{n+1}} f(x)dx <0 \]
(2)より
\[\displaystyle \int_{2n\pi}^{2n\pi+2\pi} f(x)dx \\ =\displaystyle \left[ \frac{1}{2}x-\frac{1}{4}\sin{2x}-4x\cos{x}+8\sin{x} \right]_{2n\pi}^{2n\pi+2\pi} \\ =\displaystyle \pi -4(2n\pi+2\pi)+4(2n\pi) = -7\pi \]
以上をあわせると
\[\displaystyle -7\pi-\frac{4}{(n+1)\pi} < \int_{p_n}^{p_{n+1}}f(x)dx < -7\pi+\frac{4}{n\pi} \]

\[\displaystyle \lim_{n\to \infty} \left(-7\pi-\frac{4}{(n+1)\pi}\right) =-7\pi , \lim_{n\to \infty} \left(-7\pi+\frac{4}{n\pi}\right) =-7\pi \]
だからハサミウチの原理より
\[\displaystyle \lim_{n\to \infty} \int_{p_n}^{p_{n+1}} f(x)dx=-7\pi \]

講評

予備校の解答でも遠回りすぎて(先にpn,pn+1を使った式で積分してしまってから1項ずつ極限を考えるなど)本質をとらえてないものが多かったです。大学ではこのように「少しズレてれば綺麗に計算できるのに…」っていう問題を扱うことが多いです。「少しずらして綺麗に計算+ズレた部分の極限が0」を示すというのは大学では定番になるので大学入試で問えるなら大学の先生は問いたいと思ってるはずです。そのため今回のような問題は高校生にとっては非常に貴重な体験になると思います。

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