背理法と無理数であることの証明

上野竜生です。今回は背理法とその具体例をいくつか紹介します。

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背理法とは

「Aであることを示せ」という問題でAであることを示すのが難しい場合、「Aでないと仮定すると矛盾。よってAである」のようにできる証明方法です。どこで矛盾を導くかを考えるのが少し難しいかもしれません。

有理数・無理数とは

有理数とは「(整数)分の(整数)」という分数の形で表せる実数のことです。特に約分した形でおく、つまり
(有理数) \(= \frac{n}{m} \) (nとmは互いに素)
とおくことも多いです。

無理数とは実数のうち有理数でないものです。

【補足】

有理数は四則演算(0で割るのは除く)で閉じている。

つまり
(有理数)+(有理数)=(有理数)
(有理数)-(有理数)=(有理数)
(有理数)×(有理数)=(有理数)
(有理数)÷(0以外の有理数)=(有理数)

無理数は四則演算のどれも閉じていない。

つまり
(無理数)+(無理数)=(無理数とは限らない)
(無理数)-(無理数)=(無理数とは限らない)
(無理数)×(無理数)=(無理数とは限らない)
(無理数)÷(無理数)=(無理数とは限らない)
もちろん無理数+無理数が無理数になることもありますが必ずしもそうなるとは限らないのです。

「無理数であることを示せ」と言われた場合は有理数と仮定して矛盾を導くことが基本です。

例題1

\( \sqrt{2} \)が無理数であることを証明せよ。
答え\(\sqrt{2}\)が有理数であると仮定する。つまり
\(\displaystyle \sqrt{2}=\frac{n}{m} \)とおけると仮定する。両辺を2乗すると
\( \displaystyle 2=\frac{n^2}{m^2} \)
整理すると
\( 2m^2=n^2 \)
この左辺は2で奇数回割り切れるが、右辺は2で偶数回割り切れる。
よって両辺が等しいことに矛盾。
背理法より\( \sqrt{2} \)は無理数である。
互いに素であることに矛盾とする証明もあります。
\(\sqrt{2}\)が有理数であると仮定する。つまり
\(\displaystyle \sqrt{2}=\frac{n}{m} \) (nとmは互いに素)とおけると仮定する。両辺を整理すると
\( 2m^2=n^2 \)
左辺は偶数だから右辺も偶数。つまりnは偶数。
n=2kとおいて整理すると
\( 2m^2=4k^2 \) ∴\( m^2 = 2k^2 \)
右辺は偶数だから左辺も偶数。つまりmは偶数。
nもmも偶数だからnとmは互いに素ではない。
これはnとmが互いに素であることに矛盾
背理法より\( \sqrt{2} \)は無理数である。

以下の問題では\( \sqrt{2} , \sqrt{3},\sqrt{5} , \sqrt{6} \)などが無理数であることの証明は省略します。(無理数であることは既知であるとします)

例題2

\( \sqrt{2}+\sqrt{3} \)が無理数であることを証明せよ。

無理数+無理数が必ずしも無理数になるとは限りません。
(反例: \(\sqrt{2} + (-\sqrt{2}) = 0\))
なのでこれはまた個別に証明することになります。

答え\( \sqrt{2}+\sqrt{3} = r \)(rは有理数)と仮定する。
両辺2乗すると
\( 5+2\sqrt{6} = r^2 \)
整理すると
\(\displaystyle \sqrt{6}= \frac{r^2-5}{2} \)
左辺は無理数だが右辺は有理数。これは矛盾。
よって\( \sqrt{2}+\sqrt{3} \)は無理数である

有理数が四則演算で閉じていることはもう自明としています。

例題1からの流れで\( \sqrt{2} \)が無理数であることは使ってよいが\(\sqrt{6} \)が無理数であることはわからない場合、例題1と同様にして\(\sqrt{6} \)が無理数であることを示した後にやればいいのですが、\(\sqrt{2} \)のみしか無理数であることがわかってなくても示す方法はあります。

答え\( \sqrt{2}+\sqrt{3} = r \)(rは有理数)と仮定する。
\( \sqrt{3} = r-\sqrt{2} \)
両辺2乗すると \( 3= r^2-2\sqrt{2}r+2 \)
整理すると\(\displaystyle \sqrt{2} = \frac{r^2-1}{2r} \)
左辺は無理数だが右辺は有理数。これは矛盾。
よって\( \sqrt{2}+\sqrt{3} \)は無理数である

例題3

有理数a,b,c,dが\(a+b\sqrt{2}=c+d\sqrt{2} \)を満たすときa=cかつb=dであることを証明せよ。

最初から全体を背理法で解くというより一部分に対し背理法を使った方がやりやすいです。

答え与えられた式を整理すると
\(a-c=(d-b)\sqrt{2} \)・・・(*)
d≠bと仮定する。すると両辺をd-b(≠0)で割って
\(\displaystyle \frac{a-c}{d-b}=\sqrt{2} \)
左辺は有理数だが右辺は無理数であり矛盾。よって背理法よりd=b
これを(*)に代入するとa-c=0 ∴a=c
以上よりa=cかつb=dである。

ここまではよくある練習問題ですが次は応用問題です。難関大学なら出てもおかしくない少し変わった論理展開だと思います。

例題4(√nが無理数であること以外にも背理法は使えます。)

n,mは互いに素な正の整数とする。このとき
n,2n,3n,4n,・・・,mnをmで割った余りはすべて異なることを証明せよ。
答えn,2n,3n,4n,・・・,mnの中にmで割った余りが同じになるものが存在すると仮定する。
つまりinとjnをmで割った余りが等しいと仮定する。(1≦i<j≦m)
jn-in=n(j-i)はmの倍数。
nとmは互いに素だからj-iがmの倍数である。
一方、1≦i<j≦mより1≦j-i≦m-1であるからj-iはmの倍数にはならない。これは矛盾。
よってmで割った余りはすべて異なる。

最後は難しいかもしれません。無理数関係の証明は教科書でよく見かけるタイプですが意外と入試でもよく見かけます。最初の√2の証明も予想以上に出題されているので理解しておきましょう。

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