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上野竜生です。今回は1次方程式の応用問題を扱います。高3が受ける入試本番にはあまり出題されるイメージはありませんが高1のテストとかでは必ず通る道だと思います。定番問題なのでやっておきましょう。基本はできていることを前提に応用問題をいくつか紹介するだけにします。

例題1 不等式の足し算・引き算

100≦x<200,1≦y<2のとき次の値の取り得る範囲を求めよ。
(1)2x
(2)-3y
(3)x+y
(4)2x-3y
答え(1)200≦x<400
(2)-6<y≦-3
(3)101≦x+y<202
(4)194<2x-3y<397

定数倍は単純に各辺を定数倍するだけです。ただしマイナス倍した場合は不等号の向きが変わります。つまり
1≦y<2⇒-3≧-3y>-6
となりますが普通不等号の向きは小なりで表すので-6<-3y≦-3と書いています。結果としてマイナス倍すると左辺と右辺が反対になったようになります。
(3)以降は等号に注意です。実際に等号が成立するか個別に考えた方がいいです。x+y=101になるにはx=100かつy=1の両方の等号が成立する必要があります。両方成立するのでx+y=101もなる可能性があり101のほうには等号がつきます。202になる可能性はありません。
(4)ではマイナス倍すると左辺と右辺が逆になるので単純に引き算して
200-3≦2x-3y<400-6
とするのは誤りです。これを避けるにはマイナス倍の部分は先に計算して足し算の形にすることが重要です。
つまり「(2x)-(3y)」ではなく「(2x)+(-3y)」と考えるとミスが減ります。等号成立するか確認しましょう2x-3y=194になるにはx=100かつy=2になるときですがy=2にはならないので等号はつきません。397のほうの等号も同様にしてつきません。

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例題2 方程式・不等式のやや難問

次の方程式・不等式を解け
(1)|x-1|=|2x-3|
(2)|x-1|+|x-2|=x+3
(3)||x-2|-3|≧3
(4)ax+1<2x+a(aは実数)

|A|=|B|のタイプは両辺が0以上なので2乗すると
A2=B2
つまりA2-B2=(A+B)(A-B)=0となるのでA=±Bとなります。
つまり|A|=|B|はA=±Bとしていいのです。
不等式になった場合も同様ですがこちらは2次不等式の知識があったほうがいいでしょう。習っていなければ基本通り場合分けします。
(2)~は基本に忠実にすれば解けますが少し悩みそうな問題です。

答え(1)x-1=2x-3またはx-1=-(2x-3)である。
x-1=2x-3のときx=2
x-1=-2x+3のとき\(x=\frac{4}{3} \)
よって\(x=2,\frac{4}{3} \)
【別解】忠実に場合分け
\(x\geq \frac{3}{2} \)のときx-1=2x-3 ∴x=2。これは\( x\geq \frac{3}{2} \)を満たす。
\( 1<x<\frac{3}{2} \)のときx-1=3-2x ∴\( x=\frac{4}{3} \) これは\( 1<x<\frac{3}{2}\)を満たす。
x≦1のとき1-x=3-2x ∴x=2。これはx≦1を満たさないので不適。
よって\( x=2,\frac{4}{3} \)
(2)x≧2のときx-1+x-2=x+3 ∴x=6(x≧2を満たすので適)
1<x<2のときx-1+2-x=x+3 ∴x=-2(1<x<2を満たさないので不適)
x≦1のとき1-x+2-x=x+3 ∴x=0(x≦1を満たすので適)
以上よりx=0,6
(3)a=|x-2|(≧0)とおく。|a-3|≧3よりa≦0またはa≧6
a≧0よりa=0またはa≧6。
a=0のとき|x-2|=0だからx=2
a≧6のとき|x-2|≧6だからx≦-4またはx≧8
以上よりx≦-4またはx=2またはx≧8
(4)ax+1<2x+aを整理すると
(a-2)x<a-1
a-2>0,つまりa>2のとき両辺を(a-2)(>0)で割って
\(\displaystyle x<\frac{a-1}{a-2} \)
a=2のとき0<1は常に成立するからすべての実数で成立。
a<2のとき両辺を(a-2)(<0)で割って
\(\displaystyle x>\frac{a-1}{a-2} \)
以上をまとめると
a>2のとき\(\displaystyle x<\frac{a-1}{a-2} \)
a=2のときすべての実数
a<2のとき\(\displaystyle x>\frac{a-1}{a-2} \)

(2)では場合分けの範囲に入っているかチェックを忘れないようにしましょう。(4)ではマイナスで割り算すると不等号の向きが変わることに注意してそこで場合分けをしましょう。

例題3 整数解の個数指定問題

\(\displaystyle \left|x-\frac{1}{3} \right| <a \)を満たす整数がちょうど5個になるようなaの範囲を求めよ
答え不等式を解くと\( -a+\frac{1}{3} < x< a+\frac{1}{3} \)
つまり数直線上で\(\frac{1}{3} \)に近いところから順に整数解が得られるので近いほうから整数を書くとx=0,1,-1,2,-2,3・・・となる。よってx=-2は解にもつがx=3が解にもたない条件を求めればよい。
x=-2を解にもつから\(\displaystyle \left|-2-\frac{1}{3} \right| <a \)は満たす。つまり\(a>\frac{7}{3} \)
x=3を解にもたないから\(\displaystyle \left|3-\frac{1}{3} \right| <a \)は満たさない。つまり\(a\leq \frac{8}{3} \)
以上より\(\displaystyle \frac{7}{3}<a\leq \frac{8}{3} \)

このタイプの問題では整数をまず特定できることが多いです。それらを特定しましょう。「ちょうど5個となる条件=5個以上にはなるが6個以上にはならない条件ということに注意しましょう。その際等号がややこしいです。両端の場合は頭の中で満たすのか満たさないのか確認しながら解くといいでしょう。

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例題4 集合と命題の分野との融合問題

「|2x-3|≦5ならばax<1」となるようなaの範囲を求めよ。
答え|2x-3|≦5を解くと-1≦x≦4
a>0のときax<1の解は\( x < \frac{1}{a} \)
よって\(\frac{1}{a}>4\)のとき,つまり\(a< \frac{1}{4} \)のとき成り立つ。
a>0とあわせると\( 0<a<\frac{1}{4} \)
a=0のとき0<1よりすべての実数xで成り立つのでa=0のときは適。
a<0のときax<1の解は\( x > \frac{1}{a} \)
よって\(\frac{1}{a}< -1\)のとき,つまり\(a> -1 \)のとき成り立つ。
a<0とあわせると-1<a<0
以上をまとめると\( -1< a < \frac{1}{4} \)

数直線をイメージすることが大切です。このタイプの問題では不等式が解けることが多いので解を数直線上で表しましょう。
AならばBというのはAを満たす範囲はすべてBも満たすという意味なのでAのほうが範囲が狭いです。

解く式自体は難しくないのですが最初の立式が難しく,特に等号の有無は頭がややこしくなりますね。何度も解くと疲れるので,両端はその都度計算用紙等に場合分けして含むか含まないかチェックするのが楽でしょう。

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