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上野竜生です。数検1級の統計の問題はほぼ積分計算の知識でできます。実際に見ていきましょう。
f(x)を確率密度関数とするとき次が成り立ちます。
- \( \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} f(x)dx=1 \) (全確率の和は1)
- 平均は\( \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} xf(x)dx \)
- 分散は\( \displaystyle \int_{-\infty}^{\infty} x^2 f(x)dx \)を計算し,その結果から平均の2乗を引く。
とりあえずはこの程度の知識でOKで,あとは計算力の戦いになります。例題では簡単な関数を使いますが本番はもう少し計算が複雑な関数がくるとおもっておいて良いでしょう。
例題
確率密度関数f(x)を次のように定める。
\( \displaystyle f(x)=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} ax^2 (0\leq x <1)\\ 0 (それ以外) \end{array} \right.\end{eqnarray} \)
(1) 定数aの値を求めよ。
(2) 平均,分散を求めよ。
\( \displaystyle f(x)=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} ax^2 (0\leq x <1)\\ 0 (それ以外) \end{array} \right.\end{eqnarray} \)
(1) 定数aの値を求めよ。
(2) 平均,分散を求めよ。
基本事項に戻って計算するだけです。積分区間は0から1のみで良いでしょう。(それ以外は被積分関数が0なので計算式を書くだけムダ)
答え(1) \( \displaystyle \int_0^1 f(x)dx=\int_0^1 ax^2dx=\frac{1}{3}a=1 \)
よりa=3
(2) 平均は\( \displaystyle \int_0^1 xf(x)dx=\int_0^1 3x^3dx=\frac{3}{4} \)
分散を求める。
\( \displaystyle \int_0^1 x^2f(x)dx =\int_0^1 3x^4dx=\frac{3}{5} \)
より求める値は
\( \displaystyle \frac{3}{5} - \left( \frac{3}{4} \right)^2=\frac{3}{5}-\frac{9}{16}=\frac{3}{80} \)
よりa=3
(2) 平均は\( \displaystyle \int_0^1 xf(x)dx=\int_0^1 3x^3dx=\frac{3}{4} \)
分散を求める。
\( \displaystyle \int_0^1 x^2f(x)dx =\int_0^1 3x^4dx=\frac{3}{5} \)
より求める値は
\( \displaystyle \frac{3}{5} - \left( \frac{3}{4} \right)^2=\frac{3}{5}-\frac{9}{16}=\frac{3}{80} \)
とりあえずこれが基本です。ただし有名な分布(密度関数)は結果を覚えておいたほうがいいです。
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二項分布
これは連続関数ではないので積分ではなくΣ計算になります。
確率pで成功する操作をn回やったときの成功回数の平均と分散は次の通り
平均:np 分散:np(1-p)
これを知っておくと良いでしょう。(なお標準偏差は分散の正の平方根)
正規分布
正規分布で知っておきたいことは次の情報です。
Xは平均m,標準偏差σの正規分布に従うとする。このときZを
\( \displaystyle Z=\frac{X-m}{\sigma} \)
とおくとZは平均0,標準偏差1の正規分布(標準正規分布という)に従う。
\( \displaystyle Z=\frac{X-m}{\sigma} \)
とおくとZは平均0,標準偏差1の正規分布(標準正規分布という)に従う。
例題
確率変数Xが平均35,分散25の正規分布に従うときP(33≦X≦45)の値を求めなさい。ただし次の表は標準正規分布表の一部であり,P(0≦X≦α)の値である。
α | P(0≦X≦α) |
0.08 | 0.0319 |
0.4 | 0.1554 |
2.0 | 0.4772 |
先ほどの知識を使った問題となります。負の値をとる確率を求めるとき,正規分布はx>0とx<0で対称であることを使います。
答え分散25ということは標準偏差は5である。よって
\( \displaystyle Z=\frac{X-35}{5} \)
とおくとこれは標準正規分布になる。
\( P(33≦X≦45) \\
\displaystyle =P\left( \frac{33-35}{5} \leq \frac{X-35}{5} \leq \frac{45-35}{5} \right)\\
\displaystyle =P(-\frac{2}{5} \leq Z \leq 2) \\
=P(-0.4 \leq Z \leq 0)+P(0 \leq Z \leq 2) \\
=P(0 \leq Z \leq 0.4)+P(0 \leq Z \leq 2)\\
=0.1554+0.4772 \\
=0.6326 \)
\( \displaystyle Z=\frac{X-35}{5} \)
とおくとこれは標準正規分布になる。
\( P(33≦X≦45) \\
\displaystyle =P\left( \frac{33-35}{5} \leq \frac{X-35}{5} \leq \frac{45-35}{5} \right)\\
\displaystyle =P(-\frac{2}{5} \leq Z \leq 2) \\
=P(-0.4 \leq Z \leq 0)+P(0 \leq Z \leq 2) \\
=P(0 \leq Z \leq 0.4)+P(0 \leq Z \leq 2)\\
=0.1554+0.4772 \\
=0.6326 \)
正規分布は対称性があるので次が成り立ちます。
1) P(a≦x≦b)=P(-b≦x≦-a)
2) P(X≧0)=0.5
3) P(X≧a)=P(X≧0)-P(0≦X≦a)=0.5-p(0≦x≦a)
1) P(a≦x≦b)=P(-b≦x≦-a)
2) P(X≧0)=0.5
3) P(X≧a)=P(X≧0)-P(0≦X≦a)=0.5-p(0≦x≦a)
与えられた正規分布表の形に応じてうまく計算することが必要です。
このぐらいできればそれほど困らず計算できるでしょう。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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