上野竜生です。今回は連立微分方程式を解きます。微分演算子を駆使するので,その解き方がわからない人は前回のページで復習してから見ましょう。2本連立させた式を解く前にまず1本だけの式が解けることが前提です。
解き方
Dが多項式のように扱えるので普通の連立方程式のように解けます。
- xとyの式を左辺に持ってくる。
- 加減法の要領で1変数消去
- 2でえられた式を解く
- 与えられた式に代入してもう1つの式も求める。
実際に解いてみましょう。
1本だけの微分方程式を解くときはyがxの関数で解くことがおおいですが,連立の場合x,yはtの関数であることが多いです。
例題
(1)\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} (D+2)x=2y \\ (D-2)y=6x \end{array} \right.\end{eqnarray} \)
(2)\(\begin{eqnarray} \begin{cases} \frac{dx}{dt}=x-y+e^{2t} & x(0)=3 \\ \frac{dy}{dt}=-2x+e^{2t} & y(0)=0 \end{cases} \end{eqnarray}\)
(D+2)x-2y=0・・・①
-6x+(D-2)y=0・・・②
①×6+②×(D+2)より
(-12+(D-2)(D+2))y=0
\( (D^2-16)y=(D+4)(D-4)y=0 \)より
\(y=Ae^{4t}+Be^{-4t} \)
これを②に代入すると
\(x=\frac{D-2}{6}y=\frac{A}{3}e^{4t}-Be^{-4t} \)
yを求めた後xを求めるときに再び①×(D-2)+②×2でyを消去と計算すると面倒です。
もしそうすると\(x=Ce^{4t}+De^{-4t} \)となるわけですがA,B,C,Dにはある程度制約があるので4つも任意定数を使うと正確な表現ではなくなります。(答えから逆算すればたとえばC:A=1:3などの制約があります)
ややこしくならないようにするには片方を求めた後,①②のどちらかに代入して計算しましょう。そうすればC:A=1:3などの制約も含んだ正確な解が得られるようになります。
③×D-④より
\( \{D(D-1)-2\}x=(De^{2t})-e^{2t} \)
\( (D-2)(D+1)x=2e^{2t}-e^{2t}=e^{2t} \)
\((D-2)(D+1)x=0\)の一般解は\(x=Ae^{2t}+Be^{-t} \)だから
\(x=(\frac{t}{3}+A)e^{2t}+Be^{-t} \)
これを③に代入すると
\(\displaystyle x(0)=A+B=3 , y(0)=-A+\frac{2}{3}+2B=0\)より\(\displaystyle A=\frac{20}{9},B=\frac{7}{9}\)
よって
\(\displaystyle x(t)=(\frac{t}{3}+\frac{20}{9})e^{2t}+\frac{7}{9}e^{-t} \\ \displaystyle y(t)=-(\frac{t}{3}+\frac{14}{9})e^{2t}+\frac{14}{9}e^{-t} \)
微分演算子を使うと比較的わかりやすく連立微分方程式を解けます。というよりは本当は線形な微分方程式だから簡単にとけるのですが,それでもこの書き方を使えば見やすくなっていますね。
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