上野竜生です。基本的な関数方程式とその解法を紹介します。
まずは結果を覚えよう!
基本パターンについては結果を覚えて逆算的に解くほうが楽です。なお,すべての問題で連続性や微分可能性は満たすと仮定します。
・f(x+y)=f(x)+f(y) → f(x)=ax
・f(x+y)=f(x)f(y) → f(x)=eax
・f(xy)=f(x)+f(y) → f(x)=alogx
・f(xy)=f(x)f(y) → f(x)=xa
(aは定数)
解法パターンとして
2) f'(x)を求める(導関数の定義の形に変形する)
3) f(x)を求める(積分する)
という流れが定石です。
パターン1: f(x+y)=f(x)+f(y)
記憶によると答えはf(x)=axになるはず。ということはf'(x)は定数になるはず。
という風に考えると楽です。
答えx=y=0を代入するとf(0)=2f(0) ∴f(0)=0
よりf'(0)=aとおくとf'(x)=aである。
よってf(x)=ax+bとなるがf(0)=0よりf(x)=axである。
これが普通の解法です。なお,有理数の稠密性というのを知っていれば
・xが整数ならばf(x)=ax
・xが有理数ならばf(x)=ax
・よって連続であることと有理数の稠密性よりxが実数ならばf(x)=ax
ということもできます。
パターン2: f(x+y)=f(x)f(y)
この問題ではf(x)>0も仮定されることが多いです。(じゃないとf(x)=0もある)
以下ではf(x)>0を仮定します。すると両辺にlogをとれば
logf(x+y)=logf(x)+logf(y)となり
F(x)=logf(x)とおけばF(x+y)=F(x)+F(y)なのでパターン1よりF(x)=ax
つまりf(x)=eaxとなります。
ですが,いきなりパターン2を解く誘導でも頻出なのでそちらも紹介します。
(1) f(0)を求めよ。
(2) f'(0)=aとする。f'(x)=af(x)を示せ。
(3) g(x)=e-axf(x)とおく。g(x)を求めよ。またf(x)を求めよ。
∴f(0)=0,1
f(x)>0よりf(0)=1
(2)
(3) g'(x)=-ae-axf(x)+e-axf'(x)=e-ax{-af(x)+f'(x)}=0
∴g(x)=C
g(0)=e0f(0)=1よりC=1 ∴g(x)=1
よってf(x)=eax
もとの関数方程式にy=0を代入することでf(x)=0が得られます。
これも(3)の誘導で,ほぼ答えがわかってるかのようなg(x)の定義をしています。(答えがわかってないとこのようにおく発想はできないはず。)ですが,解がこれ以外にないことをきちんと証明するための誘導だと思って受け入れましょう。
パターン3: f(xy)=f(x)+f(y)
今までのようなうまい解法もあるのですがこれはパターン1に帰着するのが楽かなと思います。g(x)=f(ex)とおきましょう。
g(x)=f(ex)とおくと
g(x+y)=f(ex+y)=f(exey)=f(ex)+f(ey)=g(x)+g(y)
よってg(x+y)=g(x)+g(y)なのでパターン1よりg(x)=ax
ゆえにf(x)=g(logx)=alogx
パターン4: f(xy)=f(x)f(y)
パターン2+パターン3の両方を使います。g(x)=logf(ex)とおきましょう。
g(x)=logf(ex)とおくと
g(x+y)=logf(ex+y)=logf(exey)=logf(ex)f(ey)=logf(ex)+logf(ey)=g(x)+g(y)よりg(x)=ax
よってlogf(ex)=axよりf(ex)=eax
ゆえにf(x)=ealogx=xa
以上です。ここまで見ればわかると思いますが
パターン1は暗記!
パターン2~4は何をg(x)とおくかだけ覚えて以下はパターン1に帰着
これが手っ取り早いです。
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