上野竜生です。今回は2変数関数の合成関数の微分を覚えましょう。
証明をするとすこし厄介なので教科書に任せて,結果と適用を中心に慣れていきましょう。
合成関数の微分
1変数のとき(復習)
z=f(x)とx=g(t)の合成関数z=f(g(t))の微分は
\[ \frac{dz}{dt}=\frac{df}{dx}\cdot \frac{dx}{dt} \]
2変数のとき(基本)
基本と書いてますが1番複雑なときを先に紹介します。これを先に覚えれば残りのは簡単です。
\[ \frac{\partial z }{\partial s}=\frac{\partial f}{\partial x}\cdot \frac{\partial x}{\partial s}+\frac{\partial f}{\partial y}\cdot \frac{\partial y}{\partial s} \]
\[ \frac{\partial z }{\partial t}=\frac{\partial f}{\partial x}\cdot \frac{\partial x}{\partial t}+\frac{\partial f}{\partial y}\cdot \frac{\partial y}{\partial t} \]
1変数とほとんど同じで,zをsで偏微分したい場合,まずfをxで偏微分した後,xをsで偏微分したものをかけます。同様にyで偏微分したあとyをsで偏微分したものをかけて足し合わせます。
これを覚えておけば派生パターンもすぐに理解できるでしょう。
z=f(x,y)とx=φ(t),y=ψ(t)の合成関数の偏微分
\[ \frac{d z }{dt}=\frac{\partial f}{\partial x}\cdot \frac{dx}{dt}+\frac{\partial f}{\partial y}\cdot \frac{dy}{dt} \]
z=f(x)とx=φ(s,t)の合成関数の偏微分
\[ \frac{\partial z }{\partial s}=\frac{df}{dx}\cdot \frac{\partial x}{\partial s} \]
\[ \frac{\partial z }{\partial t}=\frac{df}{dx}\cdot \frac{\partial x}{\partial t} \]
例題1
とする。
\(\displaystyle \frac{\partial (f \circ g)}{\partial r},\frac{\partial (f \circ g)}{\partial \theta},\frac{d (f \circ h)}{dt} \)を計算せよ。
このように書かれると少しわかりにくいですが
\((f\circ g)(r,\theta)=f(r\cos{\theta} , r\sin{\theta}) \)
とかけば\(x=r\cos{\theta} , y=r\sin{\theta} \)として公式
\(\displaystyle \frac{\partial (f \circ g) }{\partial r}=\frac{\partial f}{\partial x}\cdot \frac{\partial x}{\partial r}+\frac{\partial f}{\partial y}\cdot \frac{\partial y}{\partial r} \)
などが使えますね。
答え
\\ = \displaystyle \frac{(2r\cos{\theta}+r\sin{\theta})\cos{\theta} + (r\cos{\theta}+2r\sin{\theta})\sin{\theta}}{r^2+r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}+1} \\ = \displaystyle \frac{2r(1+\sin{\theta}\cos{\theta})}{r^2+r^2\sin{\theta}\cos{\theta}+1} \)
\\ = \displaystyle \frac{(2r\cos{\theta}+r\sin{\theta})(-r\sin{\theta}) + (r\cos{\theta}+2r\sin{\theta})(r\cos{\theta})}{r^2+r^2 \sin{\theta}\cos{\theta}+1} \\ = \displaystyle \frac{r^2\cos{2\theta}}{r^2+r^2\sin{\theta}\cos{\theta}+1} \)
\( x=e^t+e^{-t} , y=e^t-e^{-t} \)とおくと
\(\frac{dx}{dt}=y , \frac{dy}{dt}=x \)になることに注意。
\( (x+y)^2=(2e^t)^2=4e^{2t} , xy=e^{2t}-e^{-2t} \)より求める結果は
\(\displaystyle \frac{6e^{2t}-2e^{-2t}}{3e^{2t}+e^{-2t}+1} \)
\( (f\circ g)=\log{(r^2+r^2\sin{\theta}\cos{\theta}+1)} \)
\( (f\circ h)=\log{(3e^{2t}+e^{-2t}+1) } \)
ですが合成関数の練習として解答でやる訓練もしましょう。
例題2
g(r,θ)=f(rcosθ,rsinθ)とする。
(x,y)≠0ならば以下の関係式が成り立つことを証明せよ。
答え
よって
例題2は極座標変換の公式として知られているので学部によっては結果を暗記する必要もあるかもしれません。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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