上野竜生です。問179の答えを発表します。

問179

自然数nに対して
(\(\sqrt{n} \)の整数部分)×(\(\sqrt{n}\)の小数部分)
を\( a_n \)とする。
また,数列\( a_n \)の初項から第n項までの和を\(S_n\)とする。

(1)nを平方数でない100以下の自然数とするとき,\( a_n\)の最小値を求めよ。
(2)nを平方数とするとき,次の不等式を証明せよ
\(\displaystyle \frac{\sqrt{2}-1}{6} \sqrt{n}(\sqrt{n}-1)(4\sqrt{n}+1) -2\sqrt{2}+\sqrt{3}+1 \leq S_n \leq \frac{1}{12} \sqrt{n}(\sqrt{n}-1)(4\sqrt{n}+1) \)

 

答え

(1)
整数部分が同じならば小数部分がなるべく小さいほうが\( a_n \)が小さくなる。
よって\( n=m^2+1 ~ (m=1,2,3,4,5,6,7,8,9)\)の場合のみ調べればよい。
\( n=m^2+1\)のとき,\( \sqrt{m^2+1}\)の整数部分はm,小数部分は\( \sqrt{m^2+1}-m \)だから
\(a_{m^2+1}=m(\sqrt{m^2+1}-m) \)
ここで
\(m(\sqrt{m^2+1}-m) \\ = \displaystyle \frac{m(\sqrt{m^2+1}-m)(\sqrt{m^2+1}+m)}{\sqrt{m^2+1}+m} \\ =\displaystyle \frac{m}{\sqrt{m^2+1}+m} \\ = \displaystyle \frac{1}{\sqrt{1+\frac{1}{m^2} }+1} \)
となるからmが大きくなるにつれて\( a_{m^2+1}\)は大きくなる。
よって最小となるのはm=1のとき,つまりn=2のときで\( a_2=\sqrt{2}-1 \)

(2)

\(\sqrt{n}\)の整数部分がsである項が第s群になるように群数列にわける
つまり
第1,2,3項が第1群
第4,5,6,7,8項が第2群
第\( s^2 , s^2+1 , \cdots , (s+1)^2-1\)項が第s群である。
nが平方数のとき\(\sqrt{n} \)は自然数であることに注意する。
第n項は第\(\sqrt{n} \)群の中の第1項であり,\(\sqrt{n} \)の小数部分が0であることから\( a_n=0 \)なので,求めるものは第\(( \sqrt{n} -1) \)群までの和に等しい

\( a_m \)を評価する。(1)と同様に\( n=m^2+k \)とおくと(k=0,1,2,・・・,2mに注意)
\(a_{m^2+k}=m(\sqrt{m^2+k}-m) \\ = \displaystyle \frac{mk}{\sqrt{m^2+k}+m}\\ = \displaystyle \frac{k}{\sqrt{1+\frac{k}{m^2}}+1} \)

なのでm≧2のとき\(\displaystyle 0 \leq \frac{k}{m^2} \leq \frac{2m}{m^2} \leq 1 \)なので
\(\displaystyle \frac{k}{\sqrt{2}+1} \leq a_{m^2+k} \leq \frac{1}{1+1}k \)
つまり
\(\displaystyle (\sqrt{2}-1)k \leq a_{m^2+k} \leq \frac{1}{2}k \)・・・①
が成り立つ。

第m群の和,つまり\( a_{m^2}+a_{m^2+1}+\cdots + a_{m^2+2m} \)を評価する

m=1のとき
\( a_1+a_2+a_3=0+(\sqrt{2}-1)+(\sqrt{3}-1)\\ = \sqrt{2}+\sqrt{3}-2 \)
m≧2のとき①をk=1からk=2mまで足し合わせればよい。(k=0のときnが平方数なので\( a_n=0 \))
よって第m群の和は
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{2m} (\sqrt{2}-1)k \leq a_{m^2}+a_{m^2+1}+\cdots + a_{(m+1)^2-1} \leq \sum_{k=1}^{2m} \frac{1}{2}k \)
よって
\(\displaystyle (\sqrt{2}-1)m(2m+1) \leq \sum_{k=0}^{2m} a_{m^2+k} \leq \frac{1}{2}m(2m+1) \)・・・②
m=1のとき左側の不等式は不成立で,右側の不等式は成立する。

nが平方数のとき,\( S_n \)は第1群から第\(\sqrt{n}-1\)群までの和である。
右側は普通に②の右辺のm=1から\( m=\sqrt{n}-1 \)までの和を計算し,
左側は②の左辺のm=2から\( m=\sqrt{n}-1 \)までの和を計算したあと,\( a_1+a_2+a_3 \)の実際の値を足せばよい。

\(\displaystyle \sum_{m=1}^{\sqrt{n}-1} m(2m+1)=\frac{1}{3}(\sqrt{n}-1)\sqrt{n}(2\sqrt{n}-1)+\frac{1}{2}(\sqrt{n}-1)\sqrt{n} \\ = \displaystyle \frac{1}{6}\sqrt{n}(\sqrt{n}-1)(4\sqrt{n}+1) \)
なので\(\displaystyle \frac{1}{2}\)倍すると右側については題意が成立。
(n=1のときも成立する)

左側は
\(\displaystyle a_1+a_2+a_3+\sum_{m=2}^{\sqrt{n}-1} (\sqrt{2}-1)m(2m+1) \\ = \displaystyle (\sqrt{2}+\sqrt{3}-2)+(\sqrt{2}-1)\frac{1}{6}\sqrt{n}(\sqrt{n}-1)(4\sqrt{n}+1)-(\sqrt{2}-1)\cdot 1 \cdot (2+1) \\ = \displaystyle \frac{\sqrt{2}-1}{6}\sqrt{n}(\sqrt{n}-1)(4\sqrt{n}+1) -2\sqrt{2}+\sqrt{3}+1 \)
となるので題意が成立。(n=1,4のときも成立する)

以上より与えられた不等式は成立する。

 

n=1のとき右側の等号が成立,n=4のとき左側の等号が成立するので≦を<にすることはできません。
 \(\sqrt{n} \)の評価として思い浮かぶ方法として
\( y=\sqrt{x} \)のグラフを区分求積的な方法で評価する方法が考えられます。
(作問時点ではこの方法はうまくいかないと思ってたのですがみなさんの解答を見た結果、この方法の方がより厳しい評価ができます)
模範解答だと②式は
\(\displaystyle 2(\sqrt{2}-1)m^2 + (\sqrt{2}-1)m \leq \sum_{k=0}^{2m} a_{m^2+k} \leq m^2 + \frac{1}{2}m \)
ですが,この方法だと
\(\displaystyle m^2-\frac{1}{3}m \leq \sum_{k=0}^{2m} a_{m^2+k} \leq m^2 +\frac{1}{6}m \)
まで評価できます。右側は凹凸も利用します。

 

 

 

解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました

<高校数学> <大学数学> さらにオススメの塾、特にオンラインの塾についてまとめてみました。自分一人だけでは自信のない人はこちらも参考にすると成績が上がります。