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上野竜生です。y軸周りの回転体の計算方法は述べましたが具体例でいろんな方法で計算してみましょう。すごく単純な例なので有名問題ですがその分いろいろな解法を見比べれると思います。
問題
\( y=\sin{x} (0\leq x \leq \pi) \)とx軸で囲まれる部分をy軸まわりに1回転させてできる回転体の体積を求めよ。
①逆関数を使う
この解法はarcsinxの定義・定義域と微分などについての知識がいりますがこれは大学の範囲なので通常高校数学では使えません。高校範囲で解きたい人は②で解くことになります。
答え
図より求める体積は
図より求める体積は
\(\displaystyle \pi \int_0^1 (\pi-\arcsin{y})^2 - (\arcsin{y})^2 dy \\ =\displaystyle \pi \int_0^1 \pi^2 - 2\pi \arcsin{y} dy \\ = \displaystyle \pi^3 - 2\pi^2 [ y\arcsin{y} ]_0^1 + 2\pi^2 \int_0^1 \frac{y}{\sqrt{1-y^2}}dy \\ =\displaystyle 2\pi^2 [-\sqrt{1-y^2}]_0^1 = 2\pi^2 \)
arcsinxの定義域は\(-\frac{\pi}{2}\leq x\leq \frac{\pi}{2} \)なので右側は対称性から計算することになります。つまり右側は\(x=\frac{\pi}{2} \)を軸に対称移動しているので\( x=\pi-\arcsin{y} \)となります。
\(\displaystyle (\arcsin{x})’=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \)
\(\displaystyle (\arcsin{x})’=\frac{1}{\sqrt{1-x^2}} \)
②普通にyで積分する。
この解法が高校数学では基本になります。
答え
図のように\(x_1,x_2\)を定めると求める体積は
\(\displaystyle \pi \int_0^1 x_2^2 dy - \pi \int_0^1 x_1^2 dy \)
\( y=\sin{x_1} ,y=\sin{x_2} \)より置換積分すると
図のように\(x_1,x_2\)を定めると求める体積は
\(\displaystyle \pi \int_0^1 x_2^2 dy - \pi \int_0^1 x_1^2 dy \)
\( y=\sin{x_1} ,y=\sin{x_2} \)より置換積分すると
\(\displaystyle \pi \int_{\pi}^{\frac{\pi}{2}} x_2^2 \cos{x_2} dx_2 - \pi \int_0^{\frac{\pi}{2}} x_1^2 \cos{x_1} dx_1 \\ = \displaystyle \pi \int_{\pi}^0 x^2 \cos{x} dx \)
部分積分より
\(\displaystyle \pi[x^2 \sin{x}]_{\pi}^0 - \pi \int_{\pi}^0 2x\sin{x}dx \\ =\displaystyle - \pi[-2x\cos{x}]_{\pi}^0 + \pi \int_{\pi}^0 -2\cos{x}dx \\ =\displaystyle 2\pi^2 -\pi [2\sin{x}]_{\pi}^0 = 2\pi^2 \)
③媒介変数 x=t , y=sintとおいてy軸周りの体積を求める。
\(\displaystyle \int_0^1 \pi x^2 dy = \int_{\pi}^{\frac{\pi}{2}} \pi t^2 \cos{t} dt - \int_0^{\frac{\pi}{2}} \pi t^2 \cos{t} dt = \int_{\pi}^{0} \pi t^2 \cos{t}dt \)
これは結局解法②と同じことになります。
④バウムクーヘン積分
答え求める積分は
\(\displaystyle \int_0^\pi 2\pi x \sin{x}dx \\ \displaystyle = [-2\pi x \cos{x}]_0^{\pi} + 2\pi \int_0^{\pi} \cos{x}dx \\ =\displaystyle 2\pi^2 + [2\pi \sin{x}]_0^{\pi}=2\pi^2 \)
\(\displaystyle \int_0^\pi 2\pi x \sin{x}dx \\ \displaystyle = [-2\pi x \cos{x}]_0^{\pi} + 2\pi \int_0^{\pi} \cos{x}dx \\ =\displaystyle 2\pi^2 + [2\pi \sin{x}]_0^{\pi}=2\pi^2 \)
できればバウムクーヘン積分の簡易的な証明をつけたいところです。
⑤パップス=ギュルダンの定理
答え回転させる図形の面積は\(\displaystyle \int_0^{\pi} \sin{x} dx =[-\cos{x}]_0^{\pi}=2 \)
対称性より重心は\(x=\frac{\pi}{2} \)上にある。よって重心の移動距離は\( \pi^2 \)
パップス=ギュルダンの定理より体積は\( 2\pi^2 \)
対称性より重心は\(x=\frac{\pi}{2} \)上にある。よって重心の移動距離は\( \pi^2 \)
パップス=ギュルダンの定理より体積は\( 2\pi^2 \)
⑤はパップス=ギュルダンの定理自体が高校範囲では習わず証明も難しいので記述式だとかなりの確率で減点されそうです。答えだけの大学や記述式の最終手段にしたいところです。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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