上野竜生です。「1の3乗根のうち,1でないものの一つをωとする。このとき次の値を求めよ。」というタイプの解き方を紹介します。
ωの性質
ω3=1 かつ ω≠1(定義より明らか)
1を移項して因数分解するとω3-1=(ω-1)(ω2+ω+1)=0
ω≠1よりω2+ω+1=0
この2次方程式を解の公式で解くと
\(\displaystyle \omega=\frac{-1\pm \sqrt{3}i}{2} \) (±はどちらでもいいけどどちらか1つ適当に決めてください)以下では複号同順で
\(\displaystyle \omega_{\pm}=\frac{-1\pm \sqrt{3}i}{2} \)とする。
実際に計算すると
\( \omega_+^2=\omega_-=\overline{\omega_+} , \omega_-^2=\omega_+=\overline{\omega_-}\)が成り立つ。
よって±のどちらを選択しても\( \omega^2=\overline{\omega} \)が成り立つ。
この赤字部分だけを取り出してまとめると次の通り
<<1の3乗根ωの性質>>
・ω3=1
・ω2+ω+1=0
・\( \displaystyle \omega=\frac{-1+ \sqrt{3}i}{2} \)(マイナスでも可)
・\( \omega^2=\overline{\omega}\)
特に1,2番目の性質が重要です。これを使った問題を解いてみましょう。
例題
(1) (ω+1)9
(2) ω6+ω8+ω10+ω12
(3) (1+ω2)(1+ω3)(1+ω4)
ωのプラスマイナスがどちらなのか定められていないので性質3を使うことはないだろう・・・と予想して解きましょう。(1)は先に9乗の計算をすると大変ですね・・・?
よって(ω+1)9=(-ω2)9=-ω18=-(ω3)6=-1
(2) ω3=1なので
ω6+ω8+ω10+ω12
=1+ω2+ω+1
=1+(ω2+ω+1)=1+0=1
(3) (1+ω2)(1+1)(1+ω)=2(-ω)(-ω2)=2ω3=2
このように工夫次第でいくらでも楽に計算できるのがωの特徴です。もちろん(1)で最初に展開しても答えは一致します。
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