上野竜生です。2直線のなす角を求める問題はほぼ1パターンで解けます。
復習1: 傾き=tanθ
直線y=mx+nがx軸となす角をθとします。この直線の傾きとはxが1増えたときのyの増加量のことでy=mx+nとおいたときの「m」の値です。
一方でtanθとはxが1増えたときのyの増加量のことです。つまり同じ定義です。この2つが等しいので
となります。
復習2: tanの加法定理
タンジェントの加法定理は以下の通りです。
$$ \tan{(\alpha+\beta)}=\frac{\tan{\alpha}+\tan{\beta}}{1-\tan{\alpha}\tan{\beta}}$$
$$ \tan{(\alpha-\beta)}=\frac{\tan{\alpha}-\tan{\beta}}{1+\tan{\alpha}\tan{\beta}}$$
なお,\(\displaystyle \tan{(90°-\theta)}=\frac{1}{\tan{\theta}} \)もあわせて知っておきましょう。
例題
角度を求める問題
それぞれの直線とx軸のなす角をα,βとするとtanα=2,tanβ=\(\frac{1}{3}\)であり,求めたい角はα-βである。しかしこれは直接求めるのは難しい。そこでtanの加法定理を使う。
答えy=2x+4とx軸のなす角をα
\( y=\frac{1}{3}x+5\)とx軸のなす角をβとすると
\( \tan{\alpha}=2 , \tan{\beta}=\frac{1}{3} \)である。
三角関数の加法定理より
\(\displaystyle \tan{(\alpha-\beta)}=\frac{\tan{\alpha}-\tan{\beta}}{1+\tan{\alpha}\tan{\beta}}=\frac{2-\frac{1}{3}}{1+\frac{2}{3}}=1 \)
よってα-β=45°
これは180°より小さいので答えは45°
角度を求める問題ではy切片は必要ありません。この問題文にある直線の式の「+4」「+5」の部分はどうでもいい数字です。
傾きを求める問題
答えy=3x+8とx軸のなす角をα,
y=mxとx軸のなす角をβとすると
tanα=3,tanβ=m
60°<α<90°よりtan(α-β)=tan60°=\( \sqrt{3} \)
よって三角関数の加法定理より
\(\displaystyle \tan{(\alpha-\beta)}=\frac{\tan{\alpha}-\tan{\beta}}{1+\tan{\alpha}\tan{\beta}}=\frac{3-m}{1+3m}=\sqrt{3} \)
整理すると\( 3-m=3\sqrt{3}m+\sqrt{3} \)
よって\(\displaystyle m=\frac{3-\sqrt{3}}{3\sqrt{3}+1}=\frac{10\sqrt{3}-12}{26}=\frac{5\sqrt{3}-6}{13}\)
オマケ
垂直なのでα-β=90° よってtanの加法定理とするとうまくいきません(tan90°が定義されていない)
垂直の時は傾きの積が-1という条件を使いましょう。
答え2直線は垂直に交わるから傾きの積は-1
∴5m=-1 よって\( m=-\frac{1}{5} \)
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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