上野竜生です。2変数関数の最大・最小問題の中で特に(x,y)が円や楕円上を動くときは三角関数の利用が有効です。実際にどう解くのか見てみましょう。初見では難しいですが共通テストでも頻出な良問です。
基本アイデア
x2+y2=a2の形になっている場合はx=acosθ,y=asinθとおくと三角関数の最大最小問題になります。(つまり1変数消去できます)
またx=acosθ , y=bsinθとおけばいい問題も例題2で扱います。
例題1 (x,y)が円周上にあるとき
(1) x
(2) x+3y
(3) x2+8y
(4) \(x^2+\sqrt{3}xy\)
(1) cosθの最大値は1だからx=2cosθの最大値は2((x,y)=(2,0)のとき)
(2) x+3y=2cosθ+6sinθ
\(=2\sqrt{10}\sin{(\theta+\alpha)}\)
ただし\(\alpha\)は\(\sin{\alpha}=\frac{1}{\sqrt{10}},\cos{\alpha}=\frac{3}{\sqrt{10}}\)を満たす角。
\(\alpha \leq \theta+\alpha \leq 2\pi+\alpha\)での\(\sin{(\theta+\alpha)}\)の最大値は1だからx+3yの最大値は\(2\sqrt{10} \)
\(\sin{(\theta+\alpha)}\)が最大となるのは\(\theta+\alpha=\frac{\pi}{2}\)のとき。
よって
\(y=2\sin{\theta}=2\sin{(\frac{\pi}{2}-\alpha)}=2\cos{\alpha}=\frac{6}{\sqrt{10}}\)
のとき
答え(3) x2+8y=4cos2θ+16sinθ=4-4sin2θ+16sinθ
=-4(sinθ-2)2+20
-1≦sinθ≦1よりsinθ=1のとき最大値16((x,y)=0,2のとき)
x2+8y=(4-y2)+8y=-(y-4)2+20
-2≦y≦2よりy=2(,x=0)のとき最大値16
答え(4)
\(x^2+\sqrt{3}xy=\\4\cos^2{\theta}+4\sqrt{3}\sin{\theta}\cos{\theta}\\=4\cdot \frac{\cos{2\theta}+1}{2}+2\sqrt{3}\sin{2\theta}\\
=2\sqrt{3} \sin{2\theta}+2\cos{2\theta}+2\\
=4\sin{(2\theta+\frac{\pi}{6})}+2 \)
\(0\leq \theta < 2\pi \)より\(\frac{\pi}{6} \leq 2\theta+\frac{\pi}{6} < \frac{25}{6}\pi \)
\(2\theta+\frac{\pi}{6}=\frac{\pi}{2} , \frac{5}{2}\pi \),つまり\(\theta=\frac{\pi}{6},\frac{7}{6}\pi \)のとき最大値6
(\((x,y)=(\sqrt{3},1),(-\sqrt{3},-1) \)のとき)
例題2 (x,y)が楕円上にあるとき
\(x^2+4y^2=4\)を動くから\(x=2\cos{\theta},y=\sin{\theta}(0\leq \theta<2\pi) \)とおける。
\(x^2+2xy+2y^2
\\=4\cos^2{\theta}+4\sin{\theta}\cos{\theta}+2\sin^2{\theta}\\
=2+(\cos{2\theta}+1)+2\sin{2\theta}\\=2\sin{2\theta}+\cos{2\theta}+3\\
=\sqrt{5}\sin{(2\theta+\alpha)}+3\)
(ただし\(\alpha\)は\(\sin{\alpha}=\frac{1}{\sqrt{5}},\cos{\alpha}=\frac{2}{\sqrt{5}}\)を満たす角(\(0<\alpha<\frac{\pi}{2}\)))
\(0\leq \theta <2\pi \)より\(\alpha\leq 2\theta+\alpha<4\pi+\alpha\)
より\(2\theta+\alpha=\frac{\pi}{2},\frac{\pi}{5} \)のとき最大値\(3+\sqrt{5}\)
\(\cos{2\theta}=\sin{\alpha}=\frac{\sqrt{5}}{5},\sin{2\theta}=\cos{\alpha}=\frac{2\sqrt{5}}{5}\)
\(\cos^2{\theta}=\frac{\cos{2\theta}+1}{2}=\frac{5+\sqrt{5}}{10}\)
\(\displaystyle x=2\cos{\theta}=\pm 2\sqrt{\frac{5+\sqrt{5}}{10}} \)
\(\sin^2{\theta}=\frac{1-\cos{2\theta}}{2}=\frac{5-\sqrt{5}}{10}\)
\(\displaystyle y=\sin{\theta}=\pm \sqrt{\frac{5-\sqrt{5}}{10}}\)
\(\sin{2\theta}=2\sin{\theta}\cos{\theta}>0\)に注意すると最大となるx,yの値は
(複号同順)
最後の問題はやや複雑ですが三角関数の応用問題としてはなかなか良問です。レベルの高い試験を受ける人にとってはこのレベルまでを「基礎」と呼びたいところです。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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