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上野竜生です。今回は曲線の長さの公式を紹介します。
1 媒介変数表示
x=x(t),y=y(t)(a≦t≦b)で表される曲線の長さは次のように表される
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{(x'(t))^2+(y'(t))^2} dt \)
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{(x'(t))^2+(y'(t))^2} dt \)
「曲線の長さ」を「横がx'(t)dt 縦がy'(t)dtの直角三角形の斜辺」で近似して積分したものと考えれば覚えやすいですね。
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2 陽関数表示
y=f(x) (a≦x≦b)で表される曲線の長さは次のように表される
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{1+(f'(x))^2} dx \)
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{1+(f'(x))^2} dx \)
1でx(t)=t, y(t)=f(t)としたものがy=f(x)なのでわざわざ覚える必要はありません。
ところで曲線の長さを求める立式は簡単ですが,被積分関数が複雑なのである程度特殊な関数でないと手計算で計算することはできません。曲線の長さを計算できる関数はかなり限られているのです。
例題1
\(x=\theta-\sin{\theta} , y=1-\cos{\theta} (0 \leq \theta \leq 2\pi)\)の曲線の長さを求めよ。
答え\(x'=1-\cos{\theta} , y'=\sin{\theta} \)なので
\(\sqrt{x'^2+y'^2}=\sqrt{(1-\cos{\theta})^2+(\sin{\theta})^2}\\=\sqrt{2-2\cos{\theta}}=\sqrt{2-2(1-2\sin^2{\frac{\theta}{2}})}=2|\sin{\frac{\theta}{2}}| \)
よって求める長さは
\(\displaystyle \int_0^{2\pi}2\left|\sin{\frac{\theta}{2}}\right| d\theta = \int_0^{2\pi} 2\sin{\frac{\theta}{2}} d\theta \\
=\displaystyle \left[-4\cos{\frac{\theta}{2}}\right]_0^{2\pi}=8 \)
\(\sqrt{x'^2+y'^2}=\sqrt{(1-\cos{\theta})^2+(\sin{\theta})^2}\\=\sqrt{2-2\cos{\theta}}=\sqrt{2-2(1-2\sin^2{\frac{\theta}{2}})}=2|\sin{\frac{\theta}{2}}| \)
よって求める長さは
\(\displaystyle \int_0^{2\pi}2\left|\sin{\frac{\theta}{2}}\right| d\theta = \int_0^{2\pi} 2\sin{\frac{\theta}{2}} d\theta \\
=\displaystyle \left[-4\cos{\frac{\theta}{2}}\right]_0^{2\pi}=8 \)
【参考】この問題のグラフ(サイクロイド)
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例題2
\( y=\sqrt{4-x^2}\)の0≦x≦1の部分の曲線の長さを求めよ。
答え\( \displaystyle y'=\frac{-x}{\sqrt{4-x^2}} \)なので
\( \displaystyle \sqrt{1+y'^2}=\sqrt{1+\left(\frac{-x}{\sqrt{4-x^2}}\right)^2}\\ \displaystyle =\sqrt{\frac{4-x^2+(-x)^2}{4-x^2}}=\frac{2}{\sqrt{4-x^2}}\)
よって求める曲線の長さは
\(\displaystyle \int_0^1 \frac{2}{\sqrt{4-x^2}} dx \)
\( x=2\sin{\theta} \)と置換すると\(dx = 2\cos{\theta}d\theta \)
\(\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{6}} \frac{2}{\sqrt{4-(2\sin{\theta})^2}} \cdot (2\cos{\theta})d\theta \\
=\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{6}} \frac{1}{\sqrt{1-\sin^2{\theta}}} \cdot 2 \cos{\theta} d\theta \\
=\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{6}} 2 d\theta = \frac{\pi}{3}\)
(∵\( 0 \leq \theta \leq \frac{\pi}{6} \)では\(\cos{\theta}>0 \)なので\(\sqrt{1-\sin^2{\theta}}=|\cos{\theta}|=\cos{\theta} \))
\( \displaystyle \sqrt{1+y'^2}=\sqrt{1+\left(\frac{-x}{\sqrt{4-x^2}}\right)^2}\\ \displaystyle =\sqrt{\frac{4-x^2+(-x)^2}{4-x^2}}=\frac{2}{\sqrt{4-x^2}}\)
よって求める曲線の長さは
\(\displaystyle \int_0^1 \frac{2}{\sqrt{4-x^2}} dx \)
\( x=2\sin{\theta} \)と置換すると\(dx = 2\cos{\theta}d\theta \)
\(\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{6}} \frac{2}{\sqrt{4-(2\sin{\theta})^2}} \cdot (2\cos{\theta})d\theta \\
=\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{6}} \frac{1}{\sqrt{1-\sin^2{\theta}}} \cdot 2 \cos{\theta} d\theta \\
=\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{6}} 2 d\theta = \frac{\pi}{3}\)
(∵\( 0 \leq \theta \leq \frac{\pi}{6} \)では\(\cos{\theta}>0 \)なので\(\sqrt{1-\sin^2{\theta}}=|\cos{\theta}|=\cos{\theta} \))
【参考】これは式変形すればx2+y2=4なので原点中心,半径2の円の上側部分です。
例題3
(1) 極方程式r=f(θ) (a≦θ≦b)で表される曲線の長さは
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{f(\theta)^2 + f'(\theta)^2} d\theta \)であることを示せ。
(2) 極方程式\( r=e^{2\theta} (0\leq \theta \leq \pi )\) で表される曲線の長さを求めよ。
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{f(\theta)^2 + f'(\theta)^2} d\theta \)であることを示せ。
(2) 極方程式\( r=e^{2\theta} (0\leq \theta \leq \pi )\) で表される曲線の長さを求めよ。
公式として覚えるのも1つの手ですが出題頻度もそれほど高くなく,比較的容易に導けるので導出推奨です。
答え(1)極方程式r=f(θ)は媒介変数表示で次のようにかける。
x=f(θ)cosθ , y=f(θ)sinθ
よってx'=f'(θ)cosθ-f(θ)sinθ , y'=f'(θ)sinθ+f(θ)cosθとなるから
\( x'^2+y'^2=\\ f'(\theta)^2 \cos^2{\theta} - 2f(\theta)f'(\theta)\sin{\theta}\cos{\theta} + f(\theta)^2 \sin^2{\theta} + f'(\theta)^2 \sin^2{\theta}+2f(\theta)f'(\theta)\sin{\theta}\cos{\theta} + f(\theta)^2\cos^2{\theta} \\
= f'(\theta)^2(\cos^2{\theta}+\sin^2{\theta})+ f(\theta)^2 (\cos^2{\theta}+\sin^2{\theta}) \\
=f'(\theta)^2+f(\theta)^2 \)
ゆえに曲線の長さは
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{x'^2+y'^2} d\theta = \int_a^b \sqrt{f(\theta)^2+f'(\theta)^2}d\theta \)
(2) \( (e^{2\theta})'=2e^{2\theta} \)なので
\(\displaystyle \int_0^{\pi} \sqrt{(e^{2\theta})^2 + (2e^{2\theta})^2}d\theta = \sqrt{5} \int_0^{\pi} e^{2\theta} d\theta = \sqrt{5}[\frac{1}{2} e^{2\theta}]_0^{\pi}=\frac{\sqrt{5}}{2} (e^{2\pi}-1) \)
x=f(θ)cosθ , y=f(θ)sinθ
よってx'=f'(θ)cosθ-f(θ)sinθ , y'=f'(θ)sinθ+f(θ)cosθとなるから
\( x'^2+y'^2=\\ f'(\theta)^2 \cos^2{\theta} - 2f(\theta)f'(\theta)\sin{\theta}\cos{\theta} + f(\theta)^2 \sin^2{\theta} + f'(\theta)^2 \sin^2{\theta}+2f(\theta)f'(\theta)\sin{\theta}\cos{\theta} + f(\theta)^2\cos^2{\theta} \\
= f'(\theta)^2(\cos^2{\theta}+\sin^2{\theta})+ f(\theta)^2 (\cos^2{\theta}+\sin^2{\theta}) \\
=f'(\theta)^2+f(\theta)^2 \)
ゆえに曲線の長さは
\(\displaystyle \int_a^b \sqrt{x'^2+y'^2} d\theta = \int_a^b \sqrt{f(\theta)^2+f'(\theta)^2}d\theta \)
(2) \( (e^{2\theta})'=2e^{2\theta} \)なので
\(\displaystyle \int_0^{\pi} \sqrt{(e^{2\theta})^2 + (2e^{2\theta})^2}d\theta = \sqrt{5} \int_0^{\pi} e^{2\theta} d\theta = \sqrt{5}[\frac{1}{2} e^{2\theta}]_0^{\pi}=\frac{\sqrt{5}}{2} (e^{2\pi}-1) \)
【参考】この問題のグラフ
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