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上野竜生です。方程式の解の問題では実数解か虚数解かで性質が異なります。それを利用した問題を解いてみましょう。
2次方程式x2+sx+t=0の2つの解をα,βとする。
|α|+|β|=2となるような実数(s,t)の範囲を図示せよ。
|α|+|β|=2となるような実数(s,t)の範囲を図示せよ。
実数解をもつときと虚数解をもつときで計算方法が異なります。この問題はかなり抽象的で難しいですがもう少し具体的な場合をいくつか紹介するより一発でいろんな要素が学べるのでこの1問を全力で解きましょう。
答え・虚数解をもつとき
(判別式)<0よりs2-4t<0
実数係数だから\( \beta = \bar{\alpha}\)
解と係数の関係より\( \alpha \beta = \alpha \bar{\alpha} =|\alpha|^2 = t \)
よって\( |\alpha|=|\beta|=\sqrt{t} \)となり
\( |\alpha|+|\beta|=2\sqrt{t}=2 \)よりt=1
このときs2-4t<0にt=1を代入すると-2<s<2
・実数解をもつとき
(判別式)≧0よりs2-4t≧0
解と係数の関係よりα+β=-s , αβ=t
・t=0のとき解の1つは0なのでもう1つの解は±2でなければならずs=±2
・t>0のときαβ>0より2つの解の符号は一致する。よって
|α|+|β|=|α+β|=2 ⇔ α+β=±2だからs=±2
上記2つをまとめるとt≧0かつs=±2かつs2-4t≧0。つまりs=±2かつ0≦t≦1
・t<0のとき2つの解の符号は異なる。α>0>βとしても一般性を失わない。
|α|+|β|=α-β=2を解けばいい。実際に解を計算することにより
\(\displaystyle \alpha-\beta =\sqrt{s^2-4t} =2 \)なのでs2-4t=4
以上をまとめると
・「-2<s<2かつt=1」または「s=±2かつ0≦t≦1」または「s2-4t=4かつt<0」となり図示すると下の図のとおり。
(判別式)<0よりs2-4t<0
実数係数だから\( \beta = \bar{\alpha}\)
解と係数の関係より\( \alpha \beta = \alpha \bar{\alpha} =|\alpha|^2 = t \)
よって\( |\alpha|=|\beta|=\sqrt{t} \)となり
\( |\alpha|+|\beta|=2\sqrt{t}=2 \)よりt=1
このときs2-4t<0にt=1を代入すると-2<s<2
・実数解をもつとき
(判別式)≧0よりs2-4t≧0
解と係数の関係よりα+β=-s , αβ=t
・t=0のとき解の1つは0なのでもう1つの解は±2でなければならずs=±2
・t>0のときαβ>0より2つの解の符号は一致する。よって
|α|+|β|=|α+β|=2 ⇔ α+β=±2だからs=±2
上記2つをまとめるとt≧0かつs=±2かつs2-4t≧0。つまりs=±2かつ0≦t≦1
・t<0のとき2つの解の符号は異なる。α>0>βとしても一般性を失わない。
|α|+|β|=α-β=2を解けばいい。実際に解を計算することにより
\(\displaystyle \alpha-\beta =\sqrt{s^2-4t} =2 \)なのでs2-4t=4
以上をまとめると
・「-2<s<2かつt=1」または「s=±2かつ0≦t≦1」または「s2-4t=4かつt<0」となり図示すると下の図のとおり。
かなり複雑ですがこれ1つをマスターするといろいろなパターンに応用できます。
2つの解をα,βとするとき実数解なら実数の性質から\(\alpha=\bar{\alpha} , \beta=\bar{\beta} \)が成り立ちます。
虚数解なら\(\alpha=\bar{\beta} \)が成り立ちます。この違いを利用するので実数解か虚数解かで場合分けするというわけです。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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上野竜生です。大学数学の参考書をまとめてみました。フーリエ解析以外は自分が使ったことある本から選びました。 大…
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