上野竜生です。整数問題の基本・不定方程式を解くときの基本パターンを2つ紹介します。
パターン1:大小関係の設定
普通に考えるとどこから考えていいかわからないような問題です。aを小さくすればbやcが大きくなるしaを大きくすれば小さなbやcもあるしやってもキリがなさそうです。
今回のように対称性がある場合はa≦b≦cとしてみましょう。その場合で見つけておいてあとは順番を入れ替えたものを答えればよくなります。
答えa≦b≦cとしても一般性を失わない。このとき
\( \frac1a \geq \frac1b \geq \frac1c \)より
\( \frac1a+\frac1b+\frac1c \leq \frac1a+\frac1a+\frac1a=\frac3a \)
よって\( \frac3a \geq 1\)だから\( a\leq 3\)
a=1のとき\( \frac1b+\frac1c=0 \)を満たす整数はない。
a=3のときb=c=3しかない。(b=3,c≧4とすると1より小さくなる。b≧4,c≧4のときも同様)
a=2のとき\( \frac1b+\frac1c=\frac12 \)を満たす整数b,c(2≦b≦c)を見つける。
\( \frac1b+\frac1c \leq \frac1b+\frac1b=\frac2b\)より
\( \frac2b \geq \frac12 \)だからb≦4
b=2とすると\( \frac1c=0 \) これを満たす整数cはない。
b=3のときc=6
b=4のときc=4
以上より(a,b,c)=(3,3,3),(2,3,6),(2,4,4)
a≦b≦cでない場合も含めると答えは
(a,b,c)=(3,3,3),(2,4,4),(4,2,4),(4,4,2),(2,3,6),(2,6,3),(3,2,6),(3,6,2),(6,2,3),(6,3,2)
なお,この問題ではc≧3と導くこともできます。たしかに正しいですが,不等号の向きが逆(たとえばc≧3)を導いても全然絞り込みにはなりません。何とかして値が制限される方向の不等式が導けないか考えましょう。
パターン2:因数分解の利用
因数分解して「因数分解した式=定数c」の形にもっていき,かけてcになる2つの整数の組を見つけるのが定石です。
因数分解の利用と聞いてこの例題を見せたので右辺を(y+1)(y2-y+1)と因数分解したくなるかもしれませんがこうしてもほとんど意味がありません。なぜなら「因数分解した式=定数c」の形ではないので次の一手がとれないからです。(xが素数などという条件があればまだ可能性はありますが整数だけではやりにくいです)
そこで「1」を右辺に持ってくることを考えx3-y3=1とし,この左辺を因数分解します。
答え与えられた式を変形すると
x3-y3=1
(x-y)(x2+xy+y2)=1
x-y,x2-xy+y2は整数だからかけて1になる整数の組を探すと
(x-y,x2+xy+y2)=(1,1),(-1,-1)
x-y=1のときx=y+1をx2+xy+y2=1に代入すると
(y+1)2+(y+1)y+y2=3y2+3y+1=1
3y(y+1)=0よりy=0,-1
よって(x,y)=(1,0),(0,-1)
x-y=-1のときも同様にすると
(y-1)2+(y-1)y+y2=-1
3y2-3y+2=0
この方程式は実数解をもたないので不適。
よって(x,y)=(1,0),(0,-1)
太字部分まで持ってこれるかがこの整数問題の鍵です。そこさえ突破できれば連立方程式を解くだけです。最終的に出た答えが整数でなければ不適にになることに注意してください。
なお,因数分解するとき,定数項は微調整できます。(例:xy+x-y-7=0を解くとき,左辺はこのままでは因数分解できないがxy+x-y-1なら因数分解できることを利用しxy+x-y-1=6と変形して(x-1)(y+1)=6のようにして考えることもできます。)
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