上野竜生です。通常大学入試では「複利計算」を題材に扱うことはないとおもいますが,私立大学の特に経済学部では出題されることもあります。そこで複利計算に関する解き方を紹介します。なお国公立大学のみを目指す人は(多分出ないので)読み飛ばしてもいいでしょう。
複利とは?
単利と複利の違いを理解しておきましょう。たとえば年利率10%で100万円を借りるとき単利であれば
1年後は110万円,2年後は120万円,3年後は130万円という風に常に最初の「100万円」に対して10%ずつ増えていきます。
複利であれば
1年後は110万円,2年後は121万円,3年後は133.1万円という風に直前の金額の10%上乗せされていきます。最初の100万円だけでなく「上乗せされた部分」にもまた1年たてばその10%が上乗せされていく感じですね。
これは指数関数的に増えていきます。つまり等比数列になっていくということです。なので問題を解くときは等比数列の知識が使えるということと,「現在の100万円の価値」≠「n年後の100万円の価値」であることに注意しましょう。どの時点で価値を考えるかそろえる必要があります。
例題1
借りた70万円の7年後の価値は
\( 70 \cdot (1.05)^7=98 \)
1年後に返したx万円の7年後時点の価値は
\( x \cdot (1.05)^6 \)
k年後(1≦k≦7)年後に返したx万円の7年後時点の価値は
\( x \cdot (1.05)^{7-k} \)
よって毎年x万円返済したときの7年後の価値は
等比数列の和の公式を利用すると
\(\displaystyle x \cdot \frac{(1.05)^7-1}{1.05-1}=8x \)
よって\(98 \leq 8x \)
\(x \geq 12.25 \)
12万2500円以上
\(\displaystyle \frac{x}{(1.05)^7}\)万円という風に考えます。
すると上の解法で全部が(1.05)7で割られた式になります。
次の例題では「現在の価値」に統一して考えます。
例題2
(1)今80万円を払う代わりに1年後から毎年1万円が永久にもらえるとする。貰える金額の価値が支払った金額より高くなるのは何万円もらったときか?
ただしlog102=0.301,log101.01=0.00432とする。
(2)今160万円を払う代わりに1年後から毎年1万円が永久にもらえるとする。貰える金額の価値が支払った金額より高くなるのは何万円もらったときか?
答え(1)n年後までにもらった金額の現在の価値の合計(単位:万円)は
これが80万円を超えるから
\(\displaystyle 100-\frac{100}{1.01^n} \geq 80 \)
\(\displaystyle \frac{100}{1.01^n} \leq 20 \)
\( (1.01)^n \geq 5 \)
これを解けばいい。両辺に常用対数をとると
\( n \log_{10}{1.01} \geq \log_{10}{5} \)
n≧161.8より162年後
(2)(1)よりn年分の1万円の現在価値は
\(\displaystyle 100-\frac{100}{1.01^n} \)
\(1.01^n >0 \)なのでこれが100を超えることはない。
よって何年経ってももらえる金額は支払った金額より高くはならない。
公比が1より小さい場合,nを無限大にするとその等比数列は0に収束します。よって「毎年1万円が永遠にもらい続けられる」ということの現在価値は100万円という風に有限の値になるということがわかります。数学を理解していなければ無限にもらえるのだから価値も無限と考えがちですが実は違うのです。(2)のように最初に100万円より高額を支払わされるといつまでたっても「もと」はとれません。
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