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上野竜生です。ガウス記号が嫌いだという受験生も多いと思います。場合分けが多いのと等号がどっちになるか複雑だからでしょう。ここでやり方を身につけましょう。

ガウス記号の方程式

ガウス記号とは

実数xに対し[x]はxの整数部分(xを超えない最大の整数)を表し,この[ ]の記号をガウス記号といいます。

例)[√2]=1 ,[7]=7 , [-π]=-4 (πは円周率)

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性質

1. [x]は整数である。(定義より自明)
2. x-1<[x]≦x

xを超えない最大の整数という条件より2が成り立ちますが参考書が見れない試験でいざとなったとき,-1だったか+1だったか,等号はあったかなかったかなどややこしいのも事実です。そういうときの復元方法は・・・

整数ではない値と整数の値の両方を代入してみる!!

たとえばx=1.7なら[x]=1なので[x]はxとx-1の間にあり,x-1<[x]<xまで復元できます。
さらにx=2なら[x]=2なので右側に等号がありx-1<[x]≦xという風に元の公式が復元できます。

例題

例題1:\( [\sqrt{x}]=x-6 \)を満たす実数xをすべて求めよ

答え左辺は整数だから右辺は整数であり,xも整数でないといけない。また左辺≧0よりx≧6

\( \sqrt{x}-1 < [\sqrt{x}] \leq \sqrt{x} \)だから

\( \sqrt{x}-1 < x-6 \leq \sqrt{x} \)

これを解けばいい。左側について

\( \sqrt{x} < x-5 \)の両辺を2乗して整理すると

x2-11x+25>0

この不等式を解きxが6以上の整数であることに注意するとx≧8

右側について

x2-13x+36≦0をときxが6以上の整数であることに注意すると6≦x≦9

よってx=8,9

x=8のとき両辺ともに2, x=9のとき両辺ともに3なので成立。

よってx=8,9

最後にx=8,9が適切か確かめてますが,もし最初にxが整数という条件を考え忘れればもっと広い範囲になってますしもし等号成立するなら最低でもこの条件が必要,というところから攻めているだけにすぎないと考えて,十分性を確認するほうがいいでしょう。

 

例題2: [x2]=[3x]を満たす実数xの範囲を求めよ。

まず両辺は整数であることに注意します。(左辺)=(右辺)=nとおいてもいいでしょう。あとはそれぞれのガウス記号の条件を立式します。

答え[x2]=[3x]=nとおく。左辺≧0より右辺≧0。つまりx≧0かつn≧0

x2-1<n≦x2 かつ 3x-1<n≦3xが成り立つ。これをxについて解くと

\( \sqrt{n} \leq x < \sqrt{n+1} \)かつ\( \frac{n}{3} \leq x <\frac{n+1}{3} \)・・・(*)が成り立つ。

この連立不等式が解なしにならなければ良い。

よって\( \sqrt{n}<\frac{n+1}{3} \)かつ\( \sqrt{n+1}>\frac{n}{3} \)が必要となり(★)

これを満たす整数nはn=0,7,8,9

よってn=0のとき(*)を解くと\( 0\leq x <\frac{1}{3} \)

n=7のとき(*)を解くと\(\sqrt7 \leq x <\frac{8}{3} \)

n=8のとき(*)を解くと\(2\sqrt2 \leq x <3 \)

n=9のとき(*)を解くと\( 3\leq x <\sqrt{10} \)

以上より

\( 0 \leq x <\frac{1}{3} ,\sqrt{7} \leq x <\frac{8}{3} , 2\sqrt{2} \leq x <\sqrt{10} \)
(★)部分を自分で考えることが重要です。下の図などを書けばこの条件が必要であることがわかるでしょう。この条件は片方の範囲がもう片方の範囲の中に完全に含まれるときも成り立ちます。
不等式の範囲1 不等式の範囲2

ちなみにこの問題の場合次のアイデアも使えます。

αとβの整数部分が一致しないといけないので|α-β|はある程度小さくないといけない。
たとえばα=1.000ならβ=1.999までしかダメなので|α-β|<1が必要だとわかる。これを用いて範囲を絞り込み,αが整数となるところで[α]の値が変わっていくのだからその点を基準にその都度場合分けして求めることもできます。

|x2-3x|<1よりx2-3x>-1かつx2-3x<1

不等式の範囲

よって\( \displaystyle 0\leq x < \frac{3-\sqrt5}{2} \)または\( \displaystyle \frac{3+\sqrt5}{2}<x<\frac{3+\sqrt{13}}{2}\)

x,[x2],[3x]の変化を表にまとめると

x 0 ・・・ \( \frac{1}{3}\) ・・・ \( \frac{3-\sqrt5}{2}\)
[x2] 0 0 0 0 0
[3x] 0 0 1 1 1

 

x \( \frac{3+\sqrt5}{2}\) \( \sqrt7\) \( \frac{8}{3}\) \(2\sqrt2\) 3  \(\sqrt{10}\) \(\frac{3+\sqrt{13}}{2}\)
 [x2] 6 6 7 7 7 7 8 8 9 9 10 10 10
 [3x] 7 7 7 7 8 8 8 8 9 9 9 9 9

よって答えは

\( 0\leq x < \frac{1}{3} , \sqrt{7}\leq x < \frac83 , 2\sqrt2 \leq x < \sqrt{10}\)

 

少し複雑ですがこのぐらいの複雑さは入試で良く出るので対策しておきましょう。このあたりは確かに嫌になるかもしれませんがここで嫌になっても諦めずに次の分野にすすむといいでしょう。(つまりガウス記号の取り扱いができないから次の分野もできなくなるような積み重ねの土台的項目ではないです)

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