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上野竜生です。楕円は円をy軸方向(もしくはx軸方向)のみに拡大して得られるものです。それを利用すると便利なこともあるのですが落とし穴もあります。しっかり理解しましょう。なおここでは楕円と円の関係に絞って解説していくので焦点など2次曲線的性質が読みたい方2次曲線のページをご覧ください。

楕円は円の拡大

楕円の式は\( \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1 \)

① 両辺をa2倍すると\( x^2+\frac{a^2y^2}{b^2}=a^2 \)となり,ここから円x2+y2=a2をy軸方向に\( \frac{b}{a}\)倍に拡大して得られる図形であることがわかります。(わからない人は媒介変数など軌跡の性質を利用して計算してみてください)

② 最初の両辺をb2倍すると\( \frac{b^2x^2}{a^2}+y^2=b^2\)となり,ここから円x2+y2=b2をx軸方向に\( \frac{a}{b} \)倍に拡大して得られる図形であることがわかります。

(「拡大」とありますがたとえば0.2倍に拡大という表現は実質的に縮小ですがこの場合も拡大という言葉を使うことにします)

なおa>0,b>0としても問題ありませんので以下ではa,bは正とします。

 

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面積はπab

上記の①の性質を使うと元の円の面積がπa2でありそれのb/a倍だからπabとわかります。

上記の②の性質を使うと元の円の面積がπb2でありそれのa/b倍だからπabとわかります。

これは便利なので知っておいてもいいでしょう。楕円の面積を求める問題はあまり見かけませんが覚えやすいと思います。

なんとなく理解できなくもないけど本当にこんな考えでいいの?と思う人は実際に積分してみましょう。

[証明]

\( \displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1 \)をy=の形に直すと

\( \displaystyle y=b\sqrt{1-\frac{x^2}{a^2}} \)

x軸,y軸対称であることを利用すると面積Sは

\( \displaystyle S=4\int_0^a b\sqrt{1-\frac{x^2}{a^2}}dx \)

x=asinθと置換すると

\( \displaystyle S=4\int_0^{\frac{\pi }{2}} b\sqrt{1-\sin^2{\theta}}\cdot a\cos{\theta}d\theta \\
\displaystyle =4ab \int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^2{\theta}d\theta\\
\displaystyle = 4ab \int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1+\cos{2\theta}}{2}d\theta\\
\displaystyle =4ab\left[\frac{1}{2}\theta + \frac{1}{4}\sin{2\theta}\right]_0^{\frac{\pi}{2}}\\=\pi ab \)

(証明終わり)

円の媒介変数表示はx=acosθとy=asinθですが楕円も同様に媒介変数表示できます。

媒介変数で書くとx=acosθ,y=bsinθ

実際に楕円の式に代入すると両辺が一致することがわかります。

そしてここで誤解が生まれます。注意しましょう。

O(0,0), A(a,0) , P(acosθ,bsinθ)とする。(A,Pは楕円上の点です)このとき∠POAはθとは一致するとは限らない。
楕円の媒介変数の性質

円のときは∠POA=θでしたが楕円のときはそういうわけではありません。注意しましょう。

例題:O(0,0),A(1,0)とし,楕円\( \frac{x^2}{6}+\frac{y^2}{12}=1 \)上の点Pを∠POA=45°となるようにとる。ただしPは第1象限にあるとする。Pの座標を求めよ。

つまりこの問題で\( P(\sqrt{6}\cos{\theta} , 2\sqrt{3}\sin{\theta} )\)とおきθ=45°を代入して\( P(\sqrt3, \sqrt6 )\)とするのは間違いです。∠POA=45°だからy=(tan45°)x=xとの交点を求める方針で解きます。

答えy=xと楕円の交点を求めればよい。楕円の式にy=xを代入すると

\( \frac{x^2}{6}+\frac{x^2}{12}=\frac{x^2}{4}=1 \)

Pは第1象限にあるからx>0なのでx=2

これをy=xに代入するとy=2

よってP(2,2)

いかがでしたか。便利だけど少し勘違いポイントがありますね。そこで勘違いして大きな失点をしないようにしましょう。

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