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上野竜生です。今回は一般の形であらわされた二次曲線
ax2+bxy+cy2+dx+ey+f=0
が円なのか楕円なのか双曲線なのか放物線なのかを判定する方法を紹介します。
ただ頑張って計算するだけなので試験で証明を問われることも少ないでしょうが,結果は覚えやすいので結果だけ覚えておくと強くなります。
一部証明方法が特殊なところもあるのでそこだけ見ておきましょう。
ax2+bxy+cy2+dx+ey+f=0
が円なのか楕円なのか双曲線なのか放物線なのかを判定する方法を紹介します。
ただ頑張って計算するだけなので試験で証明を問われることも少ないでしょうが,結果は覚えやすいので結果だけ覚えておくと強くなります。
一部証明方法が特殊なところもあるのでそこだけ見ておきましょう。
手順1
二次曲線\( AX^2+BXY+CY^2+DX+EY=F \)・・・①は原点を中心にうまくθ回転させることによりBの項を消去でき,\( ax^2+cy^2+dx+ey=F \)・・・②の形にかけることを示せ。
複素数平面上で点X+Yiをθ回転移動させた結果x+yiになるとする。
このとき\( x+yi=(X+Yi)(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \)
\( X+Yi=(x+yi)(\cos{(-\theta)}+i\sin{(-\theta)})=(x+yi)(\cos{\theta}-i\sin{\theta}) \\ = (x\cos{\theta}+y\sin{\theta})+(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})i \)
つまり\(X=x\cos{\theta}+y\sin{\theta} , Y=y\cos{\theta}-x\sin{\theta} \)なのでこれを①に代入すると
\( A(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})^2+B(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})+C(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})^2\\ +D(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})+E(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})=F \)
展開すると
\( A(x^2 \cos^2{\theta}+2xy\sin{\theta}\cos{\theta}+y^2\sin^2{\theta} ) \\ + B(xy\cos^2{\theta} -x^2 \sin{\theta}\cos{\theta} +y^2 \sin{\theta}\cos{\theta}-xy\sin^2{\theta}) \\ +C(y^2 \cos^2{\theta} - 2xy\sin{\theta}\cos{\theta} + x^2\sin^2{\theta}) \\ +D(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})+E(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})=F \)
x,yについて整理すると
\( (A\cos^2{\theta} -B\sin{\theta}\cos{\theta} + C\sin^2{\theta})x^2 \\ + (2A\sin{\theta}\cos{\theta} + B\cos^2{\theta} - B\sin^2{\theta} - 2C\sin{\theta}\cos{\theta}) xy \\ + (A\sin^2{\theta}+B\sin{\theta}\cos{\theta}+C\cos^2{\theta})y^2 \\ +(D\cos{\theta}-E\sin{\theta})x+(D\sin{\theta}+E\cos{\theta})y=F \)
これのxyの係数が0になるような\(\theta \)が存在すればよい。つまり
\( 2A\sin{\theta}\cos{\theta}+B\cos^2{\theta}-B\sin^2{\theta} -2C\sin{\theta}\cos{\theta} \\ = (A-C)\sin{2\theta} + B\cos{2\theta} =0 \)
となるような\(\theta\)が存在すればよい。
A-C=0のとき\(\cos{2\theta}=0 \),つまり\(\theta=\frac{\pi}{4} \)
A-C≠0のとき\(\displaystyle \tan{2\theta}=\frac{B}{C-A} \)を満たすθを取ればよい。
このとき\( x+yi=(X+Yi)(\cos{\theta}+i\sin{\theta}) \)
\( X+Yi=(x+yi)(\cos{(-\theta)}+i\sin{(-\theta)})=(x+yi)(\cos{\theta}-i\sin{\theta}) \\ = (x\cos{\theta}+y\sin{\theta})+(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})i \)
つまり\(X=x\cos{\theta}+y\sin{\theta} , Y=y\cos{\theta}-x\sin{\theta} \)なのでこれを①に代入すると
\( A(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})^2+B(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})+C(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})^2\\ +D(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})+E(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})=F \)
展開すると
\( A(x^2 \cos^2{\theta}+2xy\sin{\theta}\cos{\theta}+y^2\sin^2{\theta} ) \\ + B(xy\cos^2{\theta} -x^2 \sin{\theta}\cos{\theta} +y^2 \sin{\theta}\cos{\theta}-xy\sin^2{\theta}) \\ +C(y^2 \cos^2{\theta} - 2xy\sin{\theta}\cos{\theta} + x^2\sin^2{\theta}) \\ +D(x\cos{\theta}+y\sin{\theta})+E(y\cos{\theta}-x\sin{\theta})=F \)
x,yについて整理すると
\( (A\cos^2{\theta} -B\sin{\theta}\cos{\theta} + C\sin^2{\theta})x^2 \\ + (2A\sin{\theta}\cos{\theta} + B\cos^2{\theta} - B\sin^2{\theta} - 2C\sin{\theta}\cos{\theta}) xy \\ + (A\sin^2{\theta}+B\sin{\theta}\cos{\theta}+C\cos^2{\theta})y^2 \\ +(D\cos{\theta}-E\sin{\theta})x+(D\sin{\theta}+E\cos{\theta})y=F \)
これのxyの係数が0になるような\(\theta \)が存在すればよい。つまり
\( 2A\sin{\theta}\cos{\theta}+B\cos^2{\theta}-B\sin^2{\theta} -2C\sin{\theta}\cos{\theta} \\ = (A-C)\sin{2\theta} + B\cos{2\theta} =0 \)
となるような\(\theta\)が存在すればよい。
A-C=0のとき\(\cos{2\theta}=0 \),つまり\(\theta=\frac{\pi}{4} \)
A-C≠0のとき\(\displaystyle \tan{2\theta}=\frac{B}{C-A} \)を満たすθを取ればよい。
手順2
ac≠0のとき二次曲線\(ax^2+cy^2+dx+ey=F \)・・・②
はうまく平行移動させることによりd,eの係数を消去し
\(ax^2+cy^2=F' \)・・・③の形にかけることを示せ。
特にこのとき\(x^2,y^2\)の係数は変化しないことも確認せよ。
はうまく平行移動させることによりd,eの係数を消去し
\(ax^2+cy^2=F' \)・・・③の形にかけることを示せ。
特にこのとき\(x^2,y^2\)の係数は変化しないことも確認せよ。
②をx軸方向にs,y軸方向にt平行移動させた式は
\( a(x-s)^2+c(y-t)^2 +d(x-s)+e(y-t)=F \)
これを展開すると
\(ax^2-2asx+as^2+cy^2-2cty+ct^2+dx-ds+ey-et=F \)
これと③の係数を比較すると
a=a
c=c
0=-2as+d
0=-2ct+e
F'=F-(as2+ct2-ds-et)
3つめと4つめが成立するようなs,tがあることを示せばよいので
2as-d=0
2ct-e=0
を解けばよい。
これを解くと
\( s=\frac{d}{2a} , t=\frac{e}{2c} \)
となるのでこのs,tに対して②をx軸方向にs,y軸方向にt平行移動させると③の形にかける。
\( a(x-s)^2+c(y-t)^2 +d(x-s)+e(y-t)=F \)
これを展開すると
\(ax^2-2asx+as^2+cy^2-2cty+ct^2+dx-ds+ey-et=F \)
これと③の係数を比較すると
a=a
c=c
0=-2as+d
0=-2ct+e
F'=F-(as2+ct2-ds-et)
3つめと4つめが成立するようなs,tがあることを示せばよいので
2as-d=0
2ct-e=0
を解けばよい。
これを解くと
\( s=\frac{d}{2a} , t=\frac{e}{2c} \)
となるのでこのs,tに対して②をx軸方向にs,y軸方向にt平行移動させると③の形にかける。
また,\(x^2,y^2\)の部分の係数は変化しない。
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手順3
①③のA,B,C,a,cに対し\( B^2-4AC=-4ac \)が成り立つことを示せ。
③のa,cと②のa,cは等しいので①と②で比較する。手順1の証明より
\( a=A\cos^2{\theta}-B\sin{\theta}\cos{\theta}+C\sin^2{\theta} \)
\( b=(A-C)\sin{2\theta}+B\cos{2\theta}=0 \)
\( c=A\sin^2{\theta}+B\sin{\theta}\cos{\theta}+C\cos^2{\theta} \)
つまり
\( a+c=A+C, a-c=(A-C)\cos{2\theta}-B\sin{2\theta}\)
\( -4ac=0^2-4ac=b^2-4ac=b^2+(a-c)^2-(a+c)^2\\ = \left\{(A-C)\sin{2\theta}+B\cos{2\theta} \right\}^2 + \left\{ (A-C)\cos{2\theta}-B\sin{2\theta} \right\}^2 - (A+C)^2 \\ = (A-C)^2+B^2 - (A+C)^2= B^2 -4AC \)
\( a=A\cos^2{\theta}-B\sin{\theta}\cos{\theta}+C\sin^2{\theta} \)
\( b=(A-C)\sin{2\theta}+B\cos{2\theta}=0 \)
\( c=A\sin^2{\theta}+B\sin{\theta}\cos{\theta}+C\cos^2{\theta} \)
つまり
\( a+c=A+C, a-c=(A-C)\cos{2\theta}-B\sin{2\theta}\)
\( -4ac=0^2-4ac=b^2-4ac=b^2+(a-c)^2-(a+c)^2\\ = \left\{(A-C)\sin{2\theta}+B\cos{2\theta} \right\}^2 + \left\{ (A-C)\cos{2\theta}-B\sin{2\theta} \right\}^2 - (A+C)^2 \\ = (A-C)^2+B^2 - (A+C)^2= B^2 -4AC \)
かなり工夫しています。地道に計算しようとすると非常に大変です。ここだけ証明方法が特殊なので覚えておいてもいいかもしれません。とはいえほぼ必要ないです。
重要なのは\( B^2-4AC=b^2-4ac\)が成り立つことです。
またこれはac=0のときも成り立つことに注意してください。
重要なのは\( B^2-4AC=b^2-4ac\)が成り立つことです。
またこれはac=0のときも成り立つことに注意してください。
手順4
そしてこの結果から二次曲線の特定ができます。
ac=0のときa=0またはc=0なので②は放物線の式と等しくなる。
ac≠0のとき③の形になる。
\(ax^2+cy^2=F' \)が二次曲線を表すとき
aとcが同符号,つまりac>0なら楕円または円。
aとcが異符号,つまりac<0なら双曲線です。
ということは(1)から順番にたどると
二次曲線\( Ax^2+Bxy+Cy^2+Dx+Ey+F=0\)は判別式\(B^2-4AC \)が
正ならば双曲線,0ならば放物線,負ならば楕円または円となります。
楕円か円かは容易に判別できます。(円の方程式の形をしていれば円,それ以外は楕円。つまりA=CかつB=0のときが円です。)
ただしそもそも二次曲線じゃない場合もあるので注意してください。
ac=0のときa=0またはc=0なので②は放物線の式と等しくなる。
ac≠0のとき③の形になる。
\(ax^2+cy^2=F' \)が二次曲線を表すとき
aとcが同符号,つまりac>0なら楕円または円。
aとcが異符号,つまりac<0なら双曲線です。
ということは(1)から順番にたどると
二次曲線\( Ax^2+Bxy+Cy^2+Dx+Ey+F=0\)は判別式\(B^2-4AC \)が
正ならば双曲線,0ならば放物線,負ならば楕円または円となります。
楕円か円かは容易に判別できます。(円の方程式の形をしていれば円,それ以外は楕円。つまりA=CかつB=0のときが円です。)
ただしそもそも二次曲線じゃない場合もあるので注意してください。
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練習問題
次の式であらわされる図形の名称を下から選べ。
(1) \( 3x^2 + 2\sqrt{3}xy + y^2 +2x-2\sqrt{3}y=0\)
(2) \( x^2-y^2+x-y=0 \)
(3) \( x^2+2xy+3y^2+4x+5y+6=0 \)
[選択肢]①円 ②楕円 ③放物線 ④双曲線 ⑤それ以外
(1) \( 3x^2 + 2\sqrt{3}xy + y^2 +2x-2\sqrt{3}y=0\)
(2) \( x^2-y^2+x-y=0 \)
(3) \( x^2+2xy+3y^2+4x+5y+6=0 \)
[選択肢]①円 ②楕円 ③放物線 ④双曲線 ⑤それ以外
答え(1) yについて整理すると
\( y^2+2(\sqrt{3}x-\sqrt{3})y +3x^2+2x=0 \)
解の公式を用いてyについて解くと
\( y=-(\sqrt{3}x-\sqrt{3})\pm \sqrt{(\sqrt{3}x-\sqrt{3})^2-(3x^2+2x)} \\ = -(\sqrt{3}x-\sqrt{3}) \pm \sqrt{3-8x} \)
となりこれは曲線を表すので2次曲線である。
判別式\( (2\sqrt{3})^2-4\cdot 3 \cdot 1=0 \)より放物線の式である。よって③
(2) 因数分解すると(x+y+1)(x-y)=0
つまりx+y+1=0またはx-y=0なので2直線をあらわす。よって⑤
(3) \( x^2+2xy+3y^2+4x+5y+6=0 \)
\( x^2+2(y+2)x+3y^2+5y+6 =0 \)
\( (x+y+2)^2 -y^2-4y-4+3y^2+5y+6=0 \)
\( (x+y+2)^2 + 2y^2+y+2=0 \)
\(\displaystyle (x+y+2)^2 + 2\left(y+\frac{1}{4} \right)^2 + \frac{15}{8} =0\)
となるが(実数)2≧0なので左辺は\( \frac{15}{8}\)以上になり0にはならない。
つまり式が表す実数(x,y)は存在しないので図形を表さない。答えは⑤
\( y^2+2(\sqrt{3}x-\sqrt{3})y +3x^2+2x=0 \)
解の公式を用いてyについて解くと
\( y=-(\sqrt{3}x-\sqrt{3})\pm \sqrt{(\sqrt{3}x-\sqrt{3})^2-(3x^2+2x)} \\ = -(\sqrt{3}x-\sqrt{3}) \pm \sqrt{3-8x} \)
となりこれは曲線を表すので2次曲線である。
判別式\( (2\sqrt{3})^2-4\cdot 3 \cdot 1=0 \)より放物線の式である。よって③
(2) 因数分解すると(x+y+1)(x-y)=0
つまりx+y+1=0またはx-y=0なので2直線をあらわす。よって⑤
(3) \( x^2+2xy+3y^2+4x+5y+6=0 \)
\( x^2+2(y+2)x+3y^2+5y+6 =0 \)
\( (x+y+2)^2 -y^2-4y-4+3y^2+5y+6=0 \)
\( (x+y+2)^2 + 2y^2+y+2=0 \)
\(\displaystyle (x+y+2)^2 + 2\left(y+\frac{1}{4} \right)^2 + \frac{15}{8} =0\)
となるが(実数)2≧0なので左辺は\( \frac{15}{8}\)以上になり0にはならない。
つまり式が表す実数(x,y)は存在しないので図形を表さない。答えは⑤
このように「二次曲線」になれば\( B^2-4AC \)で判別できますが,そもそも二次曲線かどうかを判別しないといけません。注意しましょう。
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