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上野竜生です。絶対値がついた領域の基本的な解き方と知っておいた方がいい内容を紹介します。

絶対値の領域

パターン1:一般の場合(基本)

例: |x2+y2-5|≦4x の表す領域を図示せよ。

絶対値の基本的な外し方に忠実に解くだけです。

答えx2+y2-5≧0のときx2+y2-5≦4x ⇔ (x-2)2+y2≦9 (ア)
x2+y2-5<0のとき5-x2-y2≦4x ⇔ (x+2)2+y2≧9 (イ)
(ア)の表す領域は下の赤い部分。(イ)の表す領域は下の青い部分。よって求める領域は(ア)と(イ)を合わせた下の図の斜線部分。ただし境界は含む。
絶対値の領域例題1

最も普通で,このパターンだけマスターすれば理論上すべて解けますが絶対値といえば場合分け!なので面倒さは上がります。ですが楽できる場合もあります。それを紹介します。

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パターン2:|f(x,y)|≦aのタイプ

例: |2x+3y|≦6 の表す領域を図示せよ。
答え-6≦2x+3y≦6なので
2x+3y≦6 ⇔ \( y \leq -\frac{2}{3}x+2 \)と
-6≦2x+3y ⇔ \( y\geq -\frac{2}{3}x-2 \)の共通部分。
よって下の図の斜線部分。ただし境界は含む。
絶対値の領域 例題2

 

a>0のとき|f(x,y)|≦a ⇔ -a≦f(x,y)≦a が成り立つことを利用しています。
他にも|f(x,y)|≧a ⇔ f(x,y)≧a または f(x,y)≦-a が成り立ちます。

より一般に|f(x,y)|≦g(x,y) ⇔ -g(x,y)≦f(x,y)≦g(x,y)
|f(x,y)|≧g(x,y) ⇔ f(x,y)≧g(x,y)またはf(x,y)≦-g(x,y)  (★)
が成り立ちます。(|f(x,y)|=g(x,y)⇔f(x,y)=±g(x,y)は成り立たない)
あまり有名じゃないので記述式では使いにくいですが結論は正しいのでこれを利用してパターン1の例を
-4x≦x2+y2-5≦4xとして解いても結果は一致します。
なお,一般の式(★)の証明はg(x,y)と0の大小で場合分けして確かめることができます。
まとめるとパターン1でも2でも(★)を使って解くことはできます。でも一般の場合の(★)の知名度が低く記述式で使うと減点の恐れがあるので右辺が正の定数であるパターン2のときは(★)を使い,そうでないパターン1は基本通り解くのが記述的にはいいでしょう。あとは時間や計算ミスのリスクとの相談になります。

パターン3:|x|+|y|≦a (対称性が使える!)タイプ

例: |x|+|y|≦10 の表す領域を図示せよ。

対称性が使えます。|x|+|y|≦10はxを-xに置き換えても同じなのでy軸対称でありyを-yに置き換えても同じなのでx軸対称。よってx≧0,y≧0の部分だけ調べてあとは対称性から求めることができます。

答えF(x,y)=|x|+|y|-10とおくと求める領域はF(x,y)≦0の部分。
F(x,y)=F(-x,y)よりy軸対称。F(x,y)=F(x,-y)よりx軸対称なのでx≧0,y≧0の部分だけ調べればよい。
x≧0,y≧0のとき|x|+|y|≦10 ⇔ x+y≦10
よってy≦-x+10なのでその領域は下の斜線部分(境界含む)
対称性から求める領域は下の斜線部分。ただし境界を含む。
絶対値の領域 例題3
絶対値はただ場合分け地獄のためのものではなく対称性が使える場合もあるのです。これを地道に場合分けすると大変です。(理論的には解けます)
この結果(|x|+|y|≦aの領域は45度傾いた正方形という結果)は知っておいてもいいでしょう。必須ではないです。

 

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