上野竜生です。今回は入試で頻出の接線の公式を解説していきたいと思います。
おさらい
原点を通り、傾きがmの直線の式はy=mxですね。
これをx軸方向にa、y軸方向にb平行移動すると(y-b)=m(x-a)となります。
bを移項してもいいですがとりあえずこれをこの問題の答えにしておきます。
接線の公式
\( y-f(a)=f'(a)(x-a) \)
これは先ほどの例題にb=f(a) , m=f'(a)を代入しただけになっています。
b=f(a)はy=f(x)上の点であることからすぐにわかります。
m=f'(a)が微分の分野で新たに習う情報になります。f'(a)はy=f(x)のx=aにおける傾きであるということを習いますのでここから導出できることになります。
出題頻度的に毎回導出するのはオススメしません。覚えましょう
この公式はほぼ毎回出るといってもいいぐらい超重要です。なので毎回導出するのではなくこの公式を覚えましょう。時間短縮にもなりますし導出段階でのミスを防げます。
接線に関する問題はまず接点を(a,f(a))とおく!
これも基本的な問題です。例題を見てみましょう。
いかにもこのまま(接点を文字でおかなくても)解けそうな誘導ですが、これでもまず接点を(a,f(a))とおきましょう!
答え
接点を(a, f(a))とおく。y=f(x)の(a , f(a))における接線の式は
\( y-f(a)=f'(a)(x-a) \)
\( f'(a)=3a^2+3 \)を代入すると\( y=(3a^2+3)(x-a)+f(a) \)
整理すると\(y=(3a^2+3)x-3a^3-3a+a^3+3a+2 = (3a^2+3)x+(-2a^3+2) \)
これが原点を通るのでx=0 ,y=0を代入すると\(0=(3a^2+3)\cdot 0 +(-2a^3+2)\)
つまり\(-2a^3+2=0\) これを解くとa=1
このときy=6xとなるのでm=6
なお、y=mxとおき、重解を持つ条件からも理論上は解けます。ですがこの方法はあまりオススメしません。(計算量的に面倒です)念のためにやってみます。
<別解>y=f(x)-mxが重解をもつ条件から攻める
\( y=f(x)-mx=x^3+(3-m)x+2 \)が重解を持てばよい。
\( x^3+(3-m)x+2=(x-\alpha)^2(x-\beta)\)とおくと解と係数の関係より
\( 2\alpha+\beta=0 , \alpha^2+2\alpha\beta=3-m , \alpha^2\beta=-2\)
1つめの式より\( \beta=-2\alpha \)となるので\(-2\alpha^3=-2\)
よって\( \alpha=1 , \beta=-2 \)これを2つめの式に代入するとm=6
解と係数の関係の理解が不足している方はこちらの記事をご覧ください。
高校で習う接線の公式
y=f(x)が与えられた場合はf'(x)を計算し今回の公式に代入すればいいですが、ほかにも高校で習う接線の公式はあります。それは2次曲線です。理系の人は数IIIで2次曲線の式を習うのでここで接線の式をまとめておきました。以下は文系の人は(円の項目以外)見なくてもいいでしょう。
2次曲線の接線の公式一覧
円
円\(x^2+y^2=a^2 \)上の点\((x_0 , y_0)\)における接線の公式は\(x_0 x+y_0 y=a^2\)
文系でも円ぐらいは出てきます。知っておいて損はないでしょう。
理系の場合,下の楕円の場合でa=bとおけば得られるので楕円を覚えればこの公式の暗記は不要です。
放物線
放物線\( y^2=4px \)上の点\((x_0,y_0)\)における接線の公式は
\(y_0 y=2p(x+x_0)\)
楕円
楕円\( \displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\)上の点\((x_0,y_0)\)から引いた接線の式は\( \displaystyle \frac{x_0x}{a^2}+\frac{y_0y}{b^2}=1\)
双曲線
- 双曲線\( \displaystyle \frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\)上の点\((x_0,y_0)\)から引いた接線の式は\( \displaystyle \frac{x_0x}{a^2}-\frac{y_0y}{b^2}=1\)
- 双曲線\( \displaystyle \frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=-1\)上の点\((x_0,y_0)\)から引いた接線の式は\( \displaystyle \frac{x_0x}{a^2}-\frac{y_0y}{b^2}=-1\)
すべて曲線上の点からひいた接線の公式であることに注意します。曲線上とは関係ない問題でも必ず接点を文字であらわし、そこから方程式を解くようにしましょう。
なお、これらの公式を忘れた場合、陰関数の微分の公式からも導出できますし、y=f(x)に直して計算することもできます。(y=f(x)に直す段階でプラスマイナスの2通りあるので少し面倒です)
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