上野竜生です。正弦定理は教科書でよく習う公式で共通テストでも超重要定理となっています。しかしいろいろ間違う人も多いので正しく理解しましょう。
正弦定理
三角形ABCに対して
$$ 2R=\frac{AB}{\sin{C}}=\frac{BC}{\sin{A}}=\frac{CA}{\sin{B}}$$
が成立する。ただし,Rは三角形ABCの外接円の半径
誤解1: 2Rの2を忘れる
最も多い誤解です。これは受験生なら1度はやってしまいます。本番でならないように気を付けましょう。正弦定理を使うときはすぐに「2Rに注意」と頭に思い浮かべましょう。
誤解2:外接円の半径を求めよという問いにR/2を答える
R自体が外接円の半径です。高校数学で「直径」を文字で置くことは通常ではありません。無理やり設定することはできますが教科書の公式などではまずありませんので半径を求めよといわれたら素直にRを答えましょう。
誤解3:分母と分子が逆
この間違いをするととてもおかしな数字がでてくるはずです。さすがに気づかないといけないと思います。直感に反するものが出てきたら自分の間違いを疑うようにしてください。
と,とにかく間違えやすいので注意です。基本的にこの定理は使い道が2パターンしかありません。そのためマスターしやすいのでしっかりマスターしましょう。
正弦定理を使う2パターン
パターン1:外接円の半径を求める
当たり前ですがこの定理を使います。他の方法で解けなくはないかもしれませんが大体この方法で解けます。2Rに注意して丁寧に値を代入しましょう。sinの値がわからない場合,余弦定理でcosを求め,そこから相互法則を用いてsinを求める場合がほとんどです。
パターン2:角度から長さを求める
パターン1が2R=・・・の部分を使うのに対し,パターン2では2R=の部分は使わず後ろの3つの等号を使います。つまり
$$ \frac{AB}{\sin{C}}=\frac{BC}{\sin{A}}=\frac{CA}{\sin{B}}$$
の部分を使って角度から他の長さを求めることができます。
例題1
[以下は余弦定理も使います]
(2)△ABCにおいてAB=3,AC=4,∠A=60°のとき,△ABCの外接円の半径を求めよ。
(3)半径13の円Cの円周上に点A,Bを,AB=10となるようにとる。また円C上に点Pを,AP=2BPとなる位置にとる。APの長さを求めよ。
三角形の内角の和は180°だから
∠A=180°-36°-99°=45°
求める半径をRとすると正弦定理より
\(\displaystyle 2R=\frac{BC}{\sin{A}} = \frac{7}{\sin{45°}}=7\sqrt{2} \)
よって\(\displaystyle R=\frac{7\sqrt{2}}{2} \)
(2)
∠Aがわかっているので正弦定理を使うにはBCを求める必要がある。BCの長さは余弦定理で求められます。
余弦定理より
\(\displaystyle BC^2=3^2+4^2-2\cdot 3 \cdot 4 \cos{60°}=25-24\cdot \frac{1}{2}=13 \)
∴\( \displaystyle BC=\sqrt{13} \)
よって正弦定理より
\(\displaystyle 2R=\frac{\sqrt{13}}{\sin{60°}} = \frac{2\sqrt{39}}{3} \)
ゆえに\(\displaystyle R=\frac{\sqrt{39}}{3} \)
(3)「外接円」というキーワードを使っていませんが,図を描けば明らかに円Cは三角形ABPの外接円なので正弦定理が使えます。
\(\displaystyle 2\cdot 13 = \frac{10}{\sin{P}} \)
∴\(\displaystyle \sin{P}=\frac{5}{13} \)
三角関数の相互法則より\(\displaystyle \cos{P}=\pm \frac{12}{13} \)
\( AP=x \)とおくと\( BP=\frac{x}{2} \)。余弦定理より
\(\displaystyle PA^2 + PB^2 - 2PA\cdot PB \cdot \cos{P} = AB^2 \)
\(\displaystyle \cos{P}=\frac{12}{13} \)のとき,
\(\displaystyle x^2 + \frac{x^2}{4} - \frac{12}{13} x^2 = 100 \)
\(\displaystyle \frac{17}{52}x^2=100 \)
∴\(\displaystyle AP=x=\frac{20\sqrt{221}}{17} ~ (∵x>0) \)
\(\displaystyle \cos{P}=-\frac{12}{13} \)のとき,
\(\displaystyle x^2 + \frac{x^2}{4} + \frac{12}{13} x^2 = 100 \)
\(\displaystyle \frac{113}{52}x^2=100 \)
∴\(\displaystyle AP=x=\frac{20\sqrt{1469}}{113} ~ (∵x>0) \)
ここまでは正弦定理の標準的な使い方ですが,次の例題ではあまり正弦定理を使うイメージが出てこないかもしれません。こんなパターンにも使えるんだよ!ってことを知っておきましょう。
例題2
(2)△ABCにおいて,sinA:sinB:sinC=3:4:5のとき,sinAを求めよ。
\(\displaystyle \frac{AB}{\sin{C}}=\frac{BC}{\sin{A}} \)
つまり
\(\displaystyle \frac{4}{\sin{60°}}=\frac{BC}{\sin{45°}} \)
\(\displaystyle BC=4\cdot \frac{\sin{45°}}{\sin{60°}}=\frac{4\sqrt{6}}{3} \)
\(\displaystyle \frac{BC}{\sin{A}}=\frac{CA}{\sin{B}}=\frac{AB}{\sin{C}} \)
sinA:sinB:sinC=3:4:5よりBC:CA:AB=3:4:5
となるから△ABCは直角三角形。三角比の定義から
\(\displaystyle \sin{A}=\frac{3}{5} \)
これらをすべてマスターできれば正弦定理はほぼ完璧です。
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