上野竜生です。二項定理を使う問題は山ほど登場します。なので理解しておきましょう。
二項定理とは
です。
なお,\( \displaystyle {}_nC_k=\frac{n!}{k!(n-k)!} \)でn!=n(n-1)・・・3・2・1です。
二項定理の例題
これは単純ですね。二項定理より\( \displaystyle _{n}C_{3}=\frac{n(n-1)(n-2)}{6} \)です。
例題1と同様に考えます。a=2x, b=-3yとすると\(a^3b^3\)の係数は\( _{6}C_{3}=20 \)です。ただし,\(a^3b^3\)の係数ではなく\(x^3y^3\)の係数であることに注意します。
\(20a^3b^3=20(2x)^3(-3y)^3=-4320x^3y^3\)なので
答えは-4320となります。
\( \displaystyle (x^2)^3\left(\frac{1}{x}\right)^4=x^2 \)であることに注意しましょう。よって\( _{7}C_{3}=35\)です。\( _{7}C_{2}=21\)と勘違いしないようにしましょう。
とここまでは基本です。
11=10+1とし,\((10+1)^{77}\)を二項定理で展開します。このとき,
\(10^{77},10^{76},\cdots , 10^2\)は100の倍数で下2桁には関係ないので\(10^1\)以下を考えるだけでOKです。\(10^1\)の係数は77,定数項(\(10^0\))の係数は1なので
77×10+1=771 下2桁は71となります。
このタイプではある程度パターン化できます。まず下1桁は1で確定,下から2番目はn乗のnの一の位になります。101のn乗や102のn乗など出題者側もいろいろパターンは変えられるので例題4のやり方をマスターしておきましょう。
多項定理
二項定理の応用です。これもパターンで覚えておきましょう。ずばり
$$ \frac{8!}{3!2!3!}=560 $$
なのですがこの説明が少し理解しにくい人もいるかもしれません。とにかくこのタイプはそれぞれの指数部分の階乗で割っていく,と覚えておけばそれで問題ないです。
では最後にここまでの応用問題を出してみます。
であることに注意します。まずはa,b,c≥0, a+b+c=7かつ,2a+b-c=9となる(a,b,c)をすべて求めましょう。
a=7のとき,a+b+c=7を満たすのは(b,c)=(0,0) しかし2a+b-c=9ではないので不適
a=6のとき,(b,c)=(1,0),(0,1) どちらも不適
a=5のとき b+c=2かつb-c=-1 b,cは整数なので不適
a=4のとき,b+c=3かつb-c=1 ゆえにb=2,c=1
a=3のとき,b+c=4かつb-c=3 不適
a=2のとき,b+c=5かつb-c=5 ゆえにb=5,c=0
a=1のとき,b+c=6かつb-c=7 不適
a=0のとき,b+c=7かつb-c=9 b=8,c=-1となるがc≧0を満たさず不適
以上より(a,b,c)=(4,2,1),(2,5,0)が条件を満たすことがわかります。
\( b=8-\frac{3}{2}a , c=-1+\frac{a}{2} \)
ここから「aは偶数」かつb≧0,c≧0なのでa=2,4としぼることもできます。
なので先ほどの例題5に従い\( (a+b+c)^7\)の\(a^4b^2c\)の係数(ア)と\(a^2b^5c^0\)の係数(イ)を求めます。
(ア)は\( \displaystyle \frac{7!}{4!2!1!}=105 \)
(イ)は\( \displaystyle \frac{7!}{2!5!0!}=21\)です。
ただし,\(a=x^2, b=-x , c=\frac{3}{x} \)であることに注意してそれぞれの\(x^9\)の係数を計算します。
(ア)\(\displaystyle 105a^4b^2c^1=105(x^2)^4 (-x)^2 \left(\frac{3}{x}\right)^1\) \(=105\cdot (-1)^2 \cdot 3^1 x^9=315x^9\)
(イ)\(\displaystyle 21a^2b^5c^0=21(x^2)^2(-x)^5\left(\frac{3}{x}\right)^0\) \(=21\cdot (-1)^5 x^9=-21x^9\)
よって展開すると
(\(x^{14}\)の項)+・・・+(\(x^{10}\)の項)+\((315x^9-21x^9)\)+(\(x^8\)の項)+・・・+(\(x^{-7}\)の項)
となるので\(x^9\)の係数は315-21=294となります。
最後はなかなか難しいです。偏差値60ぐらいで良ければ間違えても仕方ないでしょう・・・。しかしそれ以上を目指すなら間違えられません。計算ミスに注意して解けるようにしましょう。
クイズ
A君が(x+1)10を地道に計算した結果,次のようになった。
x10 + 10x9 + 45x8 + 120x7 + 210x6 + 252x5 + 220x4 + 120x3 + 45x2 + 10x + 1
実は1箇所係数に誤りがある。xの何乗の部分か?
正解です !
間違っています !
(6x2+1)nを展開したときのx4の係数はどれか?
正解です !
間違っています !
11の107乗の下3ケタは何か?
正解です !
間違っています !
(x+y+2)10を展開したときx7yの係数はいくらか
正解です !
間違っています !
あなたの結果を表示するためにクイズを共有 !
Subscribe to see your results
%%total%% 問中 %%score%% 問正解でした !
Loading...
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
<高校数学>上野竜生です。数学のオススメ参考書などをよく聞かれますのでここにまとめておきます。基本的にはたくさん買うよりも…
上野竜生です。大学数学の参考書をまとめてみました。フーリエ解析以外は自分が使ったことある本から選びました。 大…
上野竜生です。当サイトでも少し前まで各ページで学習サイトをオススメしていましたが他にもオススメできるサイトはた…