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上野竜生です。不定方程式の解き方を勉強します。

整数問題 不定方程式の解法

基本パターン2つを詳しく説明し,応用パターンを軽く紹介します。

基本パターン1:axy+bx+cy=dのパターン

この場合は無理やり\( axy+bx+cy=d\)を\( A(x+B)(y+C)=D \)の形に変形します。その後で,BやCがなるべく分数にならないようにAを調整するのがポイントです。具体例でみてみましょう。

例題:不定方程式\( 3xy+5x+6y=10 \)を解け。つまりこれを満たす整数(x,y)の組をすべて求めよ。

このときの基本は「axy+bx+cy+d'はa:b=c:d'」だったらきれいに因数分解できるのにな・・・と思うことです。つまり\( 3xy+5x+6y+10=(x+2)(3y+5) \)と因数分解できるのに・・・と思うことです。

答え

両辺に10を加える

\( 3xy+5x+6y+10=(x+2)(3y+5)=20 \)

よって掛けて20となる2つの整数の組を探せばよい

(x+2,3y+5)=(1,20),(2,10),(4,5),(5,4),(10,2),(20,1),(-1,-20),(-2,-10),(-4,-5),(-5,-4),(-10,-2),(-20,-1)

ここからx,yを計算すれば良いですがまだ大変なので何かしぼりこめないか考えます。するとyが整数ならば3y+5は3で割って余りが2(つまり1を加えたら3の倍数)となっています。それに気づくともう1段階絞り込めて次のようになります。

(x+2,3y+5)=(1,20),(4,5),(10,2),(-2,-10),(-5,-4),(-20,-1)

ここから(x,y)を計算すると

(x,y)=(-1,5),(2,0),(8,-1),(-4,-5),(-7,-3),(-22,-2)となります。

ちなみにこの例で「axy+bx+cy=d」を「A(x+B)(y+C)=D」の形に変形すると
「3xy+5x+6y=10」を「\( 3(x+2)(y+\frac{5}{3})=20\)」と変形することになりますが,次の掛けて20になる整数の組を見つけるという発想に持ち込むには\( (y+\frac{5}{3}) \)では整数にならないためうまくいきません。そこで係数Aの3をここにかけておいて(x+2)(3y+5)とすれば整数同士の積になるというわけです。
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基本パターン2:\( ax^2+bxy+cy^2+dx+ey=f\)のパターン

例:\( x^2+y^2=25 \)を満たす整数(x,y)の組をすべて求めよ。

しぼりこみ①:x≧0,y≧0として良い。

なぜならたとえばx=aが解とわかればx=-aも解であることがすぐわかるからです。

これは\(x^2\)など偶数乗しかないときに有効です。

しぼりこみ②:x≧yとして良い。

なぜなら(x,y)=(a,b)が解とわかれば(x,y)=(b,a)も解であることがすぐわかるからです。

これはxとyを入れ替えても同じになる対称式に有効です。

これら2つをまとめて

「x≧y≧0としても一般性を失わない」と表現します。

 

答え

x≧y≧0としても一般性を失わない。

x≧y≧0より\( x^2\geq y^2\)

よって\( 25= x^2+y^2 \leq x^2+x^2 \)

\(2x^2 \geq 25 \)よりx≧4

\( y^2\geq 0\)より\( x^2\leq 25\)。よってx≦5

以上よりx=4またはx=5

x=4のとき元の式に代入すると\( 16+y^2=25 \)

y≧0の仮定からy=3

x=5のときも同様にするとy=0

よって(x,y)=(4,3),(5,0)

x≧y≧0以外の場合も含めると答えは

(x,y)=(±4,±3),(±3,±4),(±5,0),(0,±5) (複号任意)

 

ここまで絞り込めなくても\( x^2 \leq 25\)まで絞り込めればあとは気合でも可能です。しかし,計算量が多くなります。計算量が多くなるということはつまり計算ミスのリスクが増えることになります。そこで少しでも計算ミスを減らすために工夫するのです。だいたい1つの工夫で処理量は半分ぐらいになります。たとえば何も工夫しなければ8通りぐらいあるのが1つの観点で4通りぐらいになり,2つの観点で2通りぐらいになります。2つめの工夫を無理して気づく必要はないかもしれないが1つぐらいは気づいておかないと厳しいということになります。

 

他の場合は最初に紹介したような”定数項を無視して因数分解”する方法ができればそれを実行します。

例:\( x^2+2xy+2y^2=25 \)を満たす整数(x,y)の組をすべて求めよ。

xが負かもしれないので2xyがどれぐらいマイナスになるかわかりません。なので先ほどのような絞り込みはいきなりはできません。なので2xyを消せるようにうまく変形したくなります。

\( x^2+2xy+\cdots \)となっているので\( (x+y)^2=x^2+2xy+y^2 \)が見えてくるでしょう。これを用いて変形してみるとうまくいきます。

答え

\( x^2+2xy+2y^2=(x+y)^2+y^2=25 \)なので前の例題と同様にすると

(x+y,y)=(±4,±3),(±3,±4),(±5,0),(0,±5)

ここから(x,y)を計算すると

(x,y)=(1,3),(7,-3),(-7,3),(-1,-3),(-1,4),(7,-4),(-7,4),(1,-4),(5,0),(-5,0),(-5,5),(5,-5)

となります。

 

因数分解できない場合は解の公式で計算!

\( ax^2+bxy+cy^2+dx+ey=f \)を降べきの順に整理すると\( ax^2+(by+d)x+(cy^2+ey-f)=0 \)となります。よって解の公式を用いるとxの値が計算できます。

ただし,√の中が0以上でないと実数になりません。この条件①でyを絞り込みます。

さらに整数になるには√が整数になる必要があるので√の中が平方数になることが必要です。条件①で絞り込んだ値を代入し,平方数になるものを探します(条件②)

条件②でyの値が確定されるのでそれを代入してxが整数になるか確かめればOKです。

 

 

なお,3次式以上の場合は基本的に因数分解するしかありません。何らかの方法で因数分解できないか探しましょう。定数項は無視してもOKなのが重要ポイントとなります。

 

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