上野竜生です。今回は2次方程式が異なる2つの正の実数解を持つ条件,正の解と負の解を1つずつもつ条件を扱います。応用なんですけれど,応用パターンが多すぎてもはや基本になりますのでここは理解+丸暗記(時間削減のため)+たくさんの練習が必須な分野になります。
丸暗記する内容
2次方程式f(x)=0が相異なる2つの正の実数解をもつ条件は
1. 判別式 D>0 (相異なる2つの実数解をもつ)
2. 軸のx座標>0 (2つの解をα,βとするとα+β>0)
3. 境界f(0)>0 (αβ>0)
ただしf(x)の最高次の係数は正とする。
それぞれの頭文字をとって「は・じ・き」と覚えましょう。
一方で正の解と負の解を1つずつもつ条件は簡単です。
2次方程式f(x)=0が正の実数解と負の実数解を1つずつもつ条件は
f(0)<0
ただしf(x)の最高次の係数は正とする。
最高次の係数が負ならば両辺に-1をかければ最高次の係数は正になるので正のときのみ考えます。
理由
最初の方について
1. 2つの実数解α,βをもつのでD>0が必要です。
2. 軸のx座標はαとβのちょうど真ん中なので当然正でなければいけません。
3. f(x)=a(x-α)(x-β)と書けるのでf(0)=aαβは当然正である必要があります。(∵a>0)
逆にこの3つの条件を満たしたとき
1.から2つの実数解α,βをもちます。
3.からαβ>0なので「α>0,β>0」または「α<0,β<0」のどちらかです。
2.からα+β>0なので「α>0,β>0」になり,十分性も確認できます。
最後のほうについてはグラフをかけば明らかです。f(x)はx=0から離れるほど大きくなりますので十分大きなMをとればf(M)>0 , f(-M)>0となります。
f(0)<0なので-M<x<0のどこかでf(x)=0となっています。これが負の解です。
また0<x<Mのどこかでf(x)=0となっています。これが正の解です。
このように図でイメージしましょう。
は・じ・きの3つの条件のうち1つでも抜けるとダメ!
図で確認します。いずれも反例の図です。
は抜け(軸と境界のみ考えた場合)
じ抜け(判別式と境界のみ考えた場合)
き抜け(判別式と軸のみ考えた場合)
それでは少しの応用パターンも含めていくつか問題を解いてみましょう。
例題
(1) 異なる2つの正の実数解
(2) 正の実数解と負の実数解
(3) 異なる2つの負の実数解
(4) 異なる2つの解がともに1より大きい
(5) 異なる2つの解がともに0<x<1を満たす
f(x)={x-(a+1)}2-a2-4a+5より軸のx座標はa+1
f(0)=6-2a , f(1)=1-2(a+1)-2a+6=5-4a
(1) 異なる2つの正の実数解を持つ条件は
D>0かつ(軸のx座標)>0かつf(0)>0
つまり(a+5)(a-1)>0かつa+1>0かつ6-2a>0
解くと(a<-5またはa>1)かつa>-1かつa<3
まとめると1<a<3
(2) 正の実数解と負の実数解をもつ条件はf(0)<0
つまり6-2a<0なのでa>3
(3) 異なる2つの負の実数解をもつ条件は
D>0かつ(軸のx座標)<0かつf(0)>0
解くと(a<-5またはa>1)かつa<-1かつa<3
まとめるとa<-5
D>0はあくまでも異なる2つの実数解なので負の解だろうが1より大きい解だろうが2つ実数解を持つ時点でD>0です。
軸は2つの解の平均なので解が負になれば当然負に変化します。
f(0)は境界ですがx<0の部分で2回交わるグラフをかくとf(0)>0になるはずです。
よってf(0)>0となります。
解が負になったからといってすべての不等号の向きが変わるというわけではありません。図をイメージすることが大切です。
D>0かつ(軸のx座標)>1かつf(1)>0
解くと(a<-5またはa>1)かつa>0かつa<\(\frac{5}{4}\)
まとめると\( 1<a<\frac{5}{4} \)
(5) 2つの解がともに0<x<1を満たす条件は
D>0かつ0<(軸のx座標)<1かつf(0)>0かつf(1)>0
解くと(a<-5またはa>1)かつ-1<a<0かつa<3かつa<\( \frac{5}{4} \)
まとめると解なし
このタイプは超頻出です。問題集などで必ずできるようにしておきましょう。
解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました
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