上野竜生です。今回は2変数の積分の極座標変換を扱います。ヤコビアンというものが何なのかはヤコビアンの計算方法の部分に任せることにして,ヤコビアン=rは認めたうえで応用例に重点をあてて紹介していきます。

動画

今回の内容は動画にしてあります。最後の例題の別解は動画にはありませんのでこちらで確認してくださいね。

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極座標変換するときの注意

x=rcosθ,y=rsinθで変数変換すれば積分領域が円形のようなタイプの計算が簡単になります。しかし変数変換した場合3つ変えなければならない点があります。

①被積分関数 : 当たり前ですがx,yの式をr,θの式にします。
②積分区間  : 当たり前ですがr,θの範囲にあうように書き換えます。
③dxdy=rdrdθ : r倍しないといけないのです。このrはヤコビアンというものです。

変数変換すれば①と②は当たり前に行うのですが③を忘れがちです。高校でも置換積分をするとたとえばt=x2とおくとdt=2xdxという風にdtとdxはイコールではない関係で結ばれていたと思いますが,2変数でも変数変換すればこういうイコールではない関係で結ばれているのです。つまり

dxdy=(ヤコビアン)×drdθ

という関係にあり,必ずしも(ヤコビアン)=1とは限らないのです。ヤコビアンの計算方法まで紹介すると長くなるので極座標変換のヤコビアンはrであるということはここでは認めます。詳しく知りたい人は下のページにまとめているのでそちらで計算してみてください。一度計算することは大事ですが結局極座標変換の問題が出ればヤコビアンrは暗記してあるものとしてテストは作られているのでいちいち導出して求めなくてもいいでしょう。

例題1

\(\displaystyle \iint_D \sqrt{9-x^2-y^2}dxdy \)
\(D=\{(x,y)| x^2+y^2\leq 9 \} \)
極座標変換しましょう。Dは原点を中心とする半径3の円の内部です。ということはrの範囲は3以下(もちろん0以上),θは1周,つまり0から2πまでとなります。あとはヤコビアンrに注意して変換しましょう。変換さえできればあとは累次積分です。
答え極座標変換すると
\(\displaystyle \int_0^{2\pi} \int_0^3 \sqrt{9-r^2}r drd\theta \\ = \displaystyle \int_0^{2\pi} \left[-\frac{1}{3}(9-r^2)^{\frac{3}{2}} \right]_{r=0}^{r=3} d\theta \\ = \displaystyle \int_0^{2\pi} 9 d\theta =18\pi \)

 

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例題2

\(\displaystyle \iint_D e^{-(x^2+y^2)}dxdy \)
\(D=\{(x,y)| 0\leq x \leq y \} \)
極座標変換例題2積分領域は一見円とは関係なさそうですが被積分関数的に極座標変換してほしそうにみえますね。
実はこの場合でも極座標変換します。rに制限はないので0から∞まで,図をかけばθは\(\frac{\pi}{4}\)から\(\frac{\pi}{2}\)までだとわかりますね。
答え極座標変換すると
\(\displaystyle \int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{2}} \int_0^{\infty} e^{-r^2} r drd\theta \\ = \displaystyle \int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{2}} \left[-\frac{1}{2} e^{-r^2} \right]_{r=0}^{r=\infty} d\theta \\ =\displaystyle \int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{\pi}{2}} \frac{1}{2}d\theta = \frac{\pi}{8} \)

 

例題3

\(\displaystyle \iint_D x^n ydxdy \)

\(D=\{(x,y)| x^2+y^2 \leq 2x , y\geq 0\} \)

これも極座標変換してみましょう。
極座標変換例題3

答え極座標変換すると

\(\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}} \int_0^{2\cos{\theta}} r^n \cos^n{\theta}r\sin{\theta}\cdot rdrd\theta \\ =\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}} \int_0^{2\cos{\theta}} r^{n+2} \cos^n{\theta} \sin{\theta}drd\theta \\ =\displaystyle \int_0^{\frac{\pi}{2}} \left[ \frac{1}{n+3} r^{n+3} \cos^n{\theta}\sin{\theta} \right]_{r=0}^{r=2\cos{\theta}} d\theta \\ = \displaystyle \frac{2^{n+3}}{n+3} \int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^{2n+3}\theta \sin{\theta} d\theta \\ =\displaystyle \frac{2^{n+3}}{n+3} \left[ \frac{-1}{2n+4}\cos^{2n+4}{\theta} \right]_0^{\frac{\pi}{2}} \\ = \displaystyle \frac{2^{n+3}}{(n+3)(2n+4)} = \frac{2^{n+2}}{(n+2)(n+3)} \)

別解 x=1+rcosθ,y=rsinθと変数変換する。

ヤコビアンはr。

\(\displaystyle \int_0^{\pi} \int_0^1 (1+r\cos{\theta})^n r\sin{\theta} r dr d\theta \\ = \displaystyle \int_0^1 \int_0^{\pi} (1+r\cos{\theta})^n r\sin{\theta} r d\theta dr \\ = \displaystyle \int_0^1 \left[ \frac{-r}{n+1}(1+r\cos{\theta})^{n+1} \right]_{\theta =0}^{\theta = \pi } dr \\ = \displaystyle \int_0^1 \frac{r}{n+1}\left\{ (1+r)^{n+1}-(1-r)^{n+1} \right\} dr \\ \displaystyle = \left[ \frac{r}{n+1} \left\{ \frac{1}{n+2} (1+r)^{n+2} + \frac{1}{n+2} (1-r)^{n+2} \right\} \right]_0^1 -\int_0^1 \frac{1}{n+1} \left\{ \frac{1}{n+2} (1+r)^{n+2}+\frac{1}{n+2}(1-r)^{n+2} \right\} dr \\ =\displaystyle \frac{1}{n+1}\cdot \frac{1}{n+2} \cdot 2^{n+2} – \frac{1}{n+1}\cdot \frac{1}{n+2} \cdot \frac{1}{n+3} \left[ (1+r)^{n+3}-(1-r)^{n+3} \right]_0^1 \\ =\displaystyle \frac{2^{n+2}}{(n+1)(n+2)} – \frac{2^{n+3}}{(n+1)(n+2)(n+3)} \\ =\displaystyle \frac{(n+3-2)}{(n+1)(n+2)(n+3)}\cdot 2^{n+2} \\ = \displaystyle \frac{2^{n+2}}{(n+2)(n+3)} \)

発想はこっちのほうが自然かもしれませんが計算がより複雑になります。最初の解答のやり方も理解しておきましょう。

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