上野竜生です。今回は線形代数学の「掃き出し法による連立方程式の解法」を扱います。

復習 連立方程式の解法

例1

次の連立方程式を解いてみましょう。
\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 2x+3y=9\cdots ① \\ x+y=4\cdots ② \end{array} \right.\end{eqnarray}\]

高校までの考え方(中学の考え方)で解いてみます。
①-②×2より
y=1
これを②に代入するとx=3
でしたね。一般には以下の[操作]をうまく繰り返して求めました。

[操作]
・①と②を入れ替える
・①をc倍する。(c≠0)
・①に②のc倍を加える。

もちろん①②③式による3つの連立方程式なら①式と③式を入れ替えてもいいし③をc倍してもいいのでしたね。
これらのことをしても連立方程式の結果は変わらないことは理解できるでしょう。

最初の連立方程式は行列を使うと次のようにかけます。

\[
A = \left(
\begin{array}{cc}
2 & 3 \\
1 & 1 \\
\end{array}
\right),\boldsymbol{x}=\left(
\begin{array}{c}
x \\ y
\end{array}
\right),\boldsymbol{b}=\left(
\begin{array}{c}
9 \\ 4
\end{array}
\right)
\]

\[ A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b} \]

今までは式変形をするとき毎回○x+△yの形で書いてきましたが行列を使えば毎回「x」や「y」などを書かなくても係数だけの記述ですみます。たったそれだけ?と思うかもしれませんが今後の応用上行列の基本変形で求めることをオススメします。
そして解くときに次のような[行基本変形]をします。

ポイント [行基本変形]
・第i行と第j行を入れ替える。
・第i行をc倍する。(c≠0)
・第i行にj行のc倍を加える。

本質的に同じことだとわかりますね。実際に(A|b)を行基本変形して解を求めましょう。

\[
(A|\boldsymbol{b}) = \left(
\begin{array}{ccc}
2 & 3 & 9 \\
1 & 1 & 4 \\
\end{array}
\right)
\]
第1行と第2行を入れ替える
\[
A = \left(
\begin{array}{ccc}
1 & 1 & 4 \\
2 & 3 & 9 \\
\end{array}
\right)
\]
つまりこの式は最初の連立方程式と
x+y=4 , 2x+3y=9が同値であるということが読み取れます。さらに行基本変形を続けます。
第2行に第1行の-2倍を加えると
\[
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 1 & 4 \\
0 & 1 & 1 \\
\end{array}
\right)
\]
つまり元の式とx+y=4, y=1が同値であることがわかります。さらに続けます。
第1行に第2行の-1倍を加えると
\[
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 0 & 3 \\
0 & 1 & 1 \\
\end{array}
\right)
\]
これでx=3,y=1と求めることができます。
それではもう少し例をあげて解いてみましょう。次は3本の式です。

例2(1) 右辺がすべて0の場合

\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x-3y+2z=0 \\ 2x+y+4z=0 \\ 3x-5y+6z=0 \end{array} \right.\end{eqnarray}\]

え?右辺が全部0だからx=y=z=0でしょ?って思ったら甘いです。実際に計算してみましょう。今回は右辺が全部0なので単純に左辺の係数行列だけを変形すれば十分です。

\[
A = \left(
\begin{array}{ccc}
1 & -3 & 2 \\
2 & 1 & 4 \\
3 & -5 & 6
\end{array}
\right)
\]
とおき,行基本変形する。2行目に1行目の-2倍を加え,3行目に1行目の-3倍を加えると
\[
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & -3 & 2 \\
0 & 7 & 0 \\
0 & 4 & 0
\end{array}
\right)
\]
2行目を\(\frac17\)倍し,3行目を\(\frac14 \)倍すると
\[
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & -3 & 2 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 1 & 0
\end{array}
\right)
\]
1行目に2行目の3倍を加え,3行目に2行目の-1倍を加えると
\[
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 0 & 2 \\
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 0
\end{array}
\right)
\]
以上よりx+2z=0 , y=0とわかります。yは決定しましたがx,zに関してはこれ以上どうすることもできません。なのでz=tとおいてx=-2t,y=0,z=tと求めて終わりとなります。これをベクトルで表現して
\[ \left(
\begin{array}{c}
x \\ y \\ z
\end{array}
\right) = t \left(
\begin{array}{c}
-2 \\ 0 \\1
\end{array}
\right)
\]
と書くこともあります。では今度は左辺は同じで右辺が0ではない例で解いてみましょう。

今回はz=tとおきましたがx=tとおいてももちろんOKです。

例2(2):右辺が0でない場合

\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x-3y+2z=4 \\ 2x+y+4z=1 \\ 3x-5y+6z=8 \end{array} \right.\end{eqnarray}\]

この場合は右辺も含めた拡大係数行列を変形します。全く同じ変形なので説明は省きます。
\[
(A|\boldsymbol{b}) = \left(
\begin{array}{ccc}
1 & -3 & 2 & 4 \\
2 & 1 & 4 & 1 \\
3 & -5 & 6 & 8
\end{array}
\right)
\]

\[
\rightarrow \left(
\begin{array}{ccc}
1 & -3 & 2 & 4 \\
0 & 7 & 0 & -7 \\
0 & 4 & 0 & -4
\end{array}
\right)
\rightarrow \left(
\begin{array}{ccc}
1 & -3 & 2 & 4 \\
0 & 1 & 0 & -1 \\
0 & 1 & 0 & -1
\end{array}
\right)
\rightarrow \left(
\begin{array}{ccc}
1 & 0 & 2 & 1 \\
0 & 1 & 0 & -1 \\
0 & 0 & 0 & 0
\end{array}
\right)
\]

となるのでx+2z=1, y=-1となります。先ほどと同様z=tとでもおくとx=1-2tとなるのでベクトルで表現すると

\[ \left(
\begin{array}{c}
x \\ y \\ z
\end{array}
\right)= \left(
\begin{array}{c}
1-2t \\ -1 \\ t
\end{array}
\right)= \left(
\begin{array}{c}
1 \\ -1 \\ 0
\end{array}
\right) + t \left(
\begin{array}{c}
-2 \\ 0 \\ 1
\end{array}
\right)\]

となります。これは(1)の結果に特定のベクトルが追加されただけの形です。つまり右辺が0でない連立方程式の解を求めるのは右辺が0の連立方程式の解を求めたうえでさらにもう1手間かかるということです。

それでは最後にもう少し複雑な例題で終わりましょう。出来れば自力で解けるか試してみてくださいね!

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例題

次の連立方程式の解を求めよ。(aの値によって場合分けせよ)
\[\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x+7y+2z \  \ \ =5 \\ x+3y \ \ \  +w=1 \\ 3x+y-4z+5w=a \end{array} \right.\end{eqnarray}\]

式が3つで未知数が4つなので少なくともバッチリ求まることはないでしょう。何か変数を使って表すことになります。

拡大係数行列を\[
A = \left(
\begin{array}{ccc}
1 & 7 & 2 & 0 & 5 \\
1 & 3 & 0 & 1 & 1 \\
3 & 1 & -4 & 5 & a
\end{array}
\right)
\]とおく。これを行基本変形していくと

\[
\left(
\begin{array}{ccc}
1 & 7 & 2 & 0 & 5 \\
1 & 3 & 0 & 1 & 1 \\
3 & 1 & -4 & 5 & a
\end{array}
\right)
\rightarrow \left(
\begin{array}{ccc}
1 & 7 & 2 & 0 & 5 \\
0 & -4 & -2 & 1 & -4 \\
0 & -20 & -10 & 5 & a-15
\end{array}
\right)
\rightarrow \left(
\begin{array}{ccc}
1 & 7 & 2 & 0 & 5 \\
0 & 1 & \frac{1}{2} & -\frac{1}{4} & 1 \\
0 & 1 & \frac{1}{2} & -\frac{1}{4} & \frac{15-a}{20}
\end{array}
\right)
\rightarrow \left(
\begin{array}{ccc}
1 & 0 & -\frac{3}{2} & \frac{7}{4} & -2 \\
0 & 1 & \frac{1}{2} & -\frac{1}{4} & 1 \\
0 & 0 & 0 & 0 & -\frac{a+5}{20}
\end{array}
\right)
\]

となる。最後の行は
\(\displaystyle 0=-\frac{a+5}{20}\)
となるのでa≠-5のとき解なし。
a=-5のとき
\( x-\frac{3}{2}z+\frac{7}{4}w=-2 \)
\( y+\frac{1}{2}z-\frac{1}{4}w=1 \)
なので解はz=s,w=tとおくと

\[\left(
\begin{array}{c}
x \\ y \\ z \\ w
\end{array}
\right)
=\left(
\begin{array}{c}
-2+\frac{3}{2}s-\frac{7}{4}t \\ 1-\frac{1}{2}s+\frac{1}{4}t \\ s \\ t
\end{array}
\right)
= \left(
\begin{array}{c}
-2 \\ 1 \\ 0 \\ 0
\end{array}
\right)
+s\left(
\begin{array}{c}
\frac{3}{2} \\ -\frac{1}{2} \\ 1 \\ 0
\end{array}
\right)+t \left(
\begin{array}{c}
-\frac{7}{4} \\ \frac{1}{4} \\ 0 \\ 1
\end{array}
\right)
=\left(
\begin{array}{c}
-2 \\ 1 \\ 0 \\ 0
\end{array}
\right)
+s’\left(
\begin{array}{c}
3 \\ -1 \\ 2 \\ 0
\end{array}
\right)+t’ \left(
\begin{array}{c}
-7 \\ 1 \\ 0 \\ 4
\end{array}
\right)\]

中学生方式で解くのではなく行列の変形に慣れておきましょう。

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