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上野竜生です。ベクトルの外積を使って「2つのベクトルに垂直なベクトル」を求めたり空間上の三角形の面積を求めたり空間座標で与えられた四面体の体積を求めたりするのが簡単になります。高校範囲外なので検算用に理解しておきましょう。私立大学などで答えのみを埋める形式なら普通に使えます。

ベクトルの外積

ベクトルの外積とは

定義

3次元ベクトル\(\vec{x}=\left( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \\ x_3  \end{array} \right)\)と\(\vec{y}=\left( \begin{array}{c} y_1 \\ y_2 \\ y_3  \end{array} \right) \)に対して外積\(\vec{x} \times \vec{y} \)は次のように定義されるベクトルである。
\(\displaystyle \vec{x}\times \vec{y} =\left( \begin{array}{c} x_2 y_3-x_3 y_2 \\ x_3 y_1-x_1 y_3 \\ x_1 y_2 - x_2 y_1  \end{array} \right)\)

 

計算例

\(\vec{a}=\left( \begin{array}{c} 1 \\ 2 \\ 3  \end{array} \right),\vec{b}=\left( \begin{array}{c} 4 \\ 5 \\ -6  \end{array} \right) \)とする。
\(\displaystyle \vec{a}\times \vec{b} =\left( \begin{array}{c} 1 \\ 2 \\ 3  \end{array} \right) \times \left( \begin{array}{c} 4 \\ 5 \\ -6  \end{array} \right) =\left( \begin{array}{c} 2\cdot (-6)-3\cdot 5 \\ 3\cdot 4-1\cdot (-6) \\ 1\cdot 5-2\cdot 4  \end{array} \right)=\left( \begin{array}{c} -27 \\ 18 \\ -3  \end{array} \right)\)

性質

・\(\vec{a}\times \vec{b}=-\vec{b}\times \vec{a}\)

・\(\vec{a}\times \vec{b} \)は\(\vec{a},\vec{b} \)の両方と垂直に交わる

・\(\vec{a}\times \vec{b} \)の大きさは\(|\vec{a}||\vec{b}|\sin{\theta}\)
(θは2つのベクトルのなす角。つまり2つのベクトルがつくる平行四辺形の面積に等しい)

証明はすべて実際に計算してみてください。

応用

\(\vec{OA}=\vec{a} , \vec{OB}=\vec{b} , \vec{OC}=\vec{c} \)とする。

・三角形OABの面積は\(\frac{1}{2}|\vec{a}\times \vec{b}|\)

外積の大きさが平行四辺形の面積であり,三角形の面積は平行四辺形の半分なので明らかにこのような式で計算できます。

・\(\vec{a},\vec{b},\vec{c} \)で作る平行六面体の体積は\( |(\vec{a}\times \vec{b})\cdot \vec{c}| \)

底面を平面OABとする。高さはOABに垂直なベクトルと\(\vec{c} \)のなす角をθとするとき三角比から\(|\vec{c}||\cos{\theta}|\)である。外積の性質より
\( |(\vec{a}\times \vec{b})\cdot \vec{c}|=|\vec{a}\times \vec{b} | |\vec{c}||\cos{\theta}| \)
=(底面積)×(高さ)となる。

・四面体OABCの体積は\( \frac{1}{6}|(\vec{a}\times \vec{b})\cdot \vec{c}| \)

平行六面体に比べて底面が三角形なので\(\frac{1}{2}\)倍,四面体は三角錐なので体積を求めるときは(底面積)×(高さ)×\(\frac{1}{3} \)で求める。よって平行六面体の体積の\(\frac{1}{6} \)倍となる。

 

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例題

O(0,0,0),A(1,2,3),B(4,5,-6),C(7,8,9)とする。
(1) 三角形OABの面積を求めよ。
(2) Cから平面OABにおろした垂線の足をHとする。CHの長さを求めよ。
(3) 四面体OABCの体積を求めよ。

内積しか使わない高校レベルの解法もありますが外積を使った解法を紹介します。

答え(1) \(\vec{OA}\times \vec{OB}=(-27,18,-3) \)
より三角形OABの面積は
\(\frac{1}{2}\sqrt{(-27)^2+18^2+(-3)^2}=\frac{3}{2}\sqrt{9^2+6^2+1^2}=\frac{3}{2}\sqrt{118}\)
(3) \((\vec{OA} \times \vec{OB})\cdot \vec{OC}=-27\cdot 7+18\cdot 8 -3\cdot 9=-72 \)より四面体OABCの体積は
\(\frac{1}{6} |(\vec{OA}\times \vec{OB}) \cdot \vec{OC}|=12 \)
(2) 底面をOABとすると高さがCHなので
\(\frac{1}{3} \cdot \frac{3}{2}\sqrt{118} \cdot CH=12 \)
∴\(CH=\frac{24}{\sqrt{118}}\)
もしHの座標が必要になっても\(\vec{CH} \)は\(\vec{OA}\times \vec{OB} \)と平行なので少し計算量を減らせますね。
1点Oが原点でなくても平行移動すれば同様のことです。

【参考】Hの座標を求める。

\(\vec{CH}=k(\vec{OA}\times \vec{OB}) \)であるから大きさを比較すると

\(\displaystyle \frac{24}{\sqrt{118}}=3\sqrt{118}|k| \) ∴\(\displaystyle k=\pm \frac{4}{59} \)

\(\vec{CO}\)と\(\vec{CH}\)のなす角は90°より小さいから\(\vec{CO}\cdot \vec{CH} >0\)より

\(-k\vec{OC}\cdot (\vec{OA}\times \vec{OB} )=72k>0 \)

∴k>0つまり\(k=\frac{4}{59} \)

四面体の参考図

よって
\(\displaystyle \vec{OH}=\vec{OC}+\vec{CH}= \left( \begin{array}{c} 7 \\ 8 \\ 9 \end{array} \right)+\frac{4}{59}\left( \begin{array}{c} -27\\ 18 \\ -3 \end{array} \right)=\frac{1}{59}\left( \begin{array}{c}413-108\\ 472+72 \\  531-12 \end{array} \right)=\frac{1}{59}\left( \begin{array}{c} 305 \\ 544 \\ 519 \end{array} \right)\)

∴\(\displaystyle H \left( \frac{305}{59} , \frac{544}{59} , \frac{519}{59} \right) \)

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