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上野竜生です。多変数関数はどこから手を付ければいいのかわからず困ることも多いと思います。こんなことやっていいのかな?と思うことも多いと思うので実際にいくつかのパターンを見てみましょう。

 

多変数関数の解析の基本

文字を消去できるならしておこう!

次の例題は2変数関数ですが,制約条件からすぐに1変数関数の問題になります。

例題1:x+y=\(\frac{\pi}{2}\)のときsinx+sinyの最大値を求めよ。

答えx+y=\( \frac{\pi}{2} \)より\(y=\frac{\pi}{2}-x\)を代入して

\( \sin{x}+\sin{(\frac{\pi}{2}-x)}=\sin{x}+\cos{x}=\sqrt{2}\sin{(x+\frac{\pi}{4})}\)

よって\(\sin{x}+\sin{y}\leq \sqrt{2}\)が成立。

x=y=\( \frac{\pi}{4} \)とすると等号が成立するので最大値は\( \sqrt{2}\)

x,yが全範囲でなくx≧0,y≧0となっている場合\(y=\frac{\pi}{2}-x\geq 0\)からxの範囲は\( 0\leq x \leq \frac{\pi}{2}\)となることに注意すれば範囲が制限されている問題も同様に解けます。最終的に1変数になれば簡単な問題になります。

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2変数以上残っても制約がなければ難しくない!

次の問題は3変数関数で1つの等号の条件から2変数関数f(x,y)にまではなります。そこから後ですが,xとyは独立に動けるのでまずyを定数と思ってxを動かし最大値g(y)を求めます。その後yを動かし最大値Mを求めるということが許されます。

ただし例題2ではx,y,zに範囲があります。そこで一旦範囲がないものとして最大値を求めた後(f(x,y)≦Mが示される)実際に等号成立するx,y,zが範囲内に存在する(f(x,y)=Mになるx,y,zが存在)ことを確かめて解答しています。

例題2:x+y+z=π,x≧0,y≧0,z≧0のときsinx+siny+sinzの最大値を求めよ。

答えz=π-x-yを代入すると

sinx+siny+sin(π-x-y)
=sinx+siny+sin(x+y) (=f(x,y)とおく)

これをxのみの関数とみて微分すると

cosx+cos(x+y)

cosx+cos(x+y)=0,つまりcosx=-cos(x+y)を解くと

x=π-(x+y),つまり\(x=\frac{\pi}{2}-\frac{y}{2}\) (∵\(0\leq x \leq \pi\))

正確には
①\( x=(2n-1)\pi - (x+y) \)
つまり\(x=\frac{2n-1}{2}\pi - \frac{y}{2} \)
または
②\( x=(2m-1)\pi + (x+y) \)
つまり\( y=-(2m-1)\pi \)
となりますがx≧0,y≧0,z≧0,x+y+z=πの条件から
①のn=1の場合または②のy=π,x=z=0の場合に限られますが②の場合は①の中に含まれます。

この点の前後でcosx+cos(x+y)の符号は正から負に変化するので極大である。

f(x,y)の式に\(x=\frac{\pi}{2}-\frac{y}{2}\)を代入すると

\( \sin{(\frac{\pi}{2}-\frac{y}{2})}+\sin{y}+\sin{(\frac{\pi}{2}+\frac{y}{2})} \\
=\cos{\frac{y}{2}}+\sin{y}+\cos{\frac{y}{2}}\\
=\sin{y}+2\cos{\frac{y}{2}}\) (=g(y)とおく)

g(y)の最大値を求める。

\(g'(y)=\cos{y}-\sin{\frac{y}{2}}\\
=1-2\sin^2{\frac{y}{2}}-\sin{\frac{y}{2}}\\
=-(2\sin{\frac{y}{2}}-1)(\sin{\frac{y}{2}}+1)\)

\( \sin{\frac{y}{2}}=\frac{1}{2},-1 \)

\(0 \leq \frac{y}{2} \leq \frac{\pi}{2}\)より\(\sin{\frac{y}{2}}=\frac{1}{2}\)

\(\frac{y}{2}=\frac{\pi}{6} \)より\(y=\frac{\pi}{3}\)

この点の前後でg'(y)の符号は正から負に変わるから最大値は\(g(\frac{\pi}{3})=\frac{3\sqrt{3}}{2}\)

(このとき,\(x=\frac{\pi}{2}-\frac{y}{2}=\frac{\pi}{3},z=\pi-x-y=\frac{\pi}{3}\))

実数である条件(○≧0)を忘れないこと!

例題3:実数x,yがx2+x+y2=2を満たすとき2x2-7x+y2の最小値を求めよ。

どちらの式にもyはなく,y2だけなので最初の式をy2について解けば1変数になりそうです。

答え(途中まで)y2=2-x2-xを代入すると

2x2-7x+(2-x2-x)
=x2-8x+2

=(x-4)2-14

ここでx=4のとき最小値-14とするのは誤りです。なぜならx=4のときy2=-18となりyが実数にならないからです。yは実数と書かれているのでy2≧0です。ここから範囲が決まりますのでその範囲で求めることになります。

答えyは実数だからy2=2-x2-x≧0

これを解くと-2≦x≦1

この範囲で(x-4)2-14の最小値を求めればよい。

よってx=1(,y=0)のとき最小値-5

このようなミスを防ぐために常に等号が成立するx,yの値を求めておくほうが無難です。結果として求めなくて良かった場合は満点がもらえるかもしれませんが今回のように答えが変わってしまう場合は絶対に満点にはなりませんので求められていなくても求めたほうがいいでしょう。

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