当サイトは、PRを含む場合があります。

上野竜生です。連続n整数の積が○の倍数であることはよく使います。実際に確認してみましょう。なお,基本的には結果だけ覚えればいいでしょう。

連続n整数の積

 

連続2整数の積

n×(n+1)は必ず2の倍数になる。

[証明]nが偶数ならnが2の倍数なのでn(n+1)は2の倍数。

nが奇数ならばn+1が2の倍数なのでn(n+1)は2の倍数。

よってn(n+1)は2の倍数。

 

以下では単純に「n, n+1の中に2の倍数のものがあるからn(n+1)が2の倍数」という風に証明していきます。

広告

連続3整数の積

n(n+1)(n+2)は必ず3の倍数になる

[証明] n,n+1,n+2の中に3の倍数のものがあるから。

 

ですが,n(n+1)が2の倍数ですからn(n+1)(n+2)は2の倍数かつ3の倍数,つまり6の倍数になります。

まとめると

n(n+1)(n+2)は必ず6の倍数になる。

といえます。

連続4整数の積

n(n+1)(n+2)(n+3)は○の倍数になると思いますか?

2の倍数かつ3の倍数かつ4の倍数だから24の倍数?それとも最小公倍数の12の倍数?

いろいろ思うかもしれませんが正解は24の倍数です。

3の倍数の説明はもういらないと思いますが8の倍数の方を説明します。

n,n+1,n+2,n+3の中に2で少なくとも1回割り切れるものが2つあります。

さらに2で少なくとも2回割り切れるものが1つあります。だから8の倍数です。

 

広告

連続k整数の積

 

一般に連続k整数の積 n(n+1)(n+2)・・・(n+k-1) はk!の倍数になる

 

これだけ覚えておきましょう。証明は今までのを一般化してもいいですが細かい点が少しややこしくなりそうなので違う角度から攻めてみます。

[証明]

\( n(n+1)(n+2)\cdots (n+k-1)={}_{n+k-1}C_{n-1} \cdot k! \)

\( {}_{n+k-1}C_{n-1} \)は整数だからk!の倍数。

 

これで証明終わりですが納得する人と「そもそも\( {}_{n+k-1}C_{n-1} \)が整数」は認めていいの?とかいろいろあると思うので\( {}_{n+k-1}C_{n-1} \)が整数であることも示します。

命題: すべての整数n(≧0),k(0≦k≦n)に対し\( {}_nC_{k} \)は整数

[証明]数学的帰納法で示す。n=0,1のときは0C0=1, 1C0=1, 1C1=1より自明。

n=mで成立すると仮定する。つまり,

0≦k≦mを満たすすべてのkに対しmCkが整数 ならば 0≦k≦m+1を満たすすべてのkに対しm+1Ckが整数 であることを示せば良い。

k=0,m+1のときm+1C0=m+1Cm+1=1より整数。

1≦k≦mのときはm+1Ck=mCk-1+mCkより(→パスカルの三角形の性質より)帰納法の仮定から整数。

よってn=m+1のときも成立。

以上よりすべてのn,kに対しnCkは整数である。

 

練習

では典型的な具体例を2つ見て終わりましょう。

例題1: 奇数を2乗したものは8で割ると1余ることを証明せよ。

答え奇数は整数kを用いて2k+1と書ける。

(2k+1)2=4k2+4k+1=4k(k+1)+1

k(k+1)は連続2整数の積だから2の倍数であり4k(k+1)は8の倍数。

よって奇数を2乗したものは8で割ると1余る。

 

例題2: すべての整数nに対しn(n+1)(2n+1)は6の倍数であることを証明せよ。

n=6kのとき,n=6k+1のとき・・・と調べてもできますし数学的帰納法でもできます。ですが連続3整数の積が6の倍数になることを利用します。

「n(n+1)」が見えていることと「連続3整数」にしたいことから「n(n+1)(n+2)なら6の倍数だし(n-1)n(n+1)でも6の倍数だなぁ。」と考えられますね。あとは2つ足したものと考えればOKです。

答え n(n+1)(2n+1)
=n(n+1){(n+2)+(n-1)}=n(n+1)(n+2) + (n-1)n(n+1)
連続3整数の積は6の倍数だからそれぞれ6の倍数であり和も6の倍数。
ちなみに「2n+1=(n+2)+(n-1)にわける」アイデアが思いつかなくても
n(n+1)(n+2)は連続3整数の積だから6の倍数。
n(n+1)(2n+4)もそれを2倍しただけだから6の倍数。
あとはそこから3n(n+1)を引いたものが求める式だから3n(n+1)が6の倍数だと言えば良い。
n(n+1)は連続2整数の積だから2の倍数。∴3n(n+1)は6の倍数
という証明もできます。

 

n(n+1)は2の倍数。n(n+1)(n+2)は6の倍数。その程度しか現実的に使うことはありません。一般の証明は興味がある人だけにして↑の2つを使えるようにしましょう。

解説を読んで数学がわかった「つもり」になりましたか?数学は読んでいるうちはわかったつもりになりますが演習をこなさないと実力になりません。そのためには問題集で問題を解く練習も必要です。オススメの参考書を厳選しました

<高校数学> <大学数学> さらにオススメの塾、特にオンラインの塾についてまとめてみました。自分一人だけでは自信のない人はこちらも参考にすると成績が上がります。