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上野竜生です。数学的帰納法はほぼワンパターンで解けます。ただし応用もあるのでここで紹介しようと思います。

基礎と応用 数学的帰納法

基本パターン

1) n=1のときに成立を示す。
2) n=kのときに成立するならばn=k+1のときも成立 を示す。
3) 「よって数学的帰納法よりすべての自然数nに対し題意は成立」と書く

n=1のときに成立することは1から言えます。
n=2のときは2)よりn=1で成立ならばn=2で成立が言え,n=1での成立はすでに示されているので成立です。
n=3のときは2)よりn=2で成立ならばn=3で成立が言え,n=2での成立はすでに示されているので成立です。

この感じですべての自然数で成立が言えます。

数学的帰納法を使う問題では,普通2)の部分がきちんといえるかが勝負になってきます。(ごくまれに1)のほうがしんどいときもありますが・・・)

ただし,1)も絶対必要な記述なので明らかな場合でも「n=1は明らか」ぐらいは書きましょう。

 

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例題

すべての自然数nに対し\( 4^n \)を3で割った余りは1であることを示せ。

数学的帰納法で示す。

n=1のとき4を3で割った余りが1であることは明らか

n=kで成立すると仮定する。つまり\( 4^k=3M+1 \)と書けるとする

この「言葉を式で表現する」ことができればゴールは目の前です。躓くとするならこの部分の変形ができていないのでしょう・・・

n=k+1のとき

\( 4^{k+1}=4\cdot 4^k=4(3M+1)=12M+4=3(4M+1)+1\)

4M+1は整数だから\( 4^{k+1} \)は3で割ると1余るのでn=k+1のときも成立

よって数学的帰納法よりすべての自然数nに対し\( 4^n \)は3で割ると1余る

 

例題2

すべての自然数nに対し,次の不等式が成り立つことを示せ。
\( \displaystyle \sum_{k=1}^{n} k(k+1) < (n+2)!\)

n=1のとき(左辺)=2 (右辺)=6なので成立

一応左辺にΣ,右辺に!がありますからここは明らかと言わず両辺の値を求めましょう。

n=kで成立すると仮定する。つまり

\( \displaystyle \sum_{i=1}^{k} i(i+1) < (k+2)!\)とする。n=k+1のとき

(左辺)=\( \displaystyle \sum_{i=1}^{k+1} i(i+1)
\\ = \left( \displaystyle \sum_{i=1}^{k} i(i+1) \right) + (k+1)(k+2)
\\ < (k+2)! + (k+1)(k+2)
\\ <(k+3)!=((k+1)+2)!\)
=(右辺)

(下から2行目は帰納法の仮定より成立。1番下の不等式は次を示せばよい)

\( (n+2)!+(n+1)(n+2)<(n+3)! \)

この式の右辺ー左辺を計算すると
\( (n+3)!-(n+2)!-(n+1)(n+2)
\\= (n+2)(n+2)!-(n+1)(n+2)
\\> (n+2)(n+1)-(n+1)(n+2)
\\=0\)
よりこの不等式は成立

よりn=k+1のときも成立

最後の不等式は正直成り立つかわからないままとりあえずゴールに向かって式を書きました。ただしそれだと説明不足になるので後で説明を補足する形で証明しています。つまり「<(k+3)!」を書いている段階ではまだ頭の中で証明は完了していません。
一応n=k+1のときの成立を明らかにするために(k+3)!=((k+1)+2)!と書いておいたほうがいいでしょう。

よって数学的帰納法よりすべての自然数nに対して題意は成立。

 

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応用例1:n=kとn=k+1での成立を仮定してn=k+2で証明する

\( a=3+2\sqrt{2} , b=3-2\sqrt{2} \)とする。すべての自然数nに対し\(a^n+b^n\)は整数であることを示せ。

n=1のときa+b=6

n=2のとき\( a^2+b^2=17+12\sqrt{2} + 17-12\sqrt{2}=34\)

となりn=1,2のとき成立。

n=k,n=k+1での成立を仮定する。つまり,
\(a^k+b^k=N , a^{k+1}+b^{k+1}=M \)(N,Mは整数)とすると

\( a^{k+2}+b^{k+2}
\\=(a^{k+1}+b^{k+1})(a+b)-ab(a^k+b^k)
\\=6M-N (∵ab=1)\)

となりn=k+2のときも成立。

よって数学的帰納法よりすべての自然数nに対して成立。

 

応用例2:k以下のすべての整数で仮定しn=k+1のときに示す

出題頻度は高くないです。主に漸化式の解き方のページに載っていない特殊な漸化式を解くときに使います。

n=1,2,3・・・を代入して一般項を予想し,帰納法で証明します。ただし,漸化式の中にa1からanまで全部入っている場合は1つ手前に戻るだけでは不十分(通常の帰納法の仮定だけでは足りない)のでa1からakまですべてを仮定する必要があります。

 

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