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上野竜生です。今回は回転軸がx軸やy軸ではなく,傾いている場合の回転体の体積を計算します。

斜軸回転体

例題

f(x)=3x2,g(x)=3xとする。
(1) y=f(x)とy=g(x)で囲まれた部分をy=3xを軸に1回転させてできる立体の体積Vを求めよ。
(2) y=f(x)-g(x)とy=0で囲まれた部分をx軸を中心に1回転させてできる立体の体積をWとする。\(\frac{V}{W}\)を求めよ。

求める積分は回転軸上にOH=tとなるようにHをとり回転軸に垂直な面で切断したときの円の面積をtで積分します。
しかし実際にやろうとすると計算がとても汚いので工夫しないとほぼ不可能です。
x軸を中心に1回転するときと同様にx座標に対応した点をうまくとることでxで置換積分できます。

回転体解説

答え(1) 放物線上の点をP(x,3x2),直線上の点をQ(x,3x)とおく。
Pからy=g(x)へ垂線を引き足をHとするとPQ=3x-3x2
三角形の相似よりPH:HQ:PQ=\(1:3:\sqrt{10} \)なので
\(PH=\frac{1}{\sqrt{10}}(3x-3x^2) , QH=\frac{3}{\sqrt{10}}(3x-3x^2) \)
OH=tとする
\(\displaystyle t=OQ-QH=\sqrt{10}x-\frac{3}{\sqrt{10}}(3x-3x^2) \)
ゆえに\(\displaystyle dt=(\sqrt{10}-\frac{9}{\sqrt{10}}+\frac{18}{\sqrt{10}}x) dx=(\frac{1}{\sqrt{10}}+\frac{18}{\sqrt{10}}x)dx\)
求める回転体の体積は
\(\displaystyle \int_0^{\sqrt{10}} \pi PH^2 dt = \int_0^1 \pi (\frac{1}{\sqrt{10}}(3x-3x^2))^2 \cdot (\frac{1}{\sqrt{10}}+\frac{18}{\sqrt{10}}x)dx \\
=\displaystyle \frac{9}{10\sqrt{10}}\pi \int_0^1 (x-x^2)^2\cdot (1+18x) dx \\
=\displaystyle \frac{9}{10\sqrt{10}}\pi \int_0^1 (18x^5-35x^4+16x^3+x^2)dx \\
=\displaystyle \frac{9}{10\sqrt{10}}\pi \left[3x^6 - 7x^5 + 4x^4 +\frac{1}{3}x^3 \right]_0^1 \\
=\displaystyle \frac{9}{10\sqrt{10}}\pi \cdot \frac{1}{3}=\frac{3}{10\sqrt{10}}\pi \)
(2) \(f(x)-g(x)=3x^2-3x=3x(x-1) \)なのでy=f(x)-g(x)とy=0の交点のx座標はx=0,1
よってWは
\(\displaystyle W=\int_0^1 \pi (3x^2-3x)^2 dx=\pi \int_0^1 9x^4-18x^3+9x^2 dx \\
=\displaystyle \pi \left[\frac{9}{5}x^5-\frac{9}{2}x^4+3x^3 \right]_0^1 = (\frac{9}{5}-\frac{9}{2}+3)\pi=\frac{3}{10}\pi \)
以上より
\(\displaystyle \frac{V}{W}=\frac{\frac{3}{10\sqrt{10}}\pi}{\frac{3}{10}\pi}=\frac{1}{\sqrt{10}}\)

なおこれは直線の傾きをtanθ(=3)としたときのcosθと等しいですが偶然ではなく必ずそうなります。なのでこのタイプの問題が頻出の大学を受けようとする場合,(2)のWとの関係を調べてみると検算になります。

斜軸回転体の説明

円錐の側面を足し合わせたものとして考える。
図の体積は円錐の側面積×dxで近似できる。(中身はスカスカで側面付近部分のみの体積)円錐の側面積は母線の長さ(斜めの長さ)×底面半径×πで求まる。
よってπ×PQ×PH
ここでy=g(x)とのなす角をθとするとPH=PQcosθなのでπPQ2cosθである。
よって\(\displaystyle V=\int_0^1 \pi PQ^2 \cos{\theta} dx \)
一方\(\displaystyle W=\int_0^1 \pi PQ^2 dx \)なので\(\displaystyle \frac{V}{W}=\cos{\theta} \)

ただしこの考え方自体あまり厳密ではないと思うので最初の置換積分のやり方で計算できる人はそちらのほうがいいです。

このように回転軸が傾いている場合,考えが非常に難しく初見の誘導なしではかなり絶望なので難関大学やこのタイプ頻出大学を受験する人は1度経験しておく必要があります。

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