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上野竜生です。今回は分数関数のグラフの書き方や定義域・値域・漸近線の求め方と、逆に定義域や漸近線がわかっているときの分数関数の求め方などについて紹介します。

 

\( \displaystyle y=\frac{ax+b}{cx+d} \)のグラフ

一般の場合

まず注意すべきこととしてc=0ならただの一次関数になるので今回の議論からは除外する。つまりc≠0であると仮定する。

\(\displaystyle \begin{eqnarray} y &=& \frac{ax+b}{cx+d} \\ &=& \frac{a}{c}+ \frac{b-\frac{ad}{c}}{cx+d} \\ &=&  \frac{a}{c} + \frac{\frac{bc-ad}{c^2}}{x+\frac{d}{c}} \end{eqnarray} \)

\(\displaystyle \frac{bc-ad}{c^2} \)が定数であることに注意するとこれは反比例のグラフ
\(\displaystyle y=\frac{\frac{bc-ad}{c^2}}{x} \)をx軸方向に\(\displaystyle -\frac{d}{c} \),y軸方向に\(\displaystyle \frac{a}{c} \)平行移動したものである。

特に定義域は\(\displaystyle x \neq -\frac{d}{c} \)[分母≠0]
値域は\(\displaystyle y \neq \frac{a}{c} \)である。

反比例のグラフには漸近線x=0,y=0があるので平行移動させると\(\displaystyle x=-\frac{d}{c} , y=\frac{a}{c} \)が漸近線となる。

ad-bc=0のときは反比例のグラフの分子が0になってしまいます。ad-bc=0ということはa:b=c:dが成り立つので\(\displaystyle y=\frac{ax+b}{cx+d} \)は約分出来てただの定数になってしまいます。これも今回の議論からは除外しておきます。

なのでまとめると
\(\displaystyle y=\frac{ax+b}{cx+d} \)はc=0のとき高々一次関数,ad-bc=0のとき定数関数であるがこれ以外の時は
反比例のグラフを平行移動したものになる。
特にx軸に平行な漸近線とy軸に平行な漸近線がある。

一般のa,b,c,dを含んだ式を暗記しておくのは大変なので式変形を理解しておきましょう。次の具体例で学習しましょう。

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例題1 式からグラフ・漸近線を求める

(1)(i) \(\displaystyle y=\frac{2x}{3x-1} \)のグラフをかけ。
(ii) (1)のグラフの漸近線を求めよ。
(2)(i) \( 2x+y-3xy=0 \)のグラフをかけ。
(ii) \( \displaystyle \frac{1}{x}+\frac{2}{y}=3 \)のグラフをかけ。
答え(1)(i)
\(\displaystyle \begin{eqnarray} \frac{2x}{3x-1} &=& \frac{\frac{2}{3}(3x-1)+\frac{2}{3}}{3x-1} \\ &=& \frac{2}{3} + \frac{\frac{2}{3}}{3x-1} \\ &=& \frac{2}{3} + \frac{\frac{2}{9}}{x-\frac{1}{3}} \end{eqnarray}\)
よって\(\displaystyle y=\frac{\frac{2}{9}}{x} \)のグラフをx軸方向に\(\displaystyle \frac{1}{3} \),y軸方向に\(\displaystyle \frac{2}{3} \)平行移動したグラフとなるからグラフは下の通り。
分数関数のグラフ
ただでさえ複雑なグラフなのに平行移動も加わるので通る点などの細かいところは大変です。x軸との交点やy軸との交点ぐらいはもとめたいところです。x=0を代入するとy=0なので原点を通ります。

答え

(ii) 上の式変形とグラフより
\(\displaystyle x=\frac{1}{3} , y=\frac{2}{3} \)
が求める漸近線である。

(2) パッと見では分数関数の形をしていませんが式変形すると実は分数関数ということもあるので注意しましょう。
(2)(i) yについて整理すると\( (3x-1)y=2x\)
\( x=\frac{1}{3} \)を代入すると式は成り立たないので\( x \neq \frac{1}{3} \)
よって両辺を3x-1(≠0)で割ると
\(\displaystyle y=\frac{2x}{3x-1} \)となるから(1)と同様にして(1)と同じグラフになる。

(ii) 分母≠0なのでx≠0,y≠0
両辺にxyをかけて分母を払うと
y+2x=3xy
つまり2x+y-3xy=0だから(i)と同様にして(1)と同じグラフになる。
ただし「x≠0またはy≠0上の点」は除くから原点は除外される。
分数関数のグラフ2

このように分数関数のグラフはかくのがやや大変です。1度は書けるようにしておくべきですが出題頻度も考えると何度も練習して時間短縮までするようなものではありません。

 

例題2 (逆バージョン)

\(\displaystyle y=\frac{ax+b}{3x+c} \)が原点を通りx=-2,y=4を漸近線にもつという。定数a,b,cの値を定めよ。

答え

【解1】条件に当てはまる分数関数をつくって係数比較

漸近線がx=-2,y=4なのでこの分数関数は
\(\displaystyle y=4+\frac{k}{x+2} \)とかける。
これが原点を通るから\(\displaystyle 0=4+\frac{k}{2} \)
つまりk=-8。よって
\(\displaystyle y=4-\frac{8}{x+2}\\ \displaystyle =\frac{4x}{x+2}= \frac{12x}{3x+6} \)
よって係数比較するとa=12 , b=0 , c=6
(分母のxの係数を合わせるために分母分子に同じ数をかけました。)

【解2】問題文の式を変形して漸近線を求める

原点を通るからx=0,y=0を代入するとb=0
\(\displaystyle \frac{ax}{3x+c}=\frac{a}{3}-\frac{ac}{3(3x+c)} = \frac{a}{3} - \frac{\frac{ac}{9}}{x+\frac{c}{3}} \)
よって漸近線は\(\displaystyle x=-\frac{c}{3} \)と\(\displaystyle y=\frac{a}{3} \)
よってc=6,a=12
以上よりa=12,b=0,c=6

【解2】のほうが素直な解き方ですが計算がやや複雑なので【解1】でも良いということを知っておきましょう。

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