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上野竜生です。微分の基本公式を導出します。とりあえず証明は無視して結果だけ覚えて使いこなす方が重要ですが証明そのものもそれなりに応用問題として使えるせいか難関大学でも導出そのものを問われることがあります。

 

微分の定義

y=f(x)とおくとき\(\displaystyle f’(x)=\frac{dy}{dx}=\lim_{h\to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} \)

 

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基本的な微分の証明

①cosx’=-sinx

sinx’=cosxの証明はよく教科書や参考書で扱われると思うのでcosxを証明する。sinxも同様に示せる。

答えf(x)=cosxとおくと
\(\displaystyle f’(x)=\lim_{h \to 0} \frac{\cos{(x+h)}-\cos{x}}{h}\\ \displaystyle =\lim_{h\to 0} \frac{(\cos{h}-1)\cos{x}-\sin{x}\sin{h}}{h}=-\sin{x} \)
∵\(\displaystyle \lim_{h\to 0}\frac{\cos{h}-1}{h}=\lim_{h\to 0} \frac{-\sin^2{h}}{h(1+\cos{h})}=0 \\ \displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{\sin{h}}{h}=1\)

② \( (a^x)’=a^x \log{a} \)

答え\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{a^{x+h}-a^x}{h}=a^x \lim_{h\to 0} \frac{a^h-1}{h} \)
ここで\(a^h = e^{\log{a^h}} \)なので
\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{e^{\log{a^h}}-1}{\log{a^h}} \cdot \frac{\log{a^h}}{h} \)
最後の部分は\(\displaystyle \frac{\log{a^h}}{h}=\frac{h\log{a}}{h}=\log{a} \)である。
\( t=\log{a^h} \)とおくと\(h \to 0\)のとき\(t\to 0\)であり対数の極限の公式より
\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{e^{\log{a^h}}-1}{\log{a^h}}=\lim_{t\to 0} \frac{e^t-1}{t}=1 \)
以上をまとめると微分は\(a^x \cdot 1 \cdot \log{a}=a^x \log{a} \)

この緑色の部分が循環論法だと思う場合は対数微分を使って示すと良いでしょう。対数微分は後で勉強します。

③\(\displaystyle (\log_{a}x)’=\frac{1}{x\log{a}} \)の証明

a=eの場合だけ示せば底の変換公式\(\displaystyle \log_a{x}=\frac{\log{x}}{\log{a}} \)から明らかに示せる。よって\(\displaystyle (\log{x})’=\frac{1}{x} \)だけ示す。

答え\(\displaystyle \lim_{h \to 0} \frac{\log{(x+h)}-\log{x}}{h}=\lim_{h\to 0} \log{(1+\frac{h}{x})^{\frac{1}{h}}} \)
ここで\(\displaystyle t=\frac{h}{x} \)とおくと
\(\displaystyle \lim_{t \to 0} ((1+t)^{\frac{1}{t}})^{\frac{1}{x}} =e^{\frac{1}{x}} \)
よって対数をとると\(\displaystyle  \log{x}’=\frac{1}{x} \)

④積の微分

\( \{ f(x)g(x) \}’=f’(x)g(x)+f(x)g’(x) \)

答え\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x)}{h}\\ =\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{f(x+h)g(x+h)-f(x)g(x+h)+f(x)g(x+h)-f(x)g(x)}{h} \\ =\displaystyle \lim_{h\to 0} g(x+h) \frac{f(x+h)-f(x)}{h} + f(x)\frac{g(x+h)-g(x)}{h} \\= f’(x)g(x)+f(x)g’(x) \)

⑤商の微分

\(\displaystyle \{\frac{f(x)}{g(x)} \}’=\frac{f’(x)g(x)-f(x)g’(x)}{g(x)^2} \)

答え\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{\frac{f(x+h)}{g(x+h)}-\frac{f(x)}{g(x)}}{h} \\ = \displaystyle \frac{f(x+h)g(x)-g(x+h)f(x)}{h g(x+h)g(x)} \\ = \displaystyle \frac{(f(x+h)g(x)-f(x)g(x))-(g(x+h)f(x)-g(x)f(x))}{h g(x+h)g(x)} \\ \displaystyle = \lim_{h\to 0} \frac{g(x)}{g(x+h)g(x)} \frac{f(x+h)-f(x)}{h} - \frac{f(x)}{g(x+h)g(x)} \frac{g(x+h)-g(x)}{h} \\ = \displaystyle \frac{g(x)}{g(x)^2}f’(x)-\frac{f(x)}{g(x)^2} g’(x)=\frac{f’(x)g(x)-f(x)g’(x)}{g(x)^2} \)

⑥ 合成関数の微分

\(\displaystyle f(g(x))’=f’(g(x))g’(x) \)
答え\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{h} \\ =\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{f(g(x+h))-f(g(x))}{g(x+h)-g(x)} \cdot \frac{g(x+h)-g(x)}{h} \)
\( g(x+h)-g(x)=k \)とおくと\( g(x+h)=g(x)+k , h\to 0 \)のとき\(k \to 0\)だから
\(\displaystyle \lim_{k \to 0} \frac{f(g(x)+k)-f(g(x))}{k} \cdot \lim_{h\to 0} \frac{g(x+h)-g(x)}{h}\\ = f’(g(x))g’(x) \)
なお合成関数の微分は\(u=g(x) \)とおくと\( \{f(u)\}’=f’(u) u’ \)なので
\(\displaystyle \frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du} \cdot \frac{du}{dx} \)
と書かれることがあります。

例題

\(\displaystyle \sqrt{f(x)} \)を微分せよ。

答え\(\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{\sqrt{f(x+h)}-\sqrt{f(x)}}{h} = \lim_{h\to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h(\sqrt{f(x+h)}+\sqrt{f(x)})} \\ =\displaystyle \lim_{h\to 0} \frac{f(x+h)-f(x)}{h}\cdot \frac{1}{\sqrt{f(x+h)}+\sqrt{f(x)}}=\frac{f’(x)}{2\sqrt{f(x)}} \)

これも結果は覚えておくと良いでしょう。

なお今後「○○を微分せよ」という問題は頻出です。ですが今回のように微分の定義にあてはめて極限計算することなどほぼありません。ではどうやって求めるかというと次のページで公式を適用する練習をします。マスターすればまるで言葉遊びのように計算できるようになります。

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