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上野竜生です。数Aの平面図形で扱ったメネラウスの定理の問題をベクトルで解きます。この問題だけならメネラウスで解くのが楽ですが空間ベクトルになったときに効いてくるので必ずベクトルの解法をマスターしておきましょう。キーワードは「一次独立」です。

メネラウスの定理をベクトルで

ベクトルの一次独立

2つの平面ベクトル\(\vec{a},\vec{b} \)が一次独立であるとは\( \vec{a} \neq \vec{0} \)かつ\(\vec{b} \neq \vec{0} \)かつ\(\vec{a},\vec{b} \)が平行でないこと。(\(\vec{a}=k\vec{b} \)を満たす実数kが存在しないこと。)

先に教えておくと3つの空間ベクトル\(\vec{OA},\vec{OB},\vec{OC}\)が一次独立とはOABCが四面体の頂点となっていることです。

一次独立でないベクトルを一次従属といいます。(高校範囲ではあまり重要ではないワードですが・・・)

言い換え

2つの平面ベクトル\(\vec{OA},\vec{OB} \)が一次独立であるとはOABが三角形の頂点になっていること。つまり三角形OABの面積が0でないこと。

3つの空間ベクトル\(\vec{OA},\vec{OB},\vec{OC}\)が一次独立とは四面体OABCの体積が0でないこと。

この定義なら大学へ行って4次元ベクトルなどに拡張するときもかなり使えると思います。(ベクトルの成分を並べた行列の行列式が0でない)ですが高校範囲では最初の定義を使うことにします。

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重要な性質

\(\vec{a},\vec{b} \)が一次独立とすると次が成り立つ。

\(s\vec{a}+t\vec{b}=s'\vec{a}+t'\vec{b} \)ならばs=s'かつt=t'

つまり2つのベクトルが等しいときに係数比較して恒等式のような式を作ってよいということになります。一次独立でなければこの性質は成り立ちません。

一次独立であることを証明する問題は大学にまわすとして高校ではほぼ「三角形」「四面体」は成立している,つまり一次独立は明らかとしてそれを用いて係数比較して問題を解きます。

記述式の試験では係数比較する前に「~は一次独立だから」といった理由を書き忘れないようにしましょう。

 

例題

三角形OABの辺OAを1:3に内分する点をC,辺OBを4:3に内分する点をDとし,ADとBCの交点をEとする。\(\vec{OE} \)を\(\vec{OA},\vec{OB} \)で表せ。
メネラウスの定理をベクトルで
答えEはAD上にあるから実数s(0<s<1)を用いて
\(\vec{OE}=s\vec{OA}+(1-s)\vec{OD} \)・・・①
とかける。またEはBC上にあるから実数t(0<t<1)を用いて
\(\vec{OE}=t\vec{OB}+(1-t)\vec{OC} \)・・・②とかける。
\(\displaystyle \vec{OC}=\frac{1}{4}\vec{OA} , \vec{OD}=\frac{4}{7}\vec{OB} \)であるから①②に代入すると

\(\vec{OE}=s\vec{OA}+\frac{4}{7}(1-s) \vec{OB} = \frac{1}{4}(1-t)\vec{OA}+t\vec{OB} \)・・・③

とかける。
\(\vec{OA},\vec{OB} \)は一次独立だから係数を比較して
\(s=\frac{1}{4}(1-t) , \frac{4}{7}(1-s)=t \)
これを解くと\(s=\frac{1}{8} , t=\frac{1}{2} \)
よって③に代入すると
\(\vec{OE}=\frac{1}{8}\vec{OA}+\frac{1}{2}\vec{OB} \)

別解

メネラウスの定理より
\(\displaystyle \frac{CA}{OC} \cdot \frac{ED}{AE} \cdot \frac{BO}{DB} =\frac{3}{1} \cdot \frac{ED}{AE} \cdot \frac{7}{3} = 1 \)
よってAE:ED=7:1
三角形OADにおいてEはADを7:1に内分する点だから
\(\vec{OE}=\frac{1}{8} \vec{OA}+\frac{7}{8} \vec{OD} \)
\(\vec{OD}=\frac{4}{7}\vec{OB} \)だから
\(\vec{OE}=\frac{1}{8}\vec{OA}+\frac{1}{2}\vec{OB} \)

 

この解法ではメネラウスの定理を使うことでs,tの連立方程式をとく手間を省いています。この問題に限ればそれでいいですがこれから空間ベクトルの問題を解くときのことも考えて最初の解法でできるようにしておきましょう。

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