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上野竜生です。今回は三角関数のグラフの書き方を紹介します。

三角関数のグラフ

基本となるグラフ

y=sinxのグラフ

y=sinxのグラフ

このようなグラフになります。-1≦y≦1で周期は2πです。原点を通り原点対称(奇関数)であることも重要です。

y=cosxのグラフ

y=cosxのグラフ

このようなグラフになります。-1≦y≦1で周期は2πです。原点は通らずy軸対称(偶関数)であることも重要です。

y=tanxのグラフ

y=tanxのグラフ

このようなグラフになります。奇関数ですが不連続であることも重要です。とりあえず\(-\frac{\pi}{2}<x<\frac{\pi}{2}\)のところをかければあとは何個も繰り返すだけですね。

ここで\(x=\pm \frac{\pi}{2} \)は漸近線(限りなく近づく直線)になっています。

また\(-\frac{\pi}{2}<x<\frac{\pi}{2}\)の部分はy=x3のグラフに似ていますが原点の傾きが違います。(y=tanxの原点の傾きは1。つまり45°。y=x3の原点の傾きは0。つまり0°)

 

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まずはy=AsinB(x-C)の形に変形する!

Aを変化させる(例:y=sinx,y=2sinx,y=3sinxのグラフ)

y=A・sinxのグラフ

上からy=sinx,y=2sinx,y=3sinxのグラフです。波の高さが変わるだけでそれ以外の周期などは全く変わりませんね。y=-sinxなら上下が反対になります。

Bを変化させる(例:y=sinx,y=sin(2x),y=sin(3x)のグラフ)

y=sin(bx)のグラフ

上からy=sinx,y=sin2x,y=sin3xのグラフです。x軸方向に2倍,3倍と圧縮されています。周期が変わり,上から\(2\pi , \pi , \frac{2}{3}\pi \)となっています。

 

Cを変化させる(例:\(y=\sin{x},y=\sin{(x-\frac{\pi}{6})},y=\sin{(x-\frac{\pi}{3})}\)のグラフ)

y=sin(x-C)のグラフ

上から\(y=\sin{x},y=\sin{(x-\frac{\pi}{6})},y=\sin{(x-\frac{\pi}{3})}\)のグラフです。x軸方向に平行移動しているだけです。周期などは変わりません。

AもBもCも変化している場合のグラフの書き方

まずはy=AsinB(x-C)の形などに直します。別にsinでなくてもcosでもtanでもいいです。ただしAsin(Bx-C)ではなくAsinB(x-C)です。ここに注意しましょう。あとはy=sinxのグラフの波の高さをA倍にし,x軸方向にB倍圧縮し,x軸方向にC平行移動させます。

y=AsinBxのグラフをx軸方向にC平行移動させたものは
y=Asin(Bx-C)ではなくy=AsinB(x-C)=Asin(Bx-BC)です。

練習

例題1: \(\displaystyle y=2\sin{\left(\frac{x}{3}+\frac{\pi}{2}\right)}\)のグラフをかけ

\(\displaystyle y=2\sin{\frac{1}{3}\left(x+\frac{3\pi}{2}\right)}\)と変形すればあとはy=2sinxのグラフ(1番上)

\(y=2\sin{\frac{x}{3}} \)のグラフ(真ん中)をかき,最後にx軸方向に\(-\frac{3}{2}\pi\)平行移動させれば(1番下)完成です。答えは1番下のグラフになります。平行移動する向きや量を間違えないようにしましょう。

y=2sin(x/3+π/2)のグラフ

 

 

例題2: 次のグラフの式として正しいものをすべて選べ。
この式はどれか
① \(\displaystyle y=4\sin{2\left(x-\frac{\pi}{6}\right)} \)  ② \(\displaystyle y=4\sin{2\left(x+\frac{\pi}{6}\right)} \)
③ \(\displaystyle y=4\sin{\left(2x-\frac{\pi}{6}\right)} \)  ④ \(\displaystyle y=4\sin{\left(2x+\frac{\pi}{6}\right)} \)
⑤ \(\displaystyle y=4\cos{2\left(x-\frac{\pi}{6}\right)} \)  ⑥ \(\displaystyle y=4\cos{2\left(x+\frac{\pi}{6}\right)} \)
⑦ \(\displaystyle y=4\cos{\left(2x-\frac{\pi}{6}\right)} \)  ⑧ \(\displaystyle y=4\cos{\left(2x+\frac{\pi}{6}\right)} \)

新傾向の共通テストにはこういうのが出されることが予想されます。基本通り1つずつグラフをかけばできますが,それでは時間が足りません。短時間で解く方法を教えます。方針は完全に正しいのを示すのは大変だが明らかに間違いなのはすぐわかるので早い段階で絞り込むことです。三角関数ではなかったですが,実際2021年の共通テストでこの考えで絞り込むように指示されたことがあります。

step1 明らかに間違いなのは消す!
波の高さがy=±4のところまで来ているのでy=4sin○,y=-4sin○,y=4cos○,y=-4cos○のどれかだと推測できますが8つの選択肢すべてがこの形なのでこれでは絞れません。
また周期がπなのでxの係数は2ですがこれも8つの選択肢がすべてこの形なので絞れません。
たとえばx=0を代入してy>0にならないものは式変形したりグラフをかくまでもなくハズレの選択肢です。
y≦0になっている①③は脱落です。
次に\(x=\frac{\pi}{3}\)を代入してy=0にならないものは脱落です。
すると①③④⑤⑥⑧は脱落で残りは②⑦です。
step2 ここからは面倒さによって方針が変わります。
<面倒だなと思うとき>もう1点ぐらい調べてあってたらもう合ってるでいいっか!
すでにy=4sin2(x-C)の形までわかっていて後はCだけを調べてるので2~3点確かめて全部あっていれば違うことはないだろうという方針です。
この方針なら盲点になりやすいところを狙うのがおすすめです。\(x=\frac{\pi}{3},x=\frac{5}{6}\pi \)はグラフに書き込まれているし,y=0なので正負での判断もしにくいです。
あえてその中央である\(x=\frac{7}{12}\pi\)あたりを調べると出題者が性格悪くても(グラフに書き込んだ値は一致するがたとえばプラスマイナスが逆などでほかの点では一致しない場合など)かなりの精度で的中できます。
というわけで\(x=\frac{7}{12}\pi\)をしらべてy=-4になればまあ合っているだろうという方針です。
実際代入すると②⑦ともにあっているので答えは②⑦です。
<もう少し丁寧に裏技を使うとき>
y=4sin2(x-C),y=4cos2(x-C)の形までわかり,さらに\(x=\frac{\pi}{3}\)のときy=0も確かめました。
ゆえに周期がπなのはもうわかっているので\(x=\frac{5}{6}\pi\)のときy=0も自明で調べる意味はありません。
この時点でグラフの可能性は問題文に与えられた図か,それの上下反転させたものかの2通りしかありません。あとは最初に調べたx=0のときy>0の条件から1通りに定まるので
実はもうすでに確定しています。よって答えは②⑦
<正攻法がいいとき>実際にグラフをかきます。あと2つなのでそれほど時間はかかりません。
②y=4sin2xのグラフをx軸方向に\(-\frac{\pi}{6}\)平行移動させると確かに問題文のグラフになるので②は適。
⑦y=4cos2xのグラフをx軸方向に\(\frac{\pi}{12}\)平行移動させると確かに問題文のグラフになるので⑦は適。
よって②⑦

なお選択肢の並びから「①~④の中に1つ」「⑤~⑧の中に1つ」と決めつけてはいけません。
一般には2πずれればもとの関数になるので①~④から複数でるかもしれません。思い込みで1つ見つけたから残りの3つは調べず不適とすると出題者の罠にハマってしまいます。注意しましょう。

 

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