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 上野竜生です。三角形の辺や角が3つわかれば基本的に残りの3つも計算できます。その求め方をすべてのパターン網羅して考えます。

3つわかったとき、残りの3つを求める

暗黙の了解

三角形ABCにおいて∠Aや∠B,∠Cを単にA,B,Cとし,aは辺BCの長さ,bは辺CAの長さ,cは辺ABの長さとする。
三角形の辺と角についての暗黙の了解

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使う定理

<正弦定理>
三角形ABCの外接円の半径をRとするとき次が成り立つ。
\( \displaystyle 2R=\frac{a}{\sin{A}}=\frac{b}{\sin{B}}=\frac{c}{\sin{C}} \)

<余弦定理>
\( \displaystyle \cos{A}=\frac{b^2+c^2-a^2}{2bc}\)

パターン1:3辺の長さがわかっているとき

わからないのは角度なのですべて余弦定理で計算することができます。

例題:\( a=\sqrt{6} , b=\sqrt{3}+1 , c=2 \)の三角形の∠A,B,Cを求める。

答え余弦定理より

\(\displaystyle \cos{A}=\frac{(\sqrt{3}+1)^2+2^2-\sqrt{6}^2}{2(\sqrt{3}+1)\cdot 2}=\frac{2+2\sqrt{3}}{4(\sqrt{3}+1)}=\frac{1}{2}\)

よってA=60°
余弦定理より

\(\displaystyle \cos{B}=\frac{6+4-(\sqrt{3}+1)^2}{4\sqrt{6}}=\frac{6-2\sqrt{3}}{4\sqrt{6}}=\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} \)
\(\displaystyle \cos{C}=\frac{6+(\sqrt{3}+1)^2-4}{2\sqrt{6}(\sqrt{3}+1)}=\frac{6+2\sqrt{3}}{2\sqrt{6}(\sqrt{3}+1)}=\frac{1}{\sqrt{2}} \)

よってC=45° , B=180°-60°-45°=75°

残りの辺を求める問題1
cos75°の値を知っていればcosBの値からBを求めることができます。ですがこのページを読んでいる段階ではまだ知らないという前提にしてます。
逆に知らなかった人はこの計算からcos75°の値を求めることもできます。
cosCの計算中の最後の約分について

\( \displaystyle \frac{6+2\sqrt{3}}{2\sqrt{6}(\sqrt{3}+1)}=\frac{2\sqrt{3}(\sqrt{3}+1)}{2\sqrt{6}(\sqrt{3}+1)}=\frac{1}{\sqrt{2}} \)

という変形が慣れればできますが,慣れていない人は分母の有理化をするべきでしょう。

\( \displaystyle \frac{6+2\sqrt{3}}{2\sqrt{6}(\sqrt{3}+1)}=\frac{(6+2\sqrt{3})(\sqrt{3}-1)}{2\sqrt{6}(\sqrt{3}+1)(\sqrt{3}-1)}\\ \displaystyle =\frac{4\sqrt{3}}{4\sqrt{6}}=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{6}}=\frac{3\sqrt{2}}{6}=\frac{\sqrt{2}}{2}\)
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パターン2:2辺と1つの角がわかっているとき

2辺とその間の角がわかっているとき

まず残った辺の長さを余弦定理で求めます。→余弦定理のページ参照

すると3辺の長さがわかるので正弦定理でも余弦定理でもどちらでも求められます。

2辺と間ではない角がわかっているとき

これは1通りには決まりません。一般に2通り求められます。

この場合,次の流れになります。(a,b,Aがわかっているとします)
1. 辺と対応する角が両方わかってる組(a,A)を使い,正弦定理で外接円の半径Rを求める。
2. 辺だけがわかっている組に正弦定理を使い,角度Bを求める。
3. 三角形の内角の和が180°であることから角度Cを求める。
4. 正弦定理を用い,辺cを求める。

ハッキリ言って6つの組がすべて求められるのは三角定規のような三角形に限られるといっても過言ではなく,一部だけわかるということも多いです。(cosXの値からXが求められないため)。一部だけ求める場合,余弦定理でいきなり辺cの候補を求めることもできます。

例:a=8, b=7 , B=60°の三角形のcを求める。
答え余弦定理より
\(\displaystyle \cos{B}=\frac{64+c^2-49}{16c}=\frac{1}{2} \)
両辺16c倍するとc2+15=8c
(c-3)(c-5)=0∴c=3,5

残りの辺を求める2

c=3,5のどちらも不適ではありません。

 

パターン3:1辺と2つの角がわかっているとき

まず残りの1つの角を求めましょう。三角形の内角の和は180°なので180°からひけば求まります。残りの辺の長さは正弦定理で求めます。

例:c=2 , A=60°,B=75°のときaを求める。

実は最初の例と同じ三角形です。

答え三角形の内角の和は180°だからC=45°
よって正弦定理より
\( \displaystyle \frac{c}{\sin{C}}=\frac{a}{\sin{A}} \)
つまり

\( \displaystyle \frac{2}{\frac{1}{\sqrt{2}}}=\frac{a}{\frac{\sqrt{3}}{2}} \)
よって\( a=\sqrt{6} \)

 

パターン4:3つの角がわかっているとき

これは3辺の比までわかっても長さを正確に求めることはできません。たとえば3つの角がすべて60°とわかれば正三角形まではわかります(辺の比1:1:1)。しかし,その長さは求めることができません。辺の比を求める方法は正弦定理を使えばOKです。

正弦定理より\(\displaystyle \frac{a}{\sin{A}}=\frac{b}{\sin{B}}=\frac{c}{\sin{C}} \)なので
\(a:b:c=\sin{A}:\sin{B}:\sin{C} \)となります。

 

基本的には3つの辺・3つの角の合計6つのうち3つわかれば大体三角形が一意に決まりますが,パターン2の後半が重要です。この場合は2つの可能性がありますし,求める手順も複雑です。自由自在に求められるようにしましょう。

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