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上野竜生です。3次方程式の解の個数に関する問題の解法を紹介します。

3次方程式の解の個数

基本的なこと

実数係数3次方程式の相異なる実数解は最低1つ。最大3つあり,2つになるのは重解になる特殊ケースのみ。

つまり

実数解が1つ ・・・ 「実数解1つ+共役複素数2つ」or「3重解が1つ」

実数解が2つ ・・・ 「2重解1つ+その他の実数解が1つ」

実数解が3つ ・・・ 実数解3つ(そのまんま)

ということになります。

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例題1 定数分離できるパターン

aを実数の定数とする。
(1) 3次方程式x3-6x2+9x-a=0の相異なる実数解の個数を,定数aの値により場合分けして求めよ。
(2) 3次方程式x3-6x2+9x-a=0が相異なる3つの実数解をもつとき,小さいほうからα,β,γとする。α,β,γのとり得る値の範囲を求めよ。

定数分離して求めます。つまり,y=x3-6x2+9xのグラフとy=aの交点の数が異なる実数解の個数になります。(2つの式を連立させれば同値であることがすぐわかります。)

この発想は便利ですしよく使うので覚えましょう。

答え(1)f(x)=x3-6x2+9xとおき,y=f(x)と直線y=aの交点の数を調べる。
f'(x)=3x2-12x+9=3(x-1)(x-3)より増減表は下の通り。
\( \begin{array}{c|ccccc} x & \cdots & 1 & \cdots & 3 & \cdots \\ \hline f’(x) & + & 0 & – & 0 & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 4 & \searrow & 0 & \nearrow \end{array}\)
よってy=f(x)のグラフは下の通り。
y=f(x)のグラフ1
これとy=aの交点の数を求めると,答えは
a<0 , a>4のとき1個
a=0,4のとき2個
0<a<4のとき3個。

(2) 0<a<4のときの実数解の範囲ですが,これもy=f(x)とy=aの交点のx座標がα,β,γとなります。グラフからβは極大値をとるxと極小値をとるxの間しか動けません。α,γについてはもう少し計算が必要です。図を参考に理解してみましょう。

答え(2) y=f(x)とy=aの交点のx座標がα,β,γである。(α,β,γ)
y=f(x)とy=f(1)(=4)の交点のx座標を求める。
x3-6x2+9x=4
(x-1)2(x-4)よりx=1,4
同様にしてy=f(x)とy=f(3)=0の交点のx座標はx=0,3
よってグラフは下の通りになり
y=f(x)のグラフ2
0<α<1 , 1<β<3 , 3<γ<4
・3次方程式の因数分解は簡単にできます。なぜならy=f(x)とy=f(1)はx=1で接しているので(x-1)2の因数をもつことは明らかだからです。
3次関数に関するすごい性質(裏技)を知っている人は因数分解するまでもなく即x=4やx=0を導くことができます。
・もし問題が「実数a,b,cがa+b+c=6, ab+bc+ca=9を満たすときabc, a, b, cのとり得る範囲を求めよ」だったとしても解と係数の関係から3次式を作れば同様に解ける点に注意してください。(符号が違うだけで実質一緒です。このパターンが数学オリンピックで出た気がします・・・)
・最近は普通の入試問題でもたまにこの考えを使うのでオリンピックレベルでない受験生も解けるようになる必要があります。

 

例題2: 定数分離できないパターン

一般には割と大変なのですが3次関数に限定すれば意外と簡単に解けます。3次関数のグラフをイメージしてみてください。

極大極小が存在しないとき単調増加/単調減少なのでx軸とは1回しか交わらないため実数解は1つです。

極大極小が存在しても,極大値と極小値が同符号であればやはりx軸とは1回しか交わりません。

極大極小が存在して,かつ極大値と極小値が異符号であればx軸とは3回交わります。

(極大値や極小値が0ならば重解を持ち2回交わります)

これらをまとめると次のようになります。

3次方程式f(x)=0の実数解の個数
f'(x)=0が相異なる実数解α,βをもたないとき→1個
・以下ではf'(x)=0の解は異なる実数α,βとする。
f(α)とf(β)が同符号,つまりf(α)f(β)>0ならば1個
極大か極小のどちらかが0,つまりf(α)f(β)=0ならば2個
f(α)とf(β)が異符号,つまりf(α)f(β)<0ならば3個

丸暗記ではなくグラフをイメージすることが重要です。さらにこのやり方だとα,βの大小は関係ないということも重要です。

3次方程式x3-3(a+3)x2+36ax-72a=0の相異なる実数解の個数を定数aの値によって場合分けせよ。
答えf(x)=x3-3(a+3)x2+36ax-72aとおく。
f'(x)=3x2-6(a+3)x+36a=3(x-2a)(x-6)である。
2a=6,つまりa=3のとき極値を持たず,単調増加なのでy=f(x)とx軸は1回だけ交わりf(x)=0の解は1個。
a≠3のとき
f(6)=216-108a-324+216a-72a=36a-108
f(2a)=8a3-12a2(a+3)+72a2-72a=-4a3+36a2-72a
よって極大値と極小値の積は
f(6)f(2a)=(36a-108)(-4a3+36a2-72a)=-144a(a-3)(a2-9a+18)=-144a(a-3)2(a-6)
f(6)g(2a)>0のとき,つまり0<a<6(a≠3)のとき極大値と極小値は同符号なのでy=f(x)とx軸は1回だけ交わるので解は1個。
同様に考えると
f(6)f(2a)=0つまりa=0,6のとき解は2個。
f(6)f(2a)<0つまりa>6 ,a<0のとき解は3個。
以上をまとめると
0<a<6のとき1個。a=0,6のとき2個。a<0,a>6のとき3個。
・赤字の部分は「異なる実数解をもたない条件」のことです。
・数IIIで商の微分を習えば
\( \displaystyle \frac{x^3-9x^2}{3x^2-36x+72}=a \)
という風に定数分離のやり方でも解けるようになります。

 

今回の問題,特に定数分離の考え方は非常に重要です。練習しましょう。

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